Ensemble 2012.2

DTL クラスに対する新しいコンパイラ動作

以前のリリースでは、DTL のコンパイル時にソース・クラスまたはターゲット・クラスが存在しないと、システムによって例外がスローされました。これにより、コンパイルされた DTL コードが正確でない恐れがありました。このリリースでは、ソース・クラスまたはターゲット・クラスが存在しない場合、コンパイラがエラーを報告して失敗するようになります。

IGNOREMISSINGSOURCE パラメータを真に設定して作成される新しい DTL クラス

このリリース以前は、Ens.DataTransformDTLOpens in a new tab から継承されたすべての DTL データ変換クラスの IGNOREMISSINGSOURCE パラメータは偽に設定されていました。このリリース以降、スタジオまたは管理ポータルのデータ変換ウィザードを使用して作成するすべての DTL クラスは、次の宣言を使用してこの値を真に上書きします。

Parameter IGNOREMISSINGSOURCE = 1;

このパラメータ値によって、DTL は、存在しないソース・セグメントからフィールド値を取得しようとすることことが原因で発生するエラーを抑制します。また、DTL は、指定されたソース・セグメントが存在しない場合、subtransform 要素の呼び出しをスキップします。

ただし、既存の DTL データ変換クラスの互換性を維持するために、抽象クラスの既定動作は変更されておらず、既存の DTL クラスは従来と同様に動作します。Ens.DataTransformDTLOpens in a new tab クラスは、次の内容を宣言します。

Parameter IGNOREMISSINGSOURCE = 0;

実行した変換を見直して、このパラメータ値の更新がアプリケーションで有効かどうかを確認することができます。

ルールの変換とアップグレード

Ensemble 2012.1 以降へのアップグレードにおいて、Ensemble では既存のビジネス・ルールが正しく変換およびアップグレードされるようにします。その変換の一環として、Ensemble では変換を実行する前にカスタム関数のキャッシュが消去されます。キャッシュが最初に消去されることによって、ルールの変換時に正しい解決が行われるようになります。

さらに、2010.2 およびそれ以前のルール・エンジンを使用して作成されたルールの変換およびコンパイルの前に、コンパイルが必要なあらゆるカスタム FunctionSet クラス (Ens.Rule.FunctionSetOpens in a new tab のサブクラス) が、アップグレード・コードによってコンパイルされます。すべてのマッピングされている FunctionSet クラスが、それらの対象ネームスペースでコンパイル可能であることを確認する必要があります。

ビジネス・ルールおよびルーティング・ルール条件における演算子優先順位の変更

リリース 2012.1 では、ルール条件における条件の優先順位が常に正しいとは限りませんでした。特に、比較演算子が算術演算子や連結演算子よりも優先されたため、‘a+b=c’ 形式の式が ‘a+(b=c)’ として計算されていました。2012.2 では、これは ‘(a+b)=c’ として正確に計算されます。

2012.1 でこの間違った動作に依存するルールを作成した場合、それらのルールは正しく機能しなくなるため、ルールの変更が必要になります。ビジュアル・ルール・エディタによって条件にかっこが追加されますが、問題ありません。

2010.2 またはそれ以前から直接アップグレードされたルール内の条件は、正しく実行されます。

2010.2 またはそれ以前から 2012.1 にアップグレードされたルール内の条件は、そのバージョンで正しく実行されない場合があります。それに続く 2012.2 へのアップグレード後には、それらのルールは再び正しく実行されるようになります。