InterSystems IRIS Adaptive Analytics
InterSystems IRIS Adaptive Analytics の概要
InterSystems IRIS® Adaptive Analytics は、InterSystems IRIS と一般的なビジネス・インテリジェンス (BI) および人工知能 (AI) クライアント・ツール間のビジネス指向の仮想データ・モデル・レイヤを提供する、オプションの拡張機能です。直感的なユーザ・インタフェースを備えており、仮想キューブの形でデータ・モデルを開発できます。この仮想キューブではデータを整理し、計算メジャーを一貫して定義し、データ・フィールドの名前を明確に付けることができます。一元化された共通のデータ・モデルにより、定義や計算値が異なるといった問題が解消され、エンド・ユーザにビジネス・メトリックとデータ特性の 1 つの一貫したビューが提供されます。
Adaptive Analytics の主な機能:
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Adaptive Analytics モデラにより、複雑なデータ構造、テーブル、リレーションシップを公開することなく、ビジネス・ユーザがデータを利用できるようにする。
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データ・モデルの変更は仮想キューブとして公開されるため、長時間の再構築による中断を回避できる。
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ユーザが選択した BI ツールによる OLAP (Online Analytical Processing) モデルへの統一アクセス。
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InterSystems IRIS 内に保存されているすべてのデータに対するライブ接続。
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頻繁に使用されるクエリのデータ構造の自動集約。
Adaptive Analytics は、AtScale, Inc. の製品である AtScale® を利用しています。AtScale の機能の詳細は、同社の公式ドキュメントOpens in a new tabを参照してください。InterSystems IRIS Adaptive Analytics のライセンスを所有するユーザのみがこのドキュメントを参照できます。
InterSystems IRIS Adaptive Analytics のセットアップ
InterSystems IRIS Adaptive Analytics をセットアップするには、以下の手順を完了する必要があります。
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AtScale のインスタンスのインストールまたはアップグレード
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Adaptive Analytics のユーザ定義集約関数のための InterSystems IRIS インスタンスの構成
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InterSystems IRIS インスタンスと統合するための AtScale の構成
ここでは、セットアップ・プロセスの各手順について詳しく説明します。
AtScale のインストールまたはアップグレード
InterSystems IRIS Adaptive Analytics は、InterSystems IRIS インスタンスを AtScale インストールと統合します。InterSystems IRIS Adaptive Analytics は、AtScale の最新の検証済みバージョンを使用します。このバージョンは、WRC ソフトウェア配布ページOpens in a new tabの、Adaptive Analytics パッケージの [バージョン] 列にリストされています。
AtScale のインスタンスをインストールまたはアップグレードするには、以下の手順を実行します。
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WRC ソフトウェア配布ページOpens in a new tabの [コンポーネント] セクションから、お使いのオペレーティング・システムに適した AtScale インストール・パッケージをダウンロードします。[名前] 列で Adaptive Analytics を検索して、利用可能なパッケージを見つけます。ダウンロードするファイル名の形式は、AdaptiveAnalytics-[AtScaleVersion]-[PlatformVersion].rpm または AdaptiveAnalytics-[AtScaleVersion]-[PlatformVersion].deb です。[AtScaleVersion] はパッケージがインストールする AtScale のバージョンで、[PlatformVersion] はパッケージが対応しているオペレーティング・システムです。
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AtScale をインストールまたはアップグレードした後、AtScale の公式ドキュメントOpens in a new tabに記載されている手順に従って有効にします。
Note:
InterSystems IRIS Adaptive Analytics の購入時に、AtScale サーバに適用される別個の AtScale ライセンスを受け取るはずです。AtScale を有効にするには、このライセンスが必要です。ライセンスについて質問がある場合は、インターシステムズの営業担当者にお問い合わせください。
AtScale をインストールしたら、Adaptive Analytics のユーザ定義集約関数をインポートし、次のセクションの説明に従って InterSystems IRIS Adaptive Analytics を構成します。
Adaptive Analytics のための InterSystems IRIS の構成
ここで提供する構成手順は、既に InterSystems IRIS を正常にインストールし、プライマリ・ネームスペースとデータベースを構成していることを前提としています。まだ行っていない場合は、"InterSystems IRIS インストレーション・ガイドOpens in a new tab" と、"システム管理ガイド" の "ネームスペースの作成/変更Opens in a new tab" セクション内の手順を参照してください。また、これらの手順では、適切なバージョンの AtScale が既にインストールされていることを前提としています。
Adaptive Analytics のユーザ定義集約関数 (UDAF) を利用するには、まず以下の手順に従って WRCOpens in a new tab から UDAF クラス・ファイルをインポートして登録する必要があります。
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WRC ソフトウェア配布ページOpens in a new tabの [コンポーネント] セクションから、Adaptive Analytics UDAF パッケージ・ファイル (AdaptiveUDAF.xml) をダウンロードします。
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Adaptive Analytics インスタンス上で、管理ポータルに管理者権限を持つユーザとしてログインし、Adaptive Analytics ネームスペースにいることを確認します。
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[システムエクスプローラ]→[クラス] に移動し、[実行] をクリックします。
