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InterSystems IRIS の UNIX®、Linux、および macOS へのインストール

この章では、UNIX® システム、Linux システム、または macOS システムに InterSystems IRIS® Data Platform をインストールする方法を説明します。この章は、ユーザが UNIX®、Linux、および macOS のディレクトリ構造、ユーティリティおよびコマンドに精通していることを前提に記述されています。

Note:

同一マシン上で複数のインストールを同時に実行することはできません。

インストール前

インストールを開始する前に、このドキュメントの “InterSystems IRIS のインストール準備” の章に記載された、お使いのプラットフォームに該当するすべての情報を確認しておいてください。さらに、以下のトピックを確認してください。

インストール・キットの解凍

インストール・キットが .tar ファイルの形式 (iris-2019.3.0.710.0-lnxrhx64.tar.gz など) の場合、以下の例に示すようにファイルを一時ディレクトリに解凍し、許可の問題を回避します。

# mkdir /tmp/iriskit 
# chmod og+rx /tmp/iriskit 
# umask 022 
# gunzip -c /download/iris-2019.3.0.710.0-lnxrhx64.tar.gz | ( cd /tmp/iriskit ; tar xf - )

インストール・ファイルは、.tar ファイルと同じ名前のディレクトリに解凍されます (例えば、/tmp/iriskit/iris-2019.3.0.710.0-lnxrhx64)。

Important:

/home ディレクトリ (またはこのディレクトリのサブディレクトリ) にファイルを解凍したり、InterSystems IRIS インストールをこれらのディレクトリから実行したりしないでください。また、一時ディレクトリのパス名にスペースを含めることはできません。

Note:

従来の tar コマンドは、長いパス名に遭遇すると通知なしで失敗する場合があるため、GNU tar を使用してこのファイルを untar することをお勧めします。tar コマンドが GNU tar かどうかを判定するには、tar --version を実行します。

所有者およびグループの決定

インストール・プロセスでは、以下のユーザとグループの情報の入力を求められます。

  • インスタンスの所有者

  • InterSystems IRIS スーパーサーバの実効ユーザとそのジョブ

  • InterSystems IRIS プロセスの実効グループ

  • インスタンスの開始および停止を許可されたグループ

これらのカテゴリの詳細は、"システム管理ガイド" の “UNIX®、Linux、および macOS での InterSystems IRIS 使用法” の章にある "UNIX® ユーザとグループの識別" のセクションを参照してください。

Important:

InterSystems IRIS はインストール対象のファイルに対するユーザやグループなどの許可を設定する必要があります。これを行うために、InterSystems IRIS はインストール・プロセスの umask022 に設定します。インストールが完了するまで、umask を変更しないでください。

インスタンスの所有者として指定するユーザ・アカウントと、インスタンスの開始および停止を許可されたグループとして指定するグループの両方が、インストールを開始する前に存在している必要があります。これらのプロンプトの 1 つで指定したエントリが存在しない場合、そのプロンプトが再表示されるため、指定しようとしているユーザおよびグループがインストール開始前に存在することを確認してください。

使用しているオペレーティング・システムに useradd ユーティリティおよび groupadd ユーティリティが含まれている場合は、指定したエントリが存在しなければ、InterSystems IRIS スーパーサーバ用の実効ユーザのアカウントおよび InterSystems IRIS プロセスの実効グループが作成されます。ただし、これらのユーティリティがなく、指定したエントリが存在しない場合、該当のプロンプトが再表示されます。システムにこれらのユーティリティがあるかどうか不明な場合は、インストールを開始する前に、指定しようとしているユーザおよびグループが存在するかどうかを確認します。

Note:

オペレーティング・システムで Network Information Services (NIS) やその他のネットワーク・ベースのユーザまたはグループのデータベースを使用している場合は、groupadd ユーティリティと useradd ユーティリティによりローカル・ユーザおよびグループが作成され、ネットワーク・データベースに既に存在するエントリと競合する可能性があります。この問題を回避するには、ユーティリティに InterSystems IRIS 実効グループおよび実効ユーザを作成させるのではなく、インストールを開始する前に適切な管理ツールを使用して、これらをネットワーク・データベースに作成することをお勧めします。

プロセスの所有権を表示するために UNIX® のオペレーティング・システムで使用するツールでは、実際の所有権と実効所有権との対応が必ずしも表示できるとは限りません。InterSystems IRIS による許可の割り当ての詳細は、"システム管理ガイド" の “UNIX® のユーザ、グループおよび権限” の章を参照してください。

必要な依存関係のインストール

インストール・プロセスの一環として、InterSystems IRIS インストーラはシステムに必要な依存関係があるかどうかを確認します。システムにいずれかの依存関係がない場合、インストールは失敗し、インストーラを再実行する前にインストールすべき依存関係を指定するメッセージが表示されます。

prechecker オプション (例えば、# irisinstall --prechecker) を指定して irisinstall を実行することで、インストールとは別個に要件チェッカーを実行できます。これは、InterSystems IRIS の依存関係を変更またはアップグレードして、変更後も要件が満たされることを確認する場合に便利です。

要件チェッカーは常に、インスタンスの起動中に実行されます。要件が満たされない場合、起動は失敗します。

Note:

macOS では、バージョン 2022.1 以前の InterSystems IRIS バージョンのインストーラに要件チェッカーはありませんが、必要な依存関係は存在します。

macOS 上で InterSystems IRIS をインストールまたは実行する際は、Homebrew を介して openssl@1.1 をインストールする必要があります (https://formulae.brew.sh/formula/openssl@1.1Opens in a new tab)。

macOS 上の InterSystems IRIS 内で組み込み Python を使用するには、python@3.9 もインストールする必要があります (https://formulae.brew.sh/formula/python@3.9Opens in a new tab)。

構成方法の選択

インストールする前に InterSystems IRIS を構成する方法はいくつかあります。この方法は、自動導入を検討する場合に特に便利です。インストールの完了後に、設定を調整する必要が少なくなるためです。

