InterSystems IRIS のインストール準備
InterSystems IRIS® は複数の導入方法をサポートしており、さまざまなプラットフォーム上で実行できます。
"インストール・ガイド" では、インストール・キットから InterSystems IRIS をインストールするプロセスについて説明します。InterSystems IRIS は、"コンテナ内でのインターシステムズ製品の実行Opens in a new tab" で説明されているように、コンテナにも導入でき、複数の自動導入方法が用意されています。これについては、"InterSystems IRIS の基礎 : IDE の接続" の "InterSystems IRIS の導入" を参照してください。これらのいずれかの方法を使用する場合は、後述するドキュメントを参照してください。
インストールの前に、InterSystems IRIS がお使いのサーバまたは開発プラットフォームをサポートしていることを確認してください。各リリースでサポートされるテクノロジが記載されている現在のリリース用のドキュメント "InterSystems IRIS Data Platform サポート対象プラットフォーム" を確認してください。
インストールの前に、自由に使用できるシステム・リソースについて検討し、開発および実行するアプリケーションにそれらのリソースが十分であることを確認し、それらを管理して、システムのパフォーマンスを最適化する必要があります。このプロセスの詳細は、"システム・リソースの計画と管理" を参照してください。
インストール計画の考慮事項
InterSystems IRIS の新規インストールは、何とおりかの方法で構成できます。インストールを実行すると、インストールする構成を決定するために、以下の情報を入力するよう求められます。
-
ポート番号 (オプション)
以下のセクションは、InterSystems IRIS をインストールする前または後に実行できます。
インストール・ディレクトリ
インストール・ディレクトリは、InterSystems IRIS インスタンスをインストールするディレクトリです。このドキュメントでは、このディレクトリを install-dir と呼びます。InterSystems IRIS のインストール後にインストール・ディレクトリを変更することはできません。
install-dir として指定できるディレクトリには、いくつかの制限があります。ディレクトリは、シンボリック・リンクを含まない、完全に解決された物理パスである必要があります。ディレクトリ名には、US ASCII 文字セットの文字のみを使用でき、キャレット (^) は使用できません。また、InterSystems IRIS を以下のディレクトリにインストールすることはできません。
-
UNC (ローカルでない) パスのディレクトリ。
-
ドライブのルート・レベル (C:\ など) にあるディレクトリ。
-
\Program Files ディレクトリ下の任意の場所にあるディレクトリ。
インストール時に指定しない場合、install-dir には既定値が使用されます。以下の表に示すように、この既定値は、プラットフォーム、インストール・タイプ、およびユーザの選択によって異なります。
プラットフォーム |
インストール・タイプ |
既定のディレクトリ |
---|---|---|
Windows |
手動 | インストール・ユーザが他に指定しない限り、C:\InterSystems\Iris (複数インスタンスが存在する場合は、IrisN)。 |
自動 | INSTALLDIR プロパティで他に指定されない限り、C:\InterSystems\Iris (複数インスタンスが存在する場合は、IrisN)。 | |
UNIX®、Linux、macOS |
手動 | 既定値なし。インストール・ユーザが指定する必要があります。
/home ディレクトリ、そのサブディレクトリ、または /usr/local/etc/irissys ディレクトリは選択しないでください。 |
自動 | 既定値なし。ISC_PACKAGE_INSTALLDIR パラメータが必要です。 |
セットアップ・タイプ
インストール時に、インストールする InterSystems IRIS コンポーネントを選択できます。オプションは以下のとおりです。
-
[開発] — InterSystems IRIS データベース・エンジン (User データベース、言語ゲートウェイ、サーバ監視ツール)、スタジオ (Windows のみ)、すべてのサポート対象言語バインディング、および xDBC (ODBC と JDBC) ドライバを含めます。このインスタンスをクライアントのタスクとサーバのタスクの両方を実行するために使用する場合は、このオプションを選択します。
-
[サーバ] — InterSystems IRIS データベース・エンジン (User データベース、言語ゲートウェイ、サーバ監視ツール) および Web ゲートウェイを含めます。InterSystems IRIS クライアントからアクセス可能な InterSystems IRIS データベース・サーバとしてこのインスタンスを使用する場合は、このオプションを選択します。
-
[カスタム] — インストールまたはアンインストールする特定のコンポーネントを指定できます。特定の InterSystems IRIS コンポーネントをインストールまたは削除する場合、このオプションを選択します。
