InterSystems IRIS 2024.3 の新機能
このページでは、InterSystems IRIS® データ・プラットフォームの 2024.3 リリースの新機能、機能強化、およびその他の重要な更新について説明します。このリリースは、継続配布 (CD) リリースです。
このリリースに含まれる変更点に関して考慮すべきその他の情報は、"既知の問題と注意" を参照してください。このリリースに含まれる変更点の完全なリストは、"Upgrade ChecklistOpens in a new tab" を参照してください。
2024.3 のリリース情報
現在のリリースは 2024.3 です。2024.3 のポストはビルド 2024.3.0.217.0 です。
開発者エクスペリエンスの強化
この機能で、ビジュアル・トレースに簡単な [再送] ボタンが導入されました。複雑なメッセージ検索を実行しなくても、トレースから直接メッセージを再送できます。これにより、統合シナリオでメッセージ・フローを修正するのに必要な時間が大幅に短縮されます。
ルール・エディタにいくつかの機能強化が導入され、使いやすさとスケーラビリティが向上しました。
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ルールによるフィルタの追加 :ルールの表示と編集を簡素化するツールバー・フィルタを追加します。
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特定のルールへの自動スクロール :エディタ内の特定のルールに自動的にスクロールします。
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大規模ルール・セットのサポート :大規模ルール・セットを処理および管理する機能を強化します。
分析と AI の強化
InterSystems IRIS 2024.1 で試験的機能として導入されたベクトル検索が、プロダクションでの使用で完全にサポートされるようになりました。
このリリースでは、InterSystems IRIS 2024.1.0 で導入されたベクトル検索機能が大幅に強化されています。低レベルのベクトル類似性演算の最適化と、ベクトル・データ用にさらに調整されたストレージ・モデルにより、生のベクトル検索の速度が 3 ~ 4 倍向上しました。
このリリースでは、別の列に取り込まれたテキストまたは他のコンテンツのベクトル埋め込みの作成を自動化する、新しい EMBEDDING データ型も導入されました。これにより、新しい行を取り込む際に、ユーザ・コードで埋め込みモデルを呼び出し、それらのベクトル埋め込みを手動で渡す必要がなくなります。EMBEDDING 列は、同じテーブル内のソース列と、使用する特定の埋め込みモデルまたはサービスを定義する指定された構成を参照するだけです。
これらの新機能の詳細は、"ベクトル検索の使用法" を参照してください。
InterSystems IRIS Adaptive Analytics バージョン 2024.1.3 には、AtScale バージョン 2024.1.3 と更新されたユーザ定義の集約関数 (UDAF) ファイルが含まれます。このリリースには、以下の新しいモデリングと BI の機能が含まれます。
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単に計算で定義された形式ではなく、フィールド入力に基づいた計算出力の形式。これは、ドル、ユーロ、または時間での前年比成長率など、標準的な出力形式を設定できない計算には特に便利です。
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MDX 関数DatesPeriodsToDate、DatesMTD、DatesQTD、DatesWTD、DatesYTD のサポート。
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Microsoft Excel のカスタム・ピボット・テーブルのディメンジョン・グループ化機能のサポート。これにより、モデルに変更を加えることなく、Excel 内にカスタム・グループを作成できます。この変更には、セッションのサブキューブ、命名、合計、フィルタリング、グループ解除のサポートも含まれます。
AtScale 2024.1.3 の詳細は、AtScale のリリース・ノートOpens in a new tabを参照してください。
Adaptive Analytics の詳細は、インターシステムズのドキュメントとオンライン学習コンテンツOpens in a new tabを参照してください。
SQL とデータ管理の強化
SQL クエリ・プランに、クエリの構造、スキーマ、またはシステム設定を改善する機会をユーザに知らせる、情報メッセージや警告メッセージを含めることができるようになりました。メッセージには、テーブルに統計情報がない、インデックスが選択不能とマークされている、照合が不一致である、などの警告を含めることができます。将来のリリースでは、ユーザに表示するメッセージのタイプが拡張され、ネームスペース・レベルでこの情報を簡単に集計し、利用するためのメカニズムが追加される予定です。
文の先頭で共通テーブル式 (CTE) を定義するために使用する WITH 節を、DML 文でも使用できるようになりました。これにより、複雑な INSERT ... SELECT 文、または複雑な FROM 節を含む UPDATE 文や DELETE 文を、前もって CTE を定義することで簡素化し、文の全体的な読みやすさを向上させることができます。
スピード、スケール、セキュリティの強化
管理者は、SQL 文に対してよりきめ細かい監査ポリシーを定義し、以前と同様にアクセス・メカニズム (データベース・ドライバ、ダイナミック SQL、埋め込み SQL) に基づいて調整するほか、文の種類に基づいて調整することもできるようになりました。例えば、ポリシーで、データを変更するすべての文 (DML 文) を監査するが、データを読み取るだけのクエリは無視することができます。
Linux および Unix プラットフォームにおいて、基盤となるファイルシステムで使用可能であれば、InterSystems IRIS は高速ストレージ割り当て機能を使用して、データベースおよび WIJ ファイルを拡張できるようになりました。以前は、データベースの拡張は空のブロックを書き込むことで行われていました。これに対し、新しいアプローチでは、行われるのはメタデータ操作のみであるため、データベースおよび WIJ ファイルの拡張速度が 50 ~ 100 倍向上します。この新しいアプローチがサポートされているファイルシステムは、Linux では XFS、ext4、Btrfs、AIX では JSF2 です。他のプラットフォームやファイルシステムでは、このリリースで導入された拡張コードのその他の最適化により、限定的な改善が見られる可能性があります。
このリリース以降、テーブルにデータが存在する場合でも、シャード化されていないテーブルのシャード・テーブルへの変換、またはその逆が可能になります。新しい ALTER TABLE ... CONVERT コマンドを使用すると、テーブルのストレージ定義を変更できるだけでなく、シャード・マスタ・データベースからシャード全体 (またはその逆) にデータを分散することができます。これはオンライン操作であり、変換の実行中でも、アプリケーションとクエリはテーブルに対する読み取りと書き込みを続行することができます。この長時間かかる可能性のある操作の進捗状況を確認するための API メソッドも用意されています。
列指向ストレージを使用して、最速の分析クエリ応答時間を実現する場合、データは一度に最大 64,000 個の値を保持する $vector チャンクに編成されます。カーディナリティが高い (多くの個別値を持つ) 文字列フィールドの場合、これらのデータ構造には、単一ユニットに格納できるデータの下限に達するリスクがあり、このような列のストレージ・モードは、列に定義されている文字列長に基づいて、自動的に行レイアウトに戻されていました。このリリースでは、列に定義されている長さに基づいて、チャンク・サイズを自動的に調整するメカニズムが導入されました。これにより、列指向ストレージを使用して長い文字列サイズも処理できるようになり、分析クエリで使用する場合に応答時間が速くなります。
その他の機能強化と効率の向上
相互運用性の使用状況メトリックを保存するための、新しいシステム・データベース IRISMETRICS が導入されました。ユーザのアプリケーションが IRISMETRICS データベースと直接やり取りすることはできません。これは、InterSystems IRIS が内部で使用するためのデータベースです。
プラットフォームの更新
インターシステムズは今年、AIX ユーザに、OpenSSL 1.x をサポートするキットと OpenSSL 3.x をサポートするキットの 2 つのキットを提供していました。現在の 2024.3 リリース以降は OpenSSL 3.x をサポートするキットのみを提供します。