InterSystems IRIS をインストールする前に、以下のいずれかの方法を使用するかどうかを検討します。

  • 構成マージでは、マージ・ファイルで InterSystems IRIS 構成を定義できます。マージ・ファイルは必要な設定を指定します。ユーザ、ネームスペース、データベースの作成などの管理アクションを実行することもできます。マージ・ファイルは、インストール中またはインストール後に適用できます。

  • インストール・マニフェストは特定の InterSystems IRIS 構成を記述し、irisinstall または irisinstall_silent コマンドで使用することができます。

  • "InterSystems IRIS ディストリビューションへの Unix® インストール・パッケージの追加" では、InterSystems IRIS ディストリビューションに新規パッケージを追加する方法について説明しています。

InterSystems IRIS のインストール

このセクションでは、UNIX® プラットフォームに InterSystems IRIS をインストールする手順について説明します。InterSystems IRIS の手動インストールを実行するには、以下のセクションで説明するように 2 つの方法があります。

一般に、InterSystems IRIS インストールは root 特権を使用して実行します。非 root ユーザとしてインストールを実行することもできますが、この場合、"非 root ユーザとしてのインストール" に説明されている制限があります。

InterSystems IRIS の標準インストール手順

InterSystems IRIS の標準インストールは、複数のモジュール・パッケージ・スクリプトから構成されます。これらのスクリプトでは、それまでの手順に対する入力、システム環境、および既存のインスタンスをアップグレードしているかどうかなどの条件に応じて、情報の入力が求められます。インストールの第 1 段階では、このインストールについて収集された情報がすべてパラメータ・ファイルに保存されます。その後、実際のインストールが開始される前に、インストールの詳細を確認します。最終段階では、インスタンスのセットアップなど、正常終了したインストールに付随する操作を実行します。

インストール・スクリプト irisinstall は、以下を実行します。

  • InterSystems IRIS システム・マネージャ・データベースをインストールします。

  • インストール・モードで InterSystems IRIS を起動します。

  • InterSystems IRIS システム・マネージャ・グローバルとルーチンをインストールします。

  • InterSystems IRIS を終了し、既定の構成ファイル (iris.cpf) を使用して再起動します。アップグレード・インストールの場合は、更新後の構成ファイルを使用して再起動されます。

Note:

irisinstall を実行しているユーザのプロファイルに CDPATH 変数の値が設定されている場合、インストールは失敗します。

InterSystems IRIS サーバの標準インストールを実行するには、以下のインストール手順に従います。

  1. ユーザ ID root としてログインします。InterSystems IRIS の標準インストールは、root 特権を持つユーザが実行する必要があります。root 以外のアカウントでログインしているときでも、su (スーパーユーザ) コマンドで root に変更できます。

    Note:

    root が使用できない場合は、非 root ユーザとして InterSystems IRIS の非標準の制限付きインストールを実行できます。インストール手順を続行する前に、以下の "InterSystems IRIS の非 root ユーザとしてのインストール" のセクションで詳細を参照してください。

  2. root 特権を持つユーザとして、インストール・ファイルの最上位にある irisinstall スクリプトを実行し、インストール手順を開始します。

    # /<pathname>/irisinstall
    

    ここで、pathname はインストール・キットの場所で、この章の "インストール・キットの解凍" のセクションで説明されているように、通常はキットの抽出先の一時ディレクトリです。

  3. インストール・スクリプトは、ご使用のシステム・タイプを識別し、インストール・タイプあるいは配布メディアに対する検証を行います。ご使用のシステムが、例えば 32 ビットと 64 ビットなど、複数のタイプをサポートしている場合、あるいは、インストール・スクリプトがシステム・タイプを識別できない場合は、別の質問が表示されます。これには、インストーラ・キット名の末尾の文字列の形式で “プラットフォーム名” を尋ねる質問などが含まれます。目的のシステム・タイプが配布メディア上のものと適合しない場合、インストールが停止します。この問題を解決するには、インターシステムズのサポート窓口Opens in a new tabにお問い合わせください。

  4. スクリプトにより、ホスト上の既存の InterSystems IRIS インスタンスが一覧表示されます。

  5. [インスタンス名の入力] プロンプトで、英数字、アンダースコア、ダッシュのみを使用してインスタンス名を入力します。入力した名前を持つインスタンスが既に存在する場合、現在のインスタンスを更新するかどうかを尋ねられます。入力した名前を持つインスタンスが存在しない場合は、新しいインスタンスを作成するかどうか、作成するのであればインストール・ディレクトリを指定するように指示されます。指定したディレクトリが存在しない場合は、ディレクトリを作成するかどうかを尋ねられます。これらの質問に対する既定の回答は Yes です。“InterSystems IRIS のインストール準備” の章の "インストール・ディレクトリ" のセクションで、インストール・ディレクトリの選択に関する重要な情報を必ず確認してください。

    Note:

    インストール・キットと同じ InterSystems IRIS バージョンの既存のインスタンスを選択する場合、インストールはアップグレードと見なされます。また、次のステップで説明されているように、Custom 選択を使用して、インストールされたクライアント・コンポーネントと特定の設定を変更できます。

    InterSystems IRIS レジストリ・ディレクトリ (/usr/local/etc/irissys) が常に InterSystems IRIS インストール・ディレクトリと共に作成されます。

  6. 次に、以下の選択肢からインストール・タイプを選択します。

    Select installation type.
        1) Development - Install IRIS server and all language bindings
        2) Server only - Install IRIS server
        3) Custom - Choose components to install
    Setup type <1>? 
    