Windows では、以下の 2 つの追加セットアップ・タイプから選択できます。
-
[クライアント] — スタジオ、ODBC ドライバ、JDBC ドライバ、および InterSystems IRIS アプリケーション開発コンポーネントを含めます。このコンピュータまたは別のコンピュータで、InterSystems IRIS データベース・サーバのクライアントとしてこのインスタンスを使用する場合は、このオプションを選択します。
-
[Web サーバ] — Web ゲートウェイ (IIS、Apache 2.0、Apache 2.2) を含めます。InterSystems IRIS の機能のうち、Web ゲートウェイで必要なもののみをインストールする場合は、このオプションを選択します。
以下のテーブルでは、それぞれのセットアップ・タイプでインストールされるコンポーネントを示しています。カスタム・インストールを実行する場合は、グループから個別のコンポーネントのみを含めることができます。
コンポーネント・グループ | コンポーネント | 開発 | サーバ | クライアント | Web |
---|---|---|---|---|---|
InterSystems IRIS データベース・エンジン (InterSystems IRIS サーバ) |
サーバ監視ツール User データベース 言語ゲートウェイ エージェント・サービス (ISCAgent) Apache FOP (Formatting Objects Processor) InterSystems IntegratedML |
X |
X |
||
InterSystems IRIS ランチャー (Windows のみ) |
X |
X |
X |
||
スタジオ (Windows のみ) |
X |
X |
|||
xDBC |
ODBC ドライバ Java Database Connectivity |
X |
X |
||
InterSystems IRIS アプリケーション開発 |
InterSystems IRIS 用の Java バインディング InterSystems IRIS 共有ライブラリ・サポート InterSystems IRIS 用の .NET バインディング スレッド・サーバ・ライブラリ その他のサンプル |
X |
X | ||
Web ゲートウェイ |
CSP for IIS CSP for Apache 2.0.x CSP for Apache 2.2.x |
X |
X |
既存の CSP ゲートウェイ
Web ゲートウェイをインストールする際に、お使いのシステムに CSP ゲートウェイが既にインストールされている場合は、インストーラにより CSP ゲートウェイが Web ゲートウェイに自動的にアップグレードされます。ただし、インストーラは CSP.ini ファイルの新しいコピーを作成します。CSP ゲートウェイの CSP.ini ファイルを保持するには、以下の手順に従います。
-
install-dir/CSP/bin にある CSP.ini ファイルのバックアップを作成します。
-
Web ゲートウェイ・インストーラを実行します。
-
CSP.ini のバックアップをリストアします。
文字幅設定
インストールには、8 ビットまたは Unicode (16 ビット) の文字幅を選択する必要があります。8 ビット・インスタンスは 16 ビット形式のデータを処理できませんが、Unicode インスタンスは 8 ビット・データと 16 ビット・データの両方を処理できます。
インスタンスで、Unicode 文字のみを使用する言語 (日本語など) のデータを格納および処理する必要がある場合は、Unicode を選択してください。インスタンスで使用するロケールに設定されている基本文字セットが、Latin-1 文字セット ISO8859-1 に基づいている場合は、8 ビットを選択できますが、以下の点に留意してください。
-
8 ビットを選択した場合、インスタンスによって格納されるデータは、同じ文字セットに基づく 8 ビット・ロケールにのみ移植できます。
-
Unicode を選択した場合、インスタンスによって格納されるデータは 8 ビット・インスタンスに移植できません。
ポート番号
標準インストールでは、InterSystems IRIS インスタンスに対して以下のポート番号が設定されます。
-
スーパーサーバのポート番号 — 1972。取得されている場合は、51773 またはこれ以降の使用可能な最初のポート番号。
-
Web サーバのポート番号 — 52773、またはこれ以降の使用可能な最初のポート番号
新規インストール時にカスタム・インストールを実行することで、別のポート番号を割り当てることができます ("セットアップ・タイプ" を参照)。65535 よりも大きなポート番号は入力できません。
InterSystems IRIS のインストール済みインスタンスでのポート番号の設定は、"システム管理ガイド" の “InterSystems IRIS 複数インスタンスの使用法” の章にある "ポート番号の設定" を参照してください。
セキュリティ設定
