$NOW

時間関数の比較

現在の日付と時刻は、さまざまな方法で返すことができますが、その違いを以下に示します。

• $NOW は、現在のプロセスのローカルな日付と時刻を返します。$NOW は、日付と時刻を Caché ストレージ形式で返します。これには、秒の小数部が含まれます。小数桁数は、現在のオペレーティング・システムでサポートされている最大精度の桁数です。

  • $NOW は、$ZTIMEZONE 特殊変数の値からローカル・タイム・ゾーンを決定します。ローカル時刻は、サマータイムなどのローカル時刻調整に合わせて調整されません。したがって、ローカルな時刻に対応しない場合があります。

  • $NOW(tzmins) は、指定された tzmins タイム・ゾーン・パラメータに対応する時刻と日付を返します。$ZTIMEZONE の値は無視されます。

• $HOROLOG には、ローカル調整された日付と時刻が Caché ストレージ形式で格納されます。ローカル・タイム・ゾーンは、$ZTIMEZONE 特殊変数の現在の値で決まり、サマータイムなどのローカル時刻調整に合わせて調整されます。これは、整数秒のみを返し、小数部分は切り捨てられます。

• $ZTIMESTAMP には、秒の小数部を含む UTC (協定世界時) の日付と時刻が Caché ストレージ形式で格納されます。秒の小数部は、Windows システムでは有効桁数 3 桁で、UNIX® システムでは有効桁数 6 桁で表されます。このため、$NOW(0) は、$ZTIMESTAMP よりも大きい秒の小数部の精度で UTC 時刻を返す場合があります。

現在の日付と時刻を返すこれらの方法はいずれも、廃止された $ZUTIL(188) 関数の代わりとはなりません。この関数は、ローカル時刻と秒の小数部の両方を調整して、ローカルの日付と時刻を示していました。

Windows でのマイクロ秒

一般に、Windows システム上でのマイクロ秒の精度は、他のプラットフォームよりも劣ります。これは、QueryPerformanceCounter() Windows ライブラリ・ルーチンの制限に起因します。Caché はマイクロ秒を、QueryPerformanceCounter() により計算された結果と、他の日付/時刻関数に使用されるシステム時計とを比較して決定します。システム時計の精度は、最高でも 1 ミリ秒です (Windows を実行しているハードウェアに応じて、精度は通常、1 から 20 ミリ秒の間になります)。$NOW マイクロ秒精度のクロックが、ミリ秒精度のクロックと 50 ミリ秒を超えた誤差がある場合、Caché はマイクロ秒精度のクロックを進めるか遅らせるかして、ミリ秒精度のクロックにより正確に (しかし精度を落として) 合わせます。

この理由から、Windows 上では、$NOW 関数 (および従来の $ZUTIL(188) 関数) は、数秒以内のごく短時間におけるマイクロ秒精度の時間間隔の測定に適しています。複数の CPU コアがあるシステム上では、各コアに対する Caché Windows プロセスは、個々のプロセスにローカルにミリ秒単位の調整を行います。これはつまり、異なる Caché CPU プロセスについて返された複数の $NOW 値は、一致しない可能性があるということです。CPU プロセス間のこの相違は、Windows がマルチコア CPU チップ上でホストされる仮想マシンで実行している場合にはさらに顕著になります。

日付と時刻の分割

$NOW の日付部分または時刻部分のみを取得するには、区切り文字としてコンマを指定して、$PIECE 関数を使用します。

   SET dateval=$PIECE($NOW(),",",1)
   SET timeval=$PIECE($NOW(),",",2)
   WRITE !,"Date and time: ",$NOW()
   WRITE !,"Date only: ",dateval
   WRITE !,"Time only: ",timeval

日付の設定

$NOW および $ZTIMESTAMP によって返される値は、%SYSTEM.ProcessOpens in a new tab クラスの FixedDate() メソッドを使用して設定することはできません。

$HOROLOG に含まれる値は、%SYSTEM.ProcessOpens in a new tab クラスの FixedDate()Opens in a new tab メソッドを使用して、現在のプロセスのユーザ指定の日付に設定することができます。