    Note:

    Web ゲートウェイをインストールする際に、お使いのシステムに CSP ゲートウェイが既にインストールされている場合は、インストーラにより CSP ゲートウェイが Web ゲートウェイに自動的にアップグレードされます。詳細は、"既存の CSP ゲートウェイ" を参照してください。

    このドキュメントの “InterSystems IRIS のインストール準備” の章の "セットアップ・タイプ" のセクションを参照して、適切なインストール・タイプを決定します。新しいインスタンスの既定は、InterSystems IRIS の完全なインストールを含む Development です。既存のインスタンスをアップグレードしている場合、既定は元々インスタンスをインストールするために使用されたオプションです。

    Note:

    Custom オプションを選択する場合は、"InterSystems IRIS のカスタム・インストール" で追加のインストール手順を参照してください。

  7. 次に、InterSystems IRIS を 8 ビット・サポートまたは Unicode 文字のサポートのどちらでインストールするかを指定します。アップグレード時に、8 ビットから Unicode に変換することはできますが、逆には変換できません。

  8. 新規インスタンスの場合、次にセキュリティ設定を指定する必要があります。(アップグレード時には、セキュリティ設定を変更できません。)

    最初に、インターシステムズの初期セキュリティ設定の制限を指定します。[最小] (1)、[通常] (2)、[ロック・ダウン] (3) から選択できます。これらのセキュリティ設定の詳細は、"インターシステムズの初期セキュリティ設定" を参照してください。

    [最小] は、InterSystems IRIS インストールにのみ使用できます。これを選択した場合、次の手順はスキップできます。インスタンスの所有者はインストーラによって root として設定されます。

    Important:

    カスタム・インストールでなければ選択できないセキュリティ設定もあります。詳細は、"InterSystems IRIS カスタム・インストール" を参照してください。

  9. 2 または 3 を入力した場合は、その他の情報を入力するよう求められます。

    1. インスタンス所有者 — InterSystems IRIS プロセスの実行に使用するアカウントのユーザ名を入力します。このアカウントに関する詳細は、"所有者およびグループの決定" を参照してください。InterSystems IRIS のインストールが完了すると、インスタンスの所有者は変更できなくなります。

    2. インスタンス所有者のパスワード — 前のプロンプトで入力したユーザ名のパスワードを入力し、確認のために再度入力します。このユーザに対して、%All ロールを持つ InterSystems IRIS 特権ユーザ・アカウントが作成されます。

      このパスワードは、InterSystems IRIS 特権ユーザ・アカウントだけでなく、_SYSTEM、Admin、および SuperUser の事前定義の各ユーザ・アカウントにも使用されます。これらの事前定義ユーザの詳細は、"事前定義のユーザ・アカウント" を参照してください。

    3. CSPSystem 事前定義のユーザのパスワード。

    Note:

    パスワードは、"初期のユーザ・セキュリティ設定" のテーブルに示した条件を満たしている必要があります。この手順で入力したパスワードには、スペース、タブ、またはバックスラッシュの各文字は使用できません。インストーラはそのようなパスワードを受け付けません

  10. インストールのこの時点で、InterSystems IRIS を起動および停止できるグループを指定するように求められます。これらの特権を持つことができるのは 1 グループのみで、このマシンで有効なグループでなければなりません。詳細は、"所有者およびグループの決定" を参照してください。既存のグループ名またはグループ ID 番号を入力します。InterSystems IRIS は、処理を続行する前にそのグループが実際に存在するかを確認します。

  11. 最後に、新しいインスタンスの場合、またはアップグレード時に既存のインスタンスの mgr ディレクトリにある iris.key ファイルをスクリプトが検出しない場合、ライセンス・キー・ファイルの入力を求めるプロンプトが表示されます。有効なキーを指定する場合、インストール中にライセンスは自動的に有効化されて、ライセンス・キーはインスタンスの mgr ディレクトリにコピーされるので、これ以上の有効化手順は不要です。ライセンス・キーを指定しない場合、インストールに続いて、ライセンス・キーを有効化できます。ライセンス、ライセンス・キーおよび有効化についての詳細は、"システム管理ガイド" の “InterSystems IRIS ライセンスの管理” の章にある "ライセンス・キーの有効化" を参照してください。

    Note:

    macOS では、irisdb のネットワーク接続に関するプロンプトが表示されることがあります。表示された場合は、[許可] を選択します。

  12. インストール・オプションを確認し、Enter キーを押してインストールを続行します。[Yes] を選択すると、ファイルのコピーが開始されます。

インストールが完了すると、InterSystems IRIS システムを管理する管理ポータルの URL が示されます。詳細は、"システム管理ガイド" の “管理ポータルの使用” の章を参照してください。

"インストール後のタスク" のセクションに進んで、インストール・プロセスを完了します。

InterSystems IRIS のカスタム・インストール

カスタム・インストールを選択した場合、いくつかのコンポーネントのインストール手順に関する追加の質問に回答する必要があります。既定値は角かっこで囲まれ、これに続いて疑問符 (?) が表示されます。既定値をそのまま使用するには、Enter を押します。

  • [SuperServer port number] と [WebServer port number] — ポート番号が自動的に割り当てられるようにするか、または独自のポート番号を入力できます。アップグレード・インストールではこの選択肢は表示されず、元のインスタンスのポート番号がそのまま使用されます。詳細は、このドキュメントの “InterSystems IRIS のインストール準備” の章の "ポート番号" のセクションを参照してください。

  • [Web ゲートウェイおよび外部 Web サーバ] — サポートされている外部 Web サーバを使用するように Web ゲートウェイを構成できます。InterSystems IRIS のインストールが完了したら、[Yes] を選択します。次に、Web サーバの構成に関する追加の質問に回答して Web ゲートウェイを構成します。

  • [追加のセキュリティ・オプション] — 初期のセキュリティ設定として [通常] または [ロック・ダウン] を選択した場合は、追加のセキュリティ・オプションを構成できます (最小のインストールでは、既定の ID が使用されています)。

    • [InterSystems IRIS の実効グループ] — InterSystems IRIS 内部の実効グループ ID。また、インストール環境にあるすべてのファイルと実行可能ファイルに対する特権をすべて保持しています。最大限のセキュリティ対策として、このグループには実際のユーザは含めないでください。(既定値は irisusr です。)

    • [InterSystems IRIS スーパーサーバの実効ユーザ] — スーパーサーバとジョブ・サーバによって開始されたプロセスの実効ユーザ ID です。ここでも最大限のセキュリティを実現するために、実際のユーザにはこのユーザ ID を使用しないようにします。(既定値は irisusr です。)

    追加情報は、"所有者およびグループの決定" を参照してください。

  • IntegratedML — InterSystems IRIS IntegratedML なしでインストールすることもできます。IntegratedML の詳細は、"IntegratedML の使用" を参照してください。

  • [クライアント・コンポーネント] — 1 つのクライアント・コンポーネントをインストールできます。このクライアント・コンポーネントは、一部のプラットフォームではサポートされない可能性があります。

    Client component selection
         [*]        1) IRIS shared library support (callin)
                    +) Select all
    
    Enter the number of each component you wish to install.
    Enter the number of an already selected component to deselect it.
    Multiple selections can be separated by spaces.
    Enter a blank line to continue.
    