InterSystems IRIS インストールには、[最小]、[通常]、または [ロック・ダウン] の 3 つの初期セキュリティ構成があります。[最小] は、InterSystems IRIS インストールにのみ使用できます。[通常] または [ロック・ダウン] を選択した場合、インストーラにより、パスワードやアカウント情報などの追加情報の入力を求められます。
詳細は、"インターシステムズの初期セキュリティ設定" を参照してください。
VS Code - ObjectScript 開発環境のインストール
Visual Studio Code (VS Code) は、Microsoft によって開発された、Windows、Linux、および macOS 向けの無料のソース・コード・エディタです。Visual Studio Code の InterSystems ObjectScript 拡張機能により、VS Code を使用して InterSystems IRIS サーバに接続し、ObjectScript でコードを開発できます。VS Code - ObjectScript の代わりになるのがスタジオで、これは Windows ベースのオペレーティング・システムに InterSystems IRIS と一緒にインストールされます。
VS Code - ObjectScript のダウンロードと使用の詳細は、https://intersystems-community.github.io/vscode-objectscript/Opens in a new tab を参照してください。
メモリの計画および管理
メモリの管理は、InterSystems IRIS 導入環境のパフォーマンスを最大限に高めるための非常に重要な要素です。以下の、計画上の考慮事項を確認してください。
ディスク容量の最小要件
インストールを実行するには、コンピュータまたはネットワーク上でインストール・キットを利用できる必要があります。InterSystems IRIS をインストールする前に、1.5 GB 以上のディスクの空き容量があることをお勧めします。インストール前に、インストール手順によってディスクの空き容量が十分にあることが確認されます。
追加のメモリ・リソース
InterSystems IRIS とアプリケーションのパフォーマンスと可用性を最大限に高めるには、システム・メモリを正しくサイジングすることが重要です。InterSystems IRIS のメモリ使用量については、"メモリの計画" を参照してください。ここにはシステムに十分なメモリがあるかどうかを判断できるように、初期メモリ要件を計算するためのガイドラインが示されています。
インストール後は、InterSystems IRIS がどのようにメモリを割り当てるかを監視することが、パフォーマンスの重要な要因になります。InterSystems IRIS がメモリを効率的に割り当てていない場合は、ユーザがプロセス、ルーチン・キャッシュ、データベース・キャッシュ、および一般ヒープのメモリ設定を調整できます。これらのメモリ関連タスクを実行する方法は、"メモリ使用量の確認と監視" および "メモリと開始設定" を参照してください。
プラットフォーム固有の準備
以下のセクションでは、プラットフォーム固有の考慮事項を示します。目的のインストール・プラットフォームに該当するセクションを参照してください。
サポートされるプラットフォームとコンポーネント
サポート対象オペレーティング・システムおよび Web サーバなど、InterSystems IRIS のリリース・バージョンでサポートされるテクノロジについては、リリースのオンライン・ドキュメント "インターシステムズのサポート対象プラットフォーム" の "サポート対象テクノロジ" の章を参照してください。
最適なジャーナル・パフォーマンスを実現し、システムがクラッシュしたときにジャーナル・データの整合性を確保するために、インターシステムズはジャーナル・ファイルに適用するさまざまなファイル・システムとマウント・オプションを推奨しています。プラットフォームごとの詳細は、"InterSystems IRIS データ整合性ガイド" の “ジャーナリング” の章にある "UNIX® ファイル・システムの推奨事項" のセクションを参照してください。
管理ポータルが確実に機能するようにするために、InterSystems IRIS では、インスタンスごとに CSP ページ用のプライベート Web サーバとプライベート Web ゲートウェイがインストールされます。プライベート Web サーバでは、以下のことが可能になります。
-
管理ポータルをすぐに使用できます。
-
開発環境に、すぐに使用できるテスト機能が提供されます。
プライベート Web サーバでは、この他の用途はサポートされていません。プライベート Web サーバを、HTTP ベースのアプリケーション (CSP や SOAP over HTTP/HTTPS など) の導入に使用しないでください。代わりに、サポートされているいずれかの Web サーバをインストールおよび導入してください。
プライベート Web サーバの構成は、アップグレードしても維持されます。WebServer CPF パラメータを使用して、プライベート Web サーバを無効にできます。
Windows では、プライベート Web サーバの Windows サービス名は “Web Server for instance name” です。この Web サーバは、install-dir\httpd ディレクトリにインストールされます。対応する InterSystems IRIS インスタンスをアンインストールすると、その Web サーバもアンインストールされます。