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[インポート] をクリックします。モーダル・ウィンドウで、[インポートファイルが存在する場所] フィールドの [マイローカルマシン] オプションを選択し、AdaptiveUDAF.xml ファイルを選択します。
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[インポートしたアイテムをコンパイル] ボックスにチェックを付け、[コンパイルフラグ] を cuk に設定します。[インポート] をクリックします。
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[システムエクスプローラ]→[SQL] に移動します。以下のコマンドを実行します。
CALL AtScaleUDAF.Register()
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構成を確認するには、[システムエクスプローラ]→[SQL] に移動して、以下のクエリを実行します。
SELECT ATSCALE_HONEYBEE_VERSION()
この時点の構成では、システムで集約がソース・データと同じデータベースに格納されます。インターシステムズでは、より一般的なデータ・セットから手動でフィルタ処理を行うことなく、集約を管理および評価できるよう、集約を分離することを強くお勧めします。ソース・データから集約を分離するには、以下の手順を実行します。
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ターミナル・セッションに管理者権限を持つユーザとしてログインします。Adaptive Analytics ネームスペースにいることを確認します。
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以下のコマンドを呼び出して、集約データベースとグローバル・マッピングを構成します。
write ##class(AtScaleUDAF.Utils).CreateDatabase("/<instancePath>/mgr/AtScale/")
ここで、<instancePath> は、Adaptive Analytics インスタンスのフル・パスです。
AtScale への InterSystems IRIS Business Intelligence キューブのエクスポート
Adaptive Analytics では、Business Intelligence キューブの Adaptive Analytics キューブへのエクスポートをサポートしています。以下のキューブのエクスポート手順では、前のセクションで説明した構成をすべて完了していることを前提としています。このプロセスにより、元の Business Intelligence キューブが変更されることは一切ありません。
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キューブのエクスポート元の InterSystems IRIS インスタンスでターミナル・セッションを開きます。
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エクスポートするキューブのネームスペースにいることを確認します。
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以下のコマンドを実行します。
set cube = "CUBENAME"
set caltab = "CALENDARTABLE"
set file = "PATH/EXPORTFILENAME"
ここで、CUBENAME は IRIS BI キューブ名、CALENDARTABLE は日付を管理するためのオプションのカレンダーのテーブル、および PATH/EXPORTFILENAME はキューブのエクスポートのターゲット・パスになります。以下の例は、キューブ名と日時スタンプを持つ出力ファイルを配置します。
set cube = "HoleFoods"
set caltab = "MyCalendarTable"
set file = "/tmp/ cubeExport "_cube_" "_$TRANSLATE($ZDT($h,3)," :","--")_".json"
set sc=##class(%DeepSee.Utils).%AtScaleExportCube(cube,file,caltab)
カレンダー・ファイルが使用されない場合は、最後のコマンドで caltab 引数を省略するだけです。
以下のコマンドを実行して、キューブがエクスポートされたことを確認します。
write sc
エクスポートが成功すると、このコマンドは結果として生成される .json ファイルのフル・パスを返します。このパスは後の手順に必要になります。このファイルはテキスト・エディタまたは好みの IDE で表示できます。
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AtScale Design Center にログインして、ホーム・ページで、[Import from InterSystems IRIS] クイック・スタート・オプションを選択します。
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モーダル・ウィンドウで、[Browse] をクリックし、前に確認した .json キューブ・ファイルに移動して開きます。プライマリ・モーダル・ウィンドウに戻り、[次へ] をクリックします。
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[Data Warehouse] および [Schema] ドロップダウン・メニューから、このプロジェクトに構成したデータ・ウェアハウスの名前と適切なスキーマの名前をそれぞれ選択します。[Next] をクリックしてインポートを実行します。
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[Review Import] 画面で、[Download Report] をクリックします。このレポートは、インポートのパフォーマンスの詳細と、必要に応じてモデルに対する調整の推奨事項を提供します。
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この画面で、.json エクスポート・ファイルの構造と Adaptive Analytics の予期するデータ・モデル間で互換性がないことに関する警告が表示される場合があります。これらは主に、IRIS BI における独自の MDX 操作の使用による IRIS BI の計算メジャーとドリル・スルーに関するものです。インターシステムズでは、すべての計算メジャーとドリル・スルーを手動でレビューし、Adaptive Analytics のデータ・モデルに準拠するよう必要に応じてそれらを調整することをお勧めします。このレビュー・プロセスの概要については後の手順で説明します。[Next] をクリックします。
また、データ・コネクタに基づくキューブと、キューブ間のリレーションシップは、このプロセスではエクスポートされません。
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必要に応じて設計時および実行時の権限を設定し、[Next] をクリックしてインポート・プロセスを確定します。
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以下のように計算メジャーとドリル・スルーをレビューします。
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AtScale Design Center で、Adaptive Analytics プロジェクトに移動します。