    すべてのコンポーネントを選択するには、プラス記号 (+) を使用します。

    Note:

    UNIX® InterSystems IRIS キットでは常にクライアント・コンポーネントがインストールされます。

選択リスト内の特定のクライアント・コンポーネントに関する詳細は、以下のガイドを参照してください。

クライアントのみの InterSystems IRIS のインストール手順

InterSystems IRIS ディストリビューションには、InterSystems IRIS のクライアントのみバージョンをインストールするためのスクリプトが用意されています。インストール手順は極めてシンプルです。root としてインストールする必要はありません。このインストールからのファイルは、インストールしているユーザのユーザ許可とグループ許可を持ちます。InterSystems IRIS クライアントのインストールを実行するには、以下の手順に従って操作します。

  1. インストール・ファイルの最上位にある irisinstall_client スクリプトを実行し、インストール手順を開始します。

    # /<pathname>/irisinstall
    
    

    ここで、pathname はインストール・キットの場所で、この章の "インストール・キットの解凍" のセクションで説明されているように、通常はキットの抽出先の一時ディレクトリです。

  2. インストール・スクリプトは、ご使用のシステム・タイプを識別し、インストール・タイプあるいは配布メディアに対する検証を行います。ご使用のシステムが、例えば 32 ビットと 64 ビットなど、複数のタイプをサポートしている場合、あるいは、インストール・スクリプトがシステム・タイプを識別できない場合は、別の質問が表示されます。目的のシステム・タイプが配布メディア上のものと適合しない場合、インストールが停止します。この問題を解決するには、インターシステムズのサポート窓口Opens in a new tabにお問い合わせください。

  3. [クライアント・コンポーネントのインストール先ディレクトリの入力] のプロンプトが表示されたら、インストール・ディレクトリを指定します。指定したディレクトリが存在しない場合は、ディレクトリを作成するかどうかを尋ねられます。既定の回答は Yes です。“InterSystems IRIS のインストール準備” の章の "インストール・ディレクトリ" のセクションで、インストール・ディレクトリの選択に関する重要な情報を必ず確認してください。Enter キーを押して、インストールを続行します。

    Note:

    InterSystems IRIS レジストリ・ディレクトリ (/usr/local/etc/irissys) が常に InterSystems IRIS インストール・ディレクトリと共に作成されます。

  4. 使用可能なクライアント・コンポーネント・オプションから選択します。同じマシンに InterSystems IRIS サーバを必要とするコンポーネントは、このリストには表示されません。例を以下に示します。

    Client component selection
    
       [*]    1) ODBC client
       [*]    2) C++ binding
       [*]    3) C++ SDK
              +) Select all
    
    Enter the number of each component you wish to install.
    Enter the number of an already selected component to deselect it.
    Multiple selections can be separated by spaces.
    Enter a blank line to continue.
    

    すべてのコンポーネントを選択するには、プラス記号 (+) を使用します。

共有ライブラリ・サポートや Light C++ バインディングはサーバのインストールを必要とするため、クライアントのみコンポーネントのリストには含まれません。

サーバ環境でクライアント・コンポーネントを更新するには、このスクリプトは使用できません。代わりに、irisinstall スクリプトを使用してください。

選択リスト内の具体的なクライアント・コンポーネントに関する詳細は、"InterSystems IRIS 言語バインディング" セットの以下のガイドを参照してください。

"インストール後のタスク" のセクションに進んで、インストール・プロセスを完了します。

非 root ユーザとしてのインストール

プロダクション環境に InterSystems IRIS をインストールする場合、root 特権を使用することが推奨されます。root 特権なしで InterSystems IRIS インストールを実行することは可能ですが、このインストールにはいくつかの制限があります。以下のセクションで、これらの制限について、および標準の InterSystems IRIS インストールとの違いについて説明します。

Important:

root 特権は、InterSystems IRIS をインストールするときにのみ使用する必要があります。インストールが完了したら、すべてのユーザは非 root 特権を使用して InterSystems IRIS とやり取りする必要があります。

InterSystems IRIS インストールで root を使用する理由

通常、InterSystems IRIS は root を使用してインストールされ、非 root 特権を使用して操作されます。いくつかの機能には root アクセス権が必要ですが、ほとんどのプロセスはインストール時に指定したユーザまたはグループとして実行されます。これらのユーザとグループの目的、および root をどのように使用するかについては、"UNIX のユーザ、グループおよび権限" で説明します。

root 特権を使用する InterSystems IRIS プロセスには次のようなものがあります。

  • オペレーティング・システムでネットワーク設定を変更する有効なユーザ ID (UID) として root を使用する、仮想 IP プロセス。

  • 有効な UID としてインスタンス所有者を使用し、実際の UID として root を使用する制御プロセス。実際の UID は、開始時にラージ・ページを取得し、他の InterSystems IRIS プロセスと通信するために使用します。

  • 有効な UID として root を使用する開始実行可能ファイル。

InterSystems IRIS を root としてインストールすると、root 特権を持つユーザのみがファイル構造を変更または置換できるため、セキュリティも強化されます。

非 root インストールの制限事項

InterSystems IRIS の非 root インストールはサポートされてはいますが、この方法でインストールされたインスタンスでは、使用できない機能がいくつかあります。