詳細は、"プライベート Web サーバの使用または置換" を参照してください。
ユーザ・プロセスの最大数に関する推奨事項
指定のユーザのすべての InterSystems IRIS プロセスおよびその他の既定のプロセスを実行するうえで十分な最大プロセス数を maximum user processes に設定します。
AIX® プラットフォームの問題
一部の AIX® パラメータの既定の設定は、パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。設定および推奨事項については以下を参照してください。
I/O ペーシング・パラメータ
AIX® は、InterSystems IRIS ライト・デーモンの動作を阻害する可能性のある I/O ペーシング・アルゴリズムを実装しています。AIX® 5.2 および AIX® 5.3 では、HACMP クラスタを使用すると I/O ペーシングが自動的に有効になります。一方、AIX® 6.1 以降では、すべてのシステムで I/O ペーシングが有効となり、既定の最高水準点は以前のバージョンよりも大きくなっています。
ライト・デーモンの速度が遅い場合やライト・デーモンが停止する場合は、この最高水準点の調整が必要なことがあります。詳細は、IBM AIX ドキュメントの "ディスク入出力ペーシングOpens in a new tab" を参照してください。
IBM AIX® 6.1 以降では、最高水準点の調整は不要です。
システムへの影響について疑問点がある場合は、設定を変更する前にインターシステムズのサポート窓口Opens in a new tabまたは AIX® サプライヤまでお問い合わせください。これらの推奨事項は、JFS と Enhanced JFS (JFS2) 両方のファイル・システムに適用されます。
ファイル・システムのマウント・オプション
さまざまなマウント・オプションを使用することで作業負荷のパフォーマンスを向上させられる可能性があります。
ファイル・システムによるキャッシュが効果を発揮する、InterSystems IRIS ではない負荷 (例えば、オペレーティング・システム・レベルのバックアップやファイル・コピー) は、cio マウント・オプションにより速度が低下します。
ハード・シャットダウンやシステム・クラッシュの後の IRIS.WIJ ファイルを使用したリカバリ速度を向上させるには、IRIS.WIJ ファイルを扱うファイル・システムで、ファイル・システム・バッファリングを伴うマウント・オプション (例えば、rw) を使用することをお勧めします。
mount オプションの詳細は、IBM AIX ドキュメントの "mount コマンドOpens in a new tab" を参照してください。
メモリ管理パラメータ
ファイル・システムの数およびファイル・システムに対するアクティビティの量によって、JFS または JFS2 のメモリ構造が制限され、それらのメモリ構造を使用する I/O 処理に遅延が生じる可能性があります。
こうした状況を監視するには、vmstat -vs コマンドを実行し、2 分経過してから、もう一度 vmstat -vs コマンドを実行します。次のような結果が出力されます。
# vmstat -vs
1310720 memory pages
1217707 lruable pages
144217 free pages
1 memory pools
106158 pinned pages
80.0 maxpin percentage
20.0 minperm percentage
80.0 maxperm percentage
62.8 numperm percentage
764830 file pages
0.0 compressed percentage
0 compressed pages
32.1 numclient percentage
80.0 maxclient percentage
392036 client pages
0 remote pageouts scheduled
0 pending disk I/Os blocked with no pbuf
5060 paging space I/Os blocked with no psbuf
5512714 filesystem I/Os blocked with no fsbuf
194775 client filesystem I/Os blocked with no fsbuf
0 external pager filesystem I/Os blocked with no fsbuf
以下のパラメータが増加している場合は、InterSystems IRIS のパフォーマンスを向上するため、それらの値を大きくしてください。
-
pending disk I/Os blocked with no pbuf
-
paging space I/Os blocked with no psbuf
-
filesystem I/Os blocked with no fsbuf
-
client filesystem I/Os blocked with no fsbuf
-
external pager filesystem I/Os blocked with no fsbuf