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インポートしたキューブをクリックして、メイン・キャンバス内で開きます。
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メイン・キャンバスで [Calculated Measures] ツールをクリックします。
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各計算メジャーについて [Edit] をクリックし、モーダル・ウィンドウで [Test MDX] をクリックします。表示されるエラー・メッセージを参照し、各 MDX の定義に対する適切な調整を決定します。
これで、他の Adaptive Analytics モデルと同じようにインポートされたキューブをレビューできます。
Adaptive Analytics と InterSystems Reports との統合
Adaptive Analytics は InterSystems Reports と統合することで、ユーザが共通のデータ・モデルである仮想キューブを、Microsoft PowerBI や Tableau といったビジネス・インテリジェンス・ツールと共有できるようにします。これによって、ユーザはツール・キット間で共通の計算や定義を活用できます。
以下のレポート生成の手順は、このガイドで前述したすべての構成と、“InterSystems Reports デザイナーOpens in a new tab” および “InterSystems Reports サーバと InterSystems IRISOpens in a new tab” で説明する構成を既に完了していることを前提としています。
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Hive Driver を使用して、Adaptive Analytics に接続するよう Reports デザイナーを構成します。
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Reports デザイナーを起動して、[Hive] をクリックします。
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[Hive への接続を作成] モーダル・ウィンドウで、[新規カタログ] を選択します。[ディレクトリ] は希望のパスに設定できます。[カタログ] フィールドで、動的接続を作成するために以前に使用したカタログを選択し、[OK] をクリックします。
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[JDBC 接続情報を取得] モーダル・ウィンドウで、[ドライバ] チェックボックスにチェックを付け、横にあるフィールドに「org.apache.hive.JDBC.HiveDriver」と入力します。[URL] を Adaptive Analytics インスタンスの URL に設定し、[ユーザ] および [パスワード] フィールドを Adaptive Analytics インスタンスの管理ユーザのユーザ名とパスワードに設定します。
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[追加のオプション] をクリックします。モーダル・ウィンドウの [修飾子] タブで、[名前パターン] ペインから [2 部構成の名前] を選択し、[引用符修飾子] ペインから [ユーザ定義] を選択して指定される " の値を受け入れます。[OK] をクリックします。
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カタログが生成されたら、[グループ・クエリをプッシュダウン] フィールドを true に編集します。これで、InterSystems Reports で通常行うように、このカタログに基づいてレポートを公開できるようになりました。
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Adaptive Analytics にレポート・ユーザを追加します。
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AtScale Design Center にログインし、[Security] に移動して、[Create User] をクリックします。
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InterSystems Reports ユーザに必要な情報を入力し、[Roles] ペインで、[Runtime Query User] を選択します。[Create User] をクリックします。
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以下のように Reports サーバが構成されていることを確認します。
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InterSystems Reports サーバ・インスタンス上で、管理ポータルに管理者権限を持つユーザとしてログインします。
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[システム管理]→[構成]→[InterSystems Reports] の順に移動します。
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サーバ定義のテーブルで、Adaptive Analytics に接続する Reports サーバの行の上で [構成] をクリックします。このサーバが存在しない場合、“InterSystems Reports サーバと InterSystems IRISOpens in a new tab” 内の構成手順に従って、サーバを作成します。
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以下のように、Adaptive Analytics にアクセスするよう Reports サーバを構成します。
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アイコン・メニューで、[マイ・フォルダ] をクリックします。
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[管理]→[接続]→[動的接続] に移動し、[新規接続] をクリックします。
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[カタログ] ドロップダウン・メニューから、使用するカタログ・ファイルを選択します。まだファイルが存在しない場合は、“InterSystems Reports デザイナーOpens in a new tab” の手順に従って作成します。自動入力されたフィールドに、期待される値が含まれていることを確認します。
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[データベース・ユーザ・マッピングを追加] をクリックし、自動生成されるプロファイルで、[データベース・ユーザ] フィールドをダブルクリックして、名前を編集します。それを Design Center で作成したユーザの名前に置き換えます。その他の既定値を受け入れて [OK] をクリックします。
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[動的接続] リストで、新規作成した接続をクリックします。
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[プロパティ] リストで、接続名をダブルクリックして、希望の名前に編集します。
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[リソース] に移動して、希望のレポートを実行します。