  • ヒュージ・ページは使用できません。

  • 外部 Web サーバを使用するように Web ゲートウェイを構成することはできません。

  • ミラー仮想 IP は使用できません。

    Note:

    ネットワーク・ロード・バランサや Web ゲートウェイを使用するなど、ネットワーク・トラフィックをルーティングする別の方法については、"フェイルオーバーまたは災害復旧後のアプリケーション接続のリダイレクト" を参照してください。

  • インストール時に InterSystems IRIS を開始および停止できるインスタンス所有者およびグループを指定するオプションはありません ("所有者およびグループの決定" を参照)。

  • グループ・アクセスは存在しません。レジストリを含むすべてのインスタンス・ファイルはインストールするユーザの所有となり、このユーザによってのみ読み込み、書き込み、および実行が可能となります。

    例えば、標準インスタンスが以下であるとします。

    -rws--x--- 5 root develop 43282 Aug 28 07:52 irismgr
    -r-x--s--x 1 <nonroot-user> irisusr 23058 Aug 28 07:52 irisuxsession
    

    非 root インスタンスは以下のようになります。

    -rwx------ 5 <installing-user> develop 43282 Aug 28 07:52 irismgr
    -r-x------ 1 <installing-user> develop 23058 Aug 28 07:52 irisuxsession
    

レジストリは IRISSYS で指定するディレクトリに配置され、そのレジストリに非 root インスタンスがあります (iris の実行可能ファイルも、このディレクトリにあります)。この非 root レジストリには、非 root のインスタンスのみが存在します。非 root レジストリから root によりインストールされたインスタンスへのアクセスはいずれも失敗します。反対に、非 root のインスタンスを root レジストリに定義することはできますが、所有者以外のユーザによるこのインスタンスへのアクセスはいずれも失敗します。

Note:

レジストリは、NFS ディレクトリではなく、インスタンスがインストールされたマシンのローカル・ディレクトリに配置することをお勧めします。標準の場所 /usr/local/etc がそのようなディレクトリとなります。

非 root インストールの相違点

上述した機能の制限のほかに、InterSystems IRIS の root インストールと非 root インストールにはいくつかの明確な違いがあります。

  • IRISSYS 環境変数は、インストールするユーザによって書き込み可能な既存ディレクトリとして定義する必要があり、インストール中およびすべてのインスタンス操作中に存在している必要があります。

  • ISCAgent は、IRISSYS で指定されたディレクトリにインストールされます。

    Note:

    非 root インスタンスの ISCAgent の開始の詳細は、"高可用性ガイド" の “ミラーリング” の章にある "UNIX®/Linux および macOS システムでの非 root インスタンス用 ISCAgent の開始" を参照してください。

  • インストールしているユーザのアカウントのみが、InterSystems IRIS インスタンスにアクセスして操作できます。

  • InterSystems IRIS の実行可能ファイルおよびプロセスはすべて、インストールするユーザとして実行されます。

InterSystems IRIS の自動インストール

irisinstall_silent スクリプトを使用すると、InterSystems IRIS インスタンスの自動インストールを各自のシステムで実行できます。標準のインストール操作では、必要となる仕様や選択肢をプロンプトでのユーザ応答形式で取得するのに対し、自動操作では、irisinstall_silent コマンド行で指定された構成パラメータやパッケージからこの情報を取得します。各指定パッケージは InterSystems IRIS コンポーネントを表しています。各コンポーネントのインストール・スクリプトは、irisinstall_silent スクリプトを含むディレクトリの下の packages ディレクトリにあります。

コマンド行 irisinstall_silent の一般的な形式は、以下のように、環境変数の設定によるインストール・パラメータの定義の後にコマンド自体が続きます。

sudo ISC_PACKAGE_INSTANCENAME="<instancename>"
 ISC_PACKAGE_INSTALLDIR="<installdir>"
 ISC_PACKAGE_PLATFORM="<platform>" ISC_PACKAGE_UNICODE="Y"|"N"
 ISC_PACKAGE_INITIAL_SECURITY="Minimal"|"Normal"|"Locked Down"
 ISC_PACKAGE_MGRUSER="<instanceowner>" ISC_PACKAGE_MGRGROUP="<group>"
 ISC_PACKAGE_USER_PASSWORD="<pwd>"  ISC_PACKAGE_CSPSYSTEM_PASSWORD="<pwd>"
 ISC_PACKAGE_IRISUSER="<user>" ISC_PACKAGE_IRISGROUP="<group>"
 ISC_PACKAGE_CLIENT_COMPONENTS="<component1> <component2> ..."
 ISC_PACKAGE_STARTIRIS="Y"|"N"
 ./irisinstall_silent [<pkg> ...]
Note:

ルート権限なしで InterSystems IRIS をインストールする場合、詳細は、"非 root ユーザとしてのインストール" のセクションを参照してください。

このセクションでは、以下のトピックについて説明します。

自動インストール・パラメータ

以下のテーブルでは、自動インストールの irisinstall_silent スクリプトで使用するパラメータについて説明しています。

自動インストール・パラメータ
パラメータ 説明
ISC_CPF_MERGE_FILE=<location>"

構成のマージを実行する際に、構成マージ・ファイルの場所を指定します。

詳細は、"構成マージを使用した InterSystems IRIS の自動構成" を参照してください。

ISC_PACKAGE_INSTANCENAME="<instancename>"

(必須)

インストールまたはアップグレードするインスタンスの名前を指定します。インスタンスが存在しない場合は、新規インストールとなります。インスタンスが存在する場合は、アップグレードとなります。以下に例を示します。ISC_PACKAGE_INSTANCENAME="MyIris"

Note:

新規インストールの場合は ISC_PACKAGE_INSTALLDIR パラメータが必要です。

ISC_PACKAGE_INSTALLDIR="<installdir>"

(新規インスタンスで必要)

新しいインスタンスをインストールするインストール・ディレクトリを指定します。以下に例を示します。ISC_PACKAGE_INSTALLDIR="/opt/MyIris"

指定されたディレクトリが存在しない場合、インストールによりそのディレクトリの作成が試行されます。インストールをアップグレードする場合、このパラメータは無視されます。

