Caché 2018.1 のアップグレード・チェックリスト
この章では、Caché 2018.1 の機能のうち、このバージョンで変更されたために既存のシステムの管理、運用、または開発の作業に影響を及ぼすものを取り上げます。
前回リリースよりも前のリリースからアプリケーションをアップグレードする場合は、その中間に存在するリリースのアップグレード・チェックリストにも目を通すことを強くお勧めします。このドキュメントでは、2017.2 と 2018.1 の違いのみを取り上げています。
Caché 2008.2 以前のバージョンからアップグレードしている場合、Caché 2018.1 に直接アップグレードできません。まず Caché 2009.1 と Caché 2016.2 との間のバージョンにアップグレードする必要があります。詳細は、"Caché インストール・ガイド" の "サポート対象アップグレード・パス" を参照してください。
管理者
このセクションでは、以前のバージョンの Caché の管理作業を熟知しているユーザを対象に、バージョン 2018.1 の管理に関する新機能と変更点を説明します。ここでは、各項目について簡単に説明します。ほとんどの場合は、ドキュメントの別の箇所に詳しい説明があります。
操作上の変更
ミラーリング : ライト・イメージ・ジャーナル (WIJ) ファイルのスペースの割り当て
このリリースには、システム構成のジャーナル設定に新しいパラメータである、wij のターゲット・サイズが含まれます。このターゲット・サイズを設定することにより、起動プロセスの早い段階で WIJ に確実にスペースが割り当てられます。早い段階で十分なスペースが割り当てられず、WIJ が利用できる十分なメモリがない場合、システムに問題が発生することがあります。WIJ のスペースの割り当ては詳細構成設定です。これで問題が発生する場合は、インターシステムズのサポート窓口Opens in a new tabまでお問い合わせください。
ミラーリング : JRNDUMP ユーティリティのナビゲーションの変更
JRNDUMP ユーティリティのナビゲーションが向上しました。JRNDUMP のプロンプトに応答するスクリプトを使用している場合、スクリプトをチェックして、変更されたナビゲーションを処理できることを確認する必要があります。
プラットフォーム固有の項目
このセクションでは、特定のプラットフォームに関係する項目について説明します。
USER ネームスペースが既に削除されている場合は、Windows アップグレードのインストール時に作成されない
以前のリリースでは、Windows システムで USER ネームスペースが削除されている Caché をアップグレードした場合、インストールを行うと新しい USER ネームスペースが作成されていました。このリリースでは、USER ネームスペースがインスタンスから既に削除されている場合、インストール時に作成されません。これは通常は適切な動作ですが、アップグレード後に USER ネームスペースを自動的に削除するスクリプトを使用している場合、スクリプトの変更が必要になることがあります。Windows でのインストールの動作が、他のプラットフォームでの Caché のインストールの動作と同じになりました。つまり、インスタンスに USER ネームスペースがない場合、アップグレード時に作成されません。
開発者
デバッグの変更
AIX のデバッガが True の後置条件の後にブレークする
AIX システムでルーチンをステップ実行中にコマンドの後置条件が True である場合、コマンドを実行する前にデバッガが追加の <BREAK> を生成します。
ターミナルの変更
cterm アプリケーションに ANSI 文字ではなく Unicode のターミナル入力を直接入力できるようになりました。この変更はターミナルの使用法と動作に影響しませんが、ロケールによっては多少の違いが生じる可能性があります。この変更により、Caché は追加の言語をサポートできます。
DeepSee の変更
メジャー固有のリストのリコンパイル
このリリースでは、複合キューブ内でのリスト・フィルタの処理方法が修正されています。このフィックスを利用するには、メジャー固有のリストをリコンパイルする必要があります。
GetCubeMeasures の変更
%DeepSee.Utils:%GetCubeMeasures() メソッドは、キャプションを出力リストの 2 番目のアイテムとして返す必要がありますが、計算メジャーでは、名前を返していました。このリリースでは、正しくキャプションを返すようになりました。コードがこれまでの間違った動作に依存している場合、コードを変更する必要があります。
言語バインディングの変更
出力リダイレクトでの C++ バインディングの使用に関する問題
出力リダイレクトを実行するために、C++ バインディングは $ZR の値を保存およびリセットします。$ZR が、ユーザが書き込みアクセスを持たないデータベースを指している場合、これによって保護エラーが発生します。
セキュリティの変更
HttpRequest のセキュリティの変更
このリリースでは、%Net.HttpRequest が強化され、HTTP クライアントで SPNEGO、Kerberos、および NTLM の各認証に加え、基本認証をサポートするようになりました。%Net.HttpRequest の認証プロセスがこのように新しくなったことで、既存の %Net.HttpRequest における基本認証のサポートが変更されます。以前のリリースでは、Username プロパティを設定すると、副次的作用として Basic Authorization ヘッダが返されます。この動作は、HTTP 1.0 応答に限り、今後も継続します。HTTP 1.1 応答では、InitiateAuthentication プロパティが設定されている場合を除き、未承諾の Authorization ヘッダは一切送信されません。現在の基本認証サポートを使用すると、301 ステータス応答と、基本 (場合によっては他のスキーム) であることを示す WWW-Authenticate ヘッダが生成されます。その後、HttpRequest は別の要求と適切な Authorization ヘッダを送信します。既存のコードは引き続き動作しますが、余分なラウンドトリップが発生します。