これらのパラメータを既定値より大きくする場合は、以下の手順に従ってください。
-
現在の値を 50% 大きくします。
-
vmstat 出力を確認します。
-
2 分間隔で、vmstat を 2 回実行します。
-
フィールドがまだ増大している場合は、もう一度、パラメータ値を同じ割合だけ大きくして、上記の手順に従います。vmstat を 2 回実行したとき、フィールドが増大しなくなるまで繰り返してください。
I/O パターンは時間の経過と共に変化する可能性があるので、現在値と再起動値の両方を変更し、vmstat 出力を定期的 (時間単位、日単位、または週単位) に確認します。
詳細は、IBM の以下の Web ページを参照してください。
-
vmstat によって報告される各フィールドの詳細は、IBM AIX ドキュメントの "vmstat コマンドOpens in a new tab" を参照してください。
-
これらのパラメータ値を大きくする方法については、IBM AIX ドキュメントの "VMM ページ置換のチューニングOpens in a new tab" を参照してください。
-
I/O 調整可能パラメータの管理の詳細は、IBM AIX ドキュメントの "ioo コマンドOpens in a new tab" を参照してください。
AIX® の調整可能パラメータ
AIX® プロセス間通信の調整可能なパラメータ
以下のテーブルは、IBM pSeries AIX® 5.2 オペレーティング・システムの調整可能なパラメータの一覧です。以下に一覧表示されているパラメータは調整の必要がありません。これらのパラメータは、必要に応じて、カーネルによって動的に調整されます。詳細は、AIX ドキュメントの "プロセス間通信のチューナブル・パラメーターOpens in a new tab" を参照してください。
Parameter (パラメータ) | 目的 | 動的値 |
---|---|---|
msgmax | 最大メッセージ・サイズを指定します | 最大値 4 MB |
msgmnb | キューでの最大バイト数を指定します | 最大値 4 MB |
msgmni | メッセージ・キュー ID の最大数を指定します | 最大値 4096 |
msgmnm | キューごとの最大メッセージ数を指定します | 最大値 524288 |
semaem | 終了の調整最大値を指定します | 最大値 16384 |
semmni | セマフォ ID の最大数を指定します | 最大値 4096 |
semmsl | ID ごとの最大セマフォ数を指定します | 最大値 65535 |
semopm | semop() 呼び出しごとの最大操作数を指定します | 最大値 1024 |
semume | プロセスごとの最大 undo エントリ数を指定します | 最大値 1024 |
semvmx | セマフォの最大値を指定します | 最大値 32767 |
shmmax | 共有メモリ・セグメントの最大サイズを指定します | 32 ビット・プロセスでは最大値 256 MB、64 ビットでは最大値 0x80000000u |
shmmin | 共有メモリ・セグメントの最小サイズを指定します | 最小値 1 |
shmmni | 共有メモリ ID の最大数を指定します | 最大値 4096 |
maxuproc
maxuproc は、root 以外の単独ユーザが開始可能なプロセスの最大数を指定する調整可能パラメータで、このサブセクションの説明に従って調整できます。
このパラメータの設定が低すぎると、プロセスの開始を試みるユーザがさらに増えた場合に、CSP ページの消失、バックグラウンド・タスクの失敗など、オペレーティング・システムのさまざまなコンポーネントで障害が起こる可能性があります。したがって、maxuproc パラメータは、root ユーザ以外 (インタラクティブ・ユーザ、Web サーバ・プロセスなど、プロセスを開始可能なものすべて) による開始が見込まれるプロセスの最大数よりも大きく設定する必要があります。
この値を過度に高く設定しないでください。この値には不必要に新規プロセスを作成し続ける暴走アプリケーションからサーバを保護する目的があります。しかし、設定が低すぎると不明な問題の原因になります。
maxuproc を予想される最大プロセス数の倍にして、エラーを起こさないだけの余裕をとりつつ、暴走プロセスから保護することをお勧めします。例えば、システムに 1000 人のインタラクティブ・ユーザがいて、頻繁に 500 個のバックグラウンド・プロセスを実行する場合、この値は最低でも 3000 を選択するとよいでしょう。
maxuproc 値は、コマンド行もしくは smit/smitty 管理者用ユーティリティのいずれかより、以下のように双方共に root ユーザとして検証および変更ができます。
-
コマンド行より、現在の設定を表示します。
# lsattr -E -l sys0 -a maxuproc
次に、以下のように値を変更します。
# chdev -l sys0 -a maxuproc=NNNNNN
ここで、NNNNNN は新規の値です。
-
管理者用ユーティリティ smit (または smitty) で、[システム環境]→[オペレーティングシステム特性の変更/表示]→[ユーザあたりの許容プロセス最大数] を選択します。