Note:

インストール・ディレクトリの選択の詳細は、このドキュメントの "インストール・ディレクトリ" のセクションを参照してください。

ISC_PACKAGE_INSTALL_INTEGRATEDML="Y"|"N"

InterSystems IntegratedML をインストールするかどうかを指定します。

IntegratedML の詳細は、"IntegratedML の使用" を参照してください。

Note:

既定では、Y に設定されます。

ISC_PACKAGE_UNICODE="Y"|"N"

(オプション)

UNICODE インストールかどうかを指定します。有効値は、Y または N です。詳細は、"文字幅設定" を参照してください。

ISC_PACKAGE_INITIAL_SECURITY="Minimal"|"Normal"|"LockedDown"

(オプション)

インストールの初期セキュリティ設定を指定します。有効値は、"Minimal"、"Normal"、または "LockedDown" です。

Note:

"Minimal" は、InterSystems IRIS インストールにのみ使用できます。

"Normal"、または "LockedDown" に設定する場合、ISC_PACKAGE_USER_PASSWORD が必要です。

ISC_PACKAGE_MGRUSER="<user>"

(オプション)

インストールの所有者のログイン名を指定します。以下はその例です。ISC_PACKAGE_MGRUSER="jcsmith"

Note:

既定では、インスタンスをインストールするユーザのユーザ名に設定されます。

セキュリティ・レベルが "Minimal" の場合、このパラメータは無視され、ISC_PACKAGE_MGRUSER は "root" に設定されます。

ISC_PACKAGE_MGRGROUP="<group>"

(オプション)

インスタンスの開始および停止を許可されるグループを指定します。以下はその例です。ISC_PACKAGE_INITIAL_MGRGROUP="irisusr"

Note:

既定では、インスタンスをインストールするユーザのグループが設定されます。

ISC_PACKAGE_USER_PASSWORD="<password>"

(安全なインスタンスのインストールの場合、必須)

通常のセキュリティまたはロック・ダウン・セキュリティでインスタンスに必要なパスワードを指定します。

Note:

セキュリティ・レベルが "Minimal" の場合、このパラメータは無視されます。

セキュリティ・レベルが "Normal"、または "LockedDown" で、このパラメータを指定しない場合、インストールは失敗し、エラーがスローされます。

ISC_PACKAGE_CSPSYSTEM_PASSWORD="<password>" CSPSystem ユーザのパスワードを指定します。
Note:

セキュリティ・レベルが "Minimal" の場合、このパラメータは無視されます。

セキュリティ・レベルが "Normal" または "LockedDown" で、このパラメータを指定しない場合、ISC_PACKAGE_USER_PASSWORD の値が使用されます。

ISC_PACKAGE_IRISUSER="<user>"

(オプション)

InterSystems IRIS スーパーサーバの実効ユーザを指定します。

Note:

既定では、irisusr に設定されます。

セキュリティ・レベルが "Minimal" の場合、このパラメータは無視され、既定の設定となります。

ISC_PACKAGE_IRISGROUP="<group>"

(オプション)

InterSystems IRIS プロセスの実効ユーザを指定します。

Note:

既定では、irisusr に設定されます。

セキュリティ・レベルが "Minimal" の場合、このパラメータは無視され、既定の設定となります。

ISC_PACKAGE_CLIENT_COMPONENTS="<component1> <component2> ..."

(オプション)

client_components パッケージからインストールされるクライアント・バインディングを指定します ("自動インストール・パッケージ" を参照)。
Note:

既定では、すべてのクライアント・バインディングがインストールされます。指定するコンポーネント (バインディング) はスペースで区切る必要があります。使用可能なコンポーネントの一覧は package/client_components/manifest.isc にあります。インストールでは指定したコンポーネントを検証して、個々のシステムに存在しない、またはサポートされていないコンポーネントを削除します。

ISC_PACKAGE_WEB_CONFIGURE="Y"|"N"

(オプション)

外部 Web サーバ用に Web ゲートウェイを構成するかどうかを指定します。
Note:

既定では、これは N に設定されます (外部 Web サーバ用にゲートウェイを構成しません)。

ISC_PACKAGE_WEB_SERVERTYPE="Apache"|"SunOne"|"None"

(オプション)

Web ゲートウェイで使用する既存の Web サーバのタイプ。例 : ISC_PACKAGE_WEB_SERVERTYPE="Apache"
Note:

既定では、これは None に設定されます。

ISC_PACKAGE_WEB_APACHE_VERSION=2.2|2.4

(オプション、ISC_PACKAGE_WEB_SERVERTYPE="Apache" と共に使用)

Apache Web サーバのバージョン。
Note:

既定では、バージョンは自動検出されます。

ISC_PACKAGE_WEB_APACHE_USER="<username>"

(オプション、ISC_PACKAGE_WEB_SERVERTYPE="Apache" と共に使用)

Apache Web サーバのユーザ名。
Note:

既定では、ユーザ名は自動検出されます。

ISC_PACKAGE_WEB_APACHE_CONF="<path_to_httpd.conf>"

(オプション、ISC_PACKAGE_WEB_SERVERTYPE="Apache" と共に使用)

Apache Web サーバの構成ファイルの場所 (例 : /etc/httpd/conf/httpd.conf)
Note:

既定では、インストールにより、複数ある標準の場所のいずれかのファイルの自動検出が試行されます。ISC_PACKAGE_WEB_SERVERTYPE="Apache" および httpd.conf の場所が特定されない場合、インストールはエラーで終了します。

ISC_PACKAGE_WEB_SUNONE_DIR="<sunone_installation_dir>"

(オプション、ISC_PACKAGE_WEB_SERVERTYPE="SunOne" と共に使用)

SunOne Web サーバのインストール・ディレクトリ。以下に例を示します。

/usr/netscape/server4/httpd-production

Note:

既定では、インストール・ディレクトリは自動検出されます。

ISC_PACKAGE_WEB_SUNONE_NUMBER="<number>"

