InterSystems IRIS の基礎 : 相互運用プロダクションを使用したシステムの接続
ここでは、InterSystems IRIS® データ・プラットフォーム相互運用プロダクションを使用してシステム間の接続を確立する方法を説明します。
ローカル・ファイル・システムでファイルを編成し、ファイル・アダプタを使用してファイルの読み取りおよび書き込みを行う、簡単なプロダクションを作成するオンラインの実践演習については、"Creating a Basic Production in InterSystems IRISOpens in a new tab" を参照してください。
システムを接続する理由
システムの接続には、あるシステムからのメッセージを別のシステムで処理できるようにする操作が関係します。例えば、以下のシナリオにはシステムの接続が必要です。
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効率性を高めるために、本来 1 つの機能を実行するよう設計されている複数のシステムを統合する必要がある。例えば、在庫の追跡、資材の注文、売上の記録、および発送の管理を行う個々のシステムを統合することで効率性を高めることができます。
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合併後に、別個の組織で同じ機能を実行するシステムが、統合された組織の成果を上げるために連動する必要がある。
システムを接続する際に、次のような課題に直面する場合があります。
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システムで異なる通信プロトコルを使用している (あるシステムでは TCP を使用し、別のシステムでは SOAP を使用し、また別のシステムでは REST を使用しているなど)。
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システムで異なる形式や異なる標準に基づいた異なるメッセージを使用している。
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メッセージが適切なシステムに正常に配信されていることを保証し、エラーを検知して修正できることが必要である。
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メッセージを転送しているシステムを監視し、一度に受信するメッセージが多すぎる場合はメッセージにキューを提供し、システム全体のパフォーマンスを監視して、障害が生じていないことを確認する必要がある。
カスタム・アプリケーションをコーディングしてシステムを接続することもできますが、InterSystems IRIS プロダクションを開発する方がずっと簡単で迅速です。InterSystems IRIS には、システムを接続して、カスタム・コードの必要性を最小限に抑える、もしくは排除することを可能にするフレームワークが用意されています。
プロダクションの概要
InterSystems IRIS プロダクションは、システムを簡単に接続し、アプリケーションを開発して相互運用性を実現するための統合フレームワークです。プロダクションには、幅広いメッセージ形式と通信プロトコルに対応する組み込みの接続が用意されています。その他の形式やプロトコルを簡単に追加することができ、ビジネス・ロジックとメッセージ変換をコーディングまたはグラフィック・ウィザードを使用して定義できます。プロダクションにはメッセージの永続ストレージが用意されているので、メッセージのパスをトレースして、メッセージが正常に配信されたかどうかを監査できます。プロダクションはビジネス・サービス、ビジネス・プロセス、ビジネス・オペレーションで構成されます。
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ビジネス・サービスは外部システムと接続し、そこからメッセージを受信します。
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ビジネス・プロセスでは、ルーティングやメッセージ変換を含むビジネス・ロジックを定義できます。
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ビジネス・オペレーションは外部システムと接続し、そこにメッセージを送信します。
システムを接続する際には、一方のシステムで他方のシステムのメッセージとドキュメントを解釈することが難しい場合があります。例えば、以下の問題を考えてみます。
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2 つの別個のシステムがあります。一方は複数のネットワーク・デバイスからデータを収集し、もう一方は故障したデバイスと修理プロセスを追跡する作業指示システムです。
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現在のプロセスでは、デバイスの監視と修理プロセスの開始は人的操作に頼っています。これは遅れの原因になっており、信頼性が低いです。
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これら 2 つのシステムを接続して、収集されるデータを監視し、修理プロセスの開始を自動化することになりました。データ収集システムで故障したデバイスを検出する方法と、修理を開始する方法はわかっていますが、2 つのシステムは互換性のない形式でデータを保管していて、データが同じアイテムを表していても形式が異なります。
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また、データ収集システムから修理が開始されるときのアクションを記録する必要があります。
InterSystems IRIS プロダクションを使用して、この問題を解決できます。プロダクションが提供するフレームワークにより、データ収集システムからメッセージを受け入れ、修理システムが解釈できるメッセージに変換した後で、修理システムにメッセージを送信するように、インタフェースを定義できます。また、プロダクションでは、メッセージ・パスの記録も保管されます。
以下に簡単なプロダクションの図を示します。
相互運用プロダクションの詳細
プロダクションの詳細は、以下を参照してください。