maxuproc の値を増やすと、変更は瞬時に有効となります。maxuproc の値を減らすと、変更は次回のシステムの再起動まで有効になりません。どちらの場合も、変更はシステムを再起動しても存続します。
必須の C/C++ ランタイム・ライブラリ
InterSystems IRIS をインストールする前に、必須の C/C++ ランタイム・ライブラリが IBM AIX® システムにインストールされていることを確認する必要があります。
InterSystems IRIS for AIX は、IBM XL C/C++ for AIX 16.1.0 コンパイラを使用してコンパイルされます。InterSystems IRIS のインストール先のシステムに、既にインストールされているランタイムに対応するバージョンがない場合は、インストールする必要があります。ランタイムは、IBM Support Web サイトの "IBM XL C/C++ Runtime for AIX 16.1Opens in a new tab" からダウンロードできます。
InterSystems IRIS 共有ライブラリ・サポートに対する共有ライブラリ環境変数
InterSystems IRIS 共有ライブラリ・サポートには、インストールされたすべての C リンカを参照するバッチ・ファイルが含まれています。
標準 UNIX® C ライブラリまたは独自の C ライブラリを LIBPATH 環境変数で定義した環境が必要です。
このような定義がない環境では、標準 UNIX® C ライブラリのパスである /usr/lib と /lib を LIBPATH に追加します。
Raw Ethernet の使用法
Raw Ethernet を使用するには、IBM AIX® マシンに DLPI (データ・リンク・プロバイダ・インタフェース) パッケージがインストールされている必要があります。マシンに DLPI パッケージがない場合、IBM プロバイダから取得し、以下の手順に従って DLPI デバイスを作成してください。
-
root としてログインします。
-
/etc/pse.conf ファイルの PSE ドライバ・セクションで、DLPI ドライバを参照している 4 行をアンコメントします。
-
ファイルを保存します。
-
コンピュータを再起動します。
DLPI デバイスがインストールされていない場合、%SYSTEM.INetInfoOpens in a new tab クラスの EthernetAddress() メソッドは、イーサネット・デバイスの情報ではなく、NULL 文字列を返します。
Red Hat Linux プラットフォームの問題
このトピックには、以下の調整に関する情報が含まれます。
ロックインされたメモリ
Linux プラットフォームでは、共有メモリがヒュージ・ページに割り当てられている場合、ヒュージ・ページはメモリ内で自動的にロックされます (それ以上の操作は必要ありません)。ヒュージ・ページの割り当ての詳細は、この章の "Linux でのヒュージ・ページの構成" を参照してください。
ヒュージ・ページを使用しない場合、共有メモリ・セグメントをメモリにロックしてページングを防ぐように InterSystems IRIS を構成できます。これについては、"構成パラメータ・ファイル・リファレンス" の “memlock” エントリの LockSharedMemory セクションで説明されています。
それ以外の場合は、メモリ内にロックされる可能性のある最大サイズを増やす必要があります。既定値は 32 KB です。現在の値を表示するには、ulimit コマンドを使用します。
例えば、現在の制限値をすべて表示するには、以下のようにします。
bash$ ulimit -a
core file size (blocks, -c) unlimited
data seg size ( KBytes, -d) unlimited
file size (blocks, -f) unlimited
pending signals (-i) 1024
max locked memory (KBytes, -l) 32 <---------- THIS ONE
max memory size (KBytes, -m) unlimited
open files (-n) 1024
pipe size (512 bytes, -p) 8
POSIX message queues (bytes, -q) 819200
stack size ( KBytes, -s) 10240
cpu time (seconds, -t) unlimited
max user processes (-u) 49000
virtual memory ( KBytes, -v) unlimited
file locks (-x) unlimited
max-locked memory のみ表示するには、-l オプションを使用します。
bash$ ulimit -l
32
権限を持っていれば、ulimit コマンドを使用して直接値を変更できますが、/etc/security/limits.conf ファイルで memlock パラメータを更新することをお勧めします。memlock の制限値が小さすぎる場合、Linux から ENOMEM (メモリ不足) エラーが表示されますが、これでは原因が明らかになりません。実際にメモリは割り当てられています。エラーを起こしているのはロックなのです。