(オプション、ISC_PACKAGE_WEB_SERVERTYPE="SunOne" と共に使用)

構成する SunOne Web サーバの数 (複数のサーバがインストールされている場合)。
Note:

既定値は 1 です。

ISC_PACKAGE_WEB_GATEWAY_DIR="<web_gateway_directory>"

(オプション、Web ゲートウェイの新規インストールでのみ)

Web ゲートウェイ・ファイルが保存されるディレクトリ。
Note:

既定のディレクトリは /opt/webgateway_ です。

ISC_PACKAGE_STARTIRIS="Y"|"N"

(オプション)

インストール後に、インストールした InterSystems IRIS インスタンスを開始するかどうかを指定します。
Note:

既定では、Y に設定されていて、インスタンスを開始します。

ISC_INSTALLER_MANIFEST="<location>" インストール・マニフェストでインストールする際、エクスポートされたマニフェスト・クラスの場所を指定します。
Note:

詳細は、付録 “インストール・マニフェストの作成および使用” の "マニフェストの使用" を参照してください。

ISC_INSTALLER_PARAMETERS="<var>=<value>,<var>=<value> ..." インストール・マニフェストでインストールする際、変数の名前と値の組み合わせを指定します。
ISC_INSTALLER_LOGFILE="<filename>" インストール・マニフェストでインストールする際、ログ・ファイル名を指定します。
ISC_INSTALLER_LOGLEVEL="<level>" インストール・マニフェストでインストールする際、-1 (“なし”) から 3 (“詳細”) までの数値でログ・レベルを指定します。

ISC_PACKAGE_SUPERSERVER_PORT="<port_number>"

(オプション)

インストールされるインスタンスで使用されるスーパーサーバ・ポートを指定します。
Note:

既定では、このポートは 1972 に設定されます (可能な場合)。それ以外の場合、ポートは 51773、またはこれ以降の使用可能な最初のポート番号に設定されます。

ISC_PACKAGE_USER_DATABASE=Y|N オプションのユーザ・データベースをインストールするかどうかを指定します。既定では、Y に設定されます。

ISC_PACKAGE_WEBSERVER_PORT="<port_number>"

(オプション)

インストールされるインスタンスで使用される Web サーバ・ポートを指定します。
Note:

既定では、このポートは自動的に検出されます。最初は 52773 で、インストールされた InterSystems IRIS のインスタンスごとに 1 ずつ増加します。

自動インストール・パッケージ

各コンポーネントのインストール・スクリプトは、irisinstall_silent スクリプトを含んでいるディレクトリの配下の packages ディレクトリに含まれています。各パッケージは、それぞれのディレクトリ内に配置され、各パッケージのディレクトリには、そのディレクトリ内パッケージの前提条件となるパッケージが定義された manifest.isc ファイルが含まれています。

standard_install パッケージは、すべてのパッケージがインストールされるサーバ・インストールの開始ポイントです。カスタム・パッケージを定義するには、以下のように standard_install パッケージの manifest.isc ファイルをテンプレートとして使用します。

  1. standard_install ディレクトリを新しいディレクトリにコピーします。

    例えば、custom_install という名前のディレクトリにコピーします。新しいディレクトリにコピーされた manifest.isc ファイルの初期の状態は次のようになります。

    #This is the target for a standard (non-client-only) install
    package: standard_install
    prerequisite: install_mode
    prerequisite: database_server
    prerequisite: databases
    prerequisite: gadget
    prerequisite: fop
    prerequisite: renderserver
    prerequisite: printserver
    prerequisite: excelexporter
    prerequisite: callin_components
    prerequisite: client_components
    prerequisite: addenda
    prerequisite: install_confirmation
    prerequisite: copyright
    
  2. 新しいディレクトリで、以下のように manifest.isc ファイルを変更します。

    • パッケージ・キーをディレクトリ名の値に設定します (必須)。

    • カスタム・インストールの前提条件ファイルを追加または削除します。

    例えば、以下の manifest.isc ファイルでは、パッケージ・キーの値がディレクトリ名 (custom_install) に一致するように変更されています。

    #This is the target for a custom (non-client-only) install
    package: custom_install
    prerequisite: install_mode
    prerequisite: database_server
    prerequisite: gadget
    prerequisite: fop
    prerequisite: renderserver
    prerequisite: printserver
    prerequisite: excelexporter
    prerequisite: callin_components
    prerequisite: client_components
    prerequisite: addenda
    prerequisite: install_confirmation
    prerequisite: copyright
    

次に、自動インストールを実行するときに新しいカスタム・パッケージを指定できます。例えば、sudo ISC_PACKAGE_INSTANCENAME="MyIris" ./irisinstall_silent custom_install のように指定します。

Note:

独自の UNIX® インストール・パッケージを作成して、それらを InterSystems IRIS ディストリビューションに追加する方法の詳細は、付録 "InterSystems IRIS ディストリビューションへの UNIX® インストール・パッケージの追加" を参照してください。

自動インストールの例

以下の例は、irisinstall_silent スクリプトを使用して、InterSystems IRIS を UNIX® プラットフォームに自動インストールする方法について示しています。

例 1

この例では、すべてのパッケージが最低限のセキュリティでインストールされます。

sudo ISC_PACKAGE_INSTANCENAME="MyIris" ISC_PACKAGE_INSTALLDIR="/opt/MyIris1" ./irisinstall_silent

MyIris インスタンスが既に存在する場合は、これがアップグレードされます。存在しない場合は、/opt/MyIris1 ディレクトリにインストールされます。

例 2

この例では、MyIris という名のインスタンスが存在しない場合に、インストールが中止され、エラーがスローされます。

sudo ISC_PACKAGE_INSTANCENAME="MyIris" ./irisinstall_silent
例 3

この例では、database_server パッケージ、odbc パッケージおよび odbc クライアント・バインディングのみが最低限のセキュリティでインストールされます。

sudo ISC_PACKAGE_INSTANCENAME="MyIris" ISC_PACKAGE_INSTALLDIR="/opt/MyIris2"
ISC_PACKAGE_CLIENT_COMPONENTS="odbc" ./irisinstall_silent database_server odbc

インストール後のタスク

インストール手順の実行が完了したら、以下のタスクを実行します。

InterSystems IRIS の起動

ほとんどのインストールでは、インストールが完了すると InterSystems IRIS は自動的に起動します。InterSystems IRIS を起動する必要がある場合は、最初にオペレーティング・システムにログインし、iris コマンドを使用して InterSystems IRIS を起動します。

iris start <instname>

instname は、インストール時に指定したインスタンス名です。Red Hat Linux では、起動コマンドは以下のとおりです。

service <instname> start

InterSystems IRIS の起動および停止には、iris コマンドを使用します。この詳細は、"システム管理ガイド" の "InterSystems IRIS インスタンスの制御" のセクションを参照してください。

Note:

mgr サブディレクトリへのパスを構成するすべての要素に対する許可を、(少なくとも) irisusr グループが読み取りアクセスできるように設定する必要があります。このような許可を設定しないと、インスタンスは完全には起動せず、「パス manager_subdirectory の要素を読み取りできませんでした (errno 2)」というメッセージが messages.log に記録されます。

InterSystems IRIS が起動したら、iris terminal コマンドを使用して InterSystems IRIS セッションを開始します。"システム管理ガイド" の “InterSystems IRIS の複数インスタンスの使用法” の章にある "InterSystems IRIS インスタンスの接続" を参照してください。

iris terminal <instname> [parameters]

instname は、インストール時に指定したインスタンス名です。

詳細は、"システム管理ガイド" の “UNIX®、Linux、および macOS での InterSystems IRIS 使用法” の章を参照してください。

開発環境のインストール

InterSystems IRIS ではプライベート Apache Web サーバがインストールされるため、管理ポータルにはアクセスできますが、UNIX® 上の開発環境は含まれません。したがって、Windows クライアント上で実行する必要のあるスタジオか、Visual Studio Code の InterSystems ObjectScript 拡張機能を選択する必要があります。VS Code - ObjectScript の詳細は、https://intersystems-community.github.io/vscode-objectscript/Opens in a new tab を参照してください。

Windows クライアントをインストールするには、このドキュメントの “Microsoft Windows への InterSystems IRIS のインストール” の章の "クライアント・コンポーネントのみのインストール" のセクションの手順に従います。Windows クライアントがインストールされたら、以下のタスクを実行して、スタジオをインスタンスに接続します。

  1. Windows クライアントで、InterSystems IRIS ランチャーを開きます。

  2. [優先接続サーバ] を指して [追加/編集] をクリックし、インストールした InterSystems IRIS インスタンスへのリモート・サーバ接続を追加します。この接続に適切なポート番号を指定するように注意してください。

  3. [リモート システム アクセス][スタジオ] の順にポイントし、前の手順で入力した該当する接続名をクリックします。

特別な考慮事項

このセクションでは、以下のトピックについて説明します。

複数の InterSystems IRIS インスタンス

1 台のマシンに、複数のインスタンスをインストールして、同時に実行できます。それには、InterSystems IRIS の各インスタンスに一意の名前を付け、別々のディレクトリにインストールし、それぞれに異なるポート番号を割り当てます。

詳細は、"システム管理ガイド" の “InterSystems IRIS 複数インスタンスの使用法” の章にある "複数の InterSystems IRIS インスタンスの構成" のセクションを参照してください。

InterSystems IRIS のアンインストール

InterSystems IRIS を安全にアンインストールするには、以下の手順に従います。

  1. iris list コマンドを使用して、対象のマシンにあるインスタンスをすべて一覧表示し、削除したい InterSystems IRIS インスタンスの名前を見つけます。

    iris list
    
  2. 目的のインスタンスが停止していることを確認します。停止していない場合、iris stop コマンドを使用して、このインスタンスを停止します。

    iris stop <instname>
    

    instname は、インストール時に指定したインスタンス名です。このインスタンスがハングアップしている場合は、iris force を使用して強制終了します。

    iris force <instname>
    
  3. iris delete コマンドを使用して、インスタンスを削除します。

    iris delete <instname>
    
  4. 以下のオペレーティング・システム・コマンドを使用して、インストール・ディレクトリを削除します。

    rm -r <directory>
    
    Important:

    この操作では、保持する必要のあるファイルも削除されます。例えば、ライセンス・キー (iris.key)、構成ファイル (iris.cpf)、ユーザ・データベース・ファイル (iris.dat) などです。

このアンインストール手順では、ジャーナルや一時データベース・ファイルを含め、通常の InterSystems IRIS 処理中にインストールおよび作成されたファイルがすべて削除されます。

Important:

SUSE Linux Enterprise Server 9 プラットフォームでは非同期スクリプトレットが使用されるので、アンインストール処理でファイルを削除する前に InterSystems IRIS が停止していることを保証できません。

macOS での多数の同時プロセスの調整

多数のプロセスまたは Telnet ログインを必要とするシステムを実行する場合は、以下の調整を行う必要があります。

  1. リモート接続 — pty (擬似ターミナル) 接続の数はシステム全体で 128 までに制限されています。アプリケーションがユーザ・アクセスを Telnet などの pty 使用接続に依存している場合は、この点に注意してください。

  2. プロセス数 — 多数のプロセスの実行が必要な場合は、pty 制限に該当しなくても、プロセス数自体に制限があります。

    • システム全体でのプロセス制限kern.maxproc および kern.maxprocperuid パラメータの既定値はそれぞれ 532100 に設定されています。これらのパラメータは、次のコマンドを使用して変更できます。

      administrator$ sudo sysctl -w kern.maxproc=2500
      kern.maxproc: 2065 -> 2500
      administrator$ sudo sysctl -w kern.maxprocperuid=2500
      kern.maxprocperuid: 2000 -> 2500
      
      administrator$ sysctl -a | grep maxproc
      kern.maxproc = 2500
      kern.maxprocperuid = 2500
      
      

      ただし、2500 が変更不能な絶対上限であることに注意してください。

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