詳細は、"構成パラメータ・ファイル・リファレンス" の "memlock" を参照してください。
多数の同時プロセスの調整
多数のプロセスまたは Telnet ログインを必要とするシステムを実行する場合は、以下の調整を行う必要があります。
-
/etc/xinetd.d/telnet ファイルに、以下の行を追加します。
instances = unlimited
-
/etc/xinetd.conf ファイルで、インスタンスの設定を以下のように追加または変更します。
instances = unlimited
-
これらの変更が完了したら、以下のコマンドを使用して xinetd を再起動します。
# service xinetd restart
-
既定の pty (擬似ターミナル接続) 制限は 4096 です。これでも足りない場合は、/etc/sysctl.conf ファイルに最大 pty 行を追加するか変更します。以下はその例です。
kernel.pty.max=10000
ダーティ・ページのクリーンアップ
(例えば 8 GB 以上の) 大規模なメモリ・システムでは、フラット・ファイルを何度も書き込む場合 (例えば InterSystems IRIS のバックアップやファイル・コピーなど)、proc/sys/vm/ に格納されている以下のパラメータを調整することにより、パフォーマンスを向上させることができます。
-
dirty_background_ratio — pdflush が書き込みを開始するまでに、ダーティ・ページで満たすことのできるアクティブの最大割合。このパラメータは 5 に設定することをお勧めします。
-
dirty_ratio — より多くの書き込みが許可される代わりに、タイム・スライス間のダーティ・バッファを書き込むプロセスが強制されるまでに、ダーティ・ページで満たすことのできる合計メモリの最大割合。このパラメータは 10 に設定することをお勧めします。
これらの変数は、/etc/sysctl.conf ファイルに以下を加えることで設定できます。
vm.dirty_background_ratio=5 vm.dirty_ratio=10
これらの変更は、Linux pdflush デーモンに対して、大量の更新バーストでストレージが溢れる可能性のある大量の更新をキューに入れるより頻繁に、ダーティ・ページへの書き出しを強制するものです。
Kerberos の使用
Red Hat Linux プラットフォームで Kerberos を使用するには、krb5-libs パッケージに加えて krb5-devel パッケージもインストールする必要があります。krb5-devel をインストールすると、Kerberos を使用するために必要なシンボリック・リンクが設定されます。このパッケージは、開発環境だけでなく、実稼働環境にも必要です。これらのコンポーネントの詳細は、Red Hat NetworkOpens in a new tab Web サイトを参照してください。
SUSE Linux プラットフォームの問題
このトピックには、以下の調整に関する情報が含まれます。
ロックインされたメモリ
Linux プラットフォームでは、共有メモリがヒュージ・ページに割り当てられている場合、それらはメモリ内で自動的にロックされます (それ以上の操作は必要ありません)。ヒュージ・ページの割り当ての詳細は、"Linux でのヒュージ・ページの構成" を参照してください。
ヒュージ・ページを使用しない場合、共有メモリ・セグメントをメモリにロックしてページングを防ぐように InterSystems IRIS を構成できます。これについては、"構成パラメータ・ファイル・リファレンス" の “memlock” エントリの LockSharedMemory セクションで説明されています。
それ以外の場合は、メモリ内にロックされる可能性のある最大サイズを増やす必要があります。手順については、この章の "Red Hat Linux プラットフォームの問題" にある "ロックインされたメモリ" のセクションを参照してください。
Kerberos の使用
SUSE Linux プラットフォームで Kerberos を使用するには、krb5-libs パッケージに加えて krb5-devel パッケージもインストールする必要があります。krb5-devel をインストールすると、Kerberos を使用するために必要なシンボリック・リンクが設定されます。このパッケージは、開発環境だけでなく、実稼働環境にも必要です。これらのコンポーネントの詳細は、SUSE documentationOpens in a new tab の Web サイトを参照してください。
Ubuntu プラットフォームの問題
このトピックには、以下の調整に関する情報が含まれます。
セマフォの削除の設定
状況によっては、インスタンス所有者が SSH などを使用して Ubuntu ホストに接続すると、OS によってインスタンスのセマフォが削除される場合があります。これを防止するには、/etc/systemd/logind.conf ファイルを編集して、RemoveIPC=yes (既定値) を RemoveIPC=no に変更します。
Ubuntu の新規バージョンに更新すると、RemoveIPC が既定値の yes に戻ることがあります。Ubuntu を更新したら、不要なセマフォの削除を防止するために、必ず RemoveIPC を変更してください。