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InterSystems IRIS 2025.1 の新機能

このページでは、InterSystems IRIS® データ・プラットフォームの 2025.1 リリースの新機能、機能強化、およびその他の重要な更新について説明します。このリリースは、拡張メンテナンス (EM) リリースです。

このリリースに含まれる変更点に関して考慮すべきその他の情報は、"既知の問題と注意" を参照してください。このリリースに含まれる変更点の完全なリストは、"Upgrade ChecklistOpens in a new tab" を参照してください。

2025.1 のリリース情報

現在のリリースは 2025.1 です。2025.1 のポストはビルド 2025.1.0.223.0 です。

開発者エクスペリエンスの強化

DTL エディタでの Python のサポート

InterSystems IRIS のこのリリースでは、データ変換言語 (DTL) クラスで Python 文を活用する機能が導入されました。アクションごとに言語 (ObjectScript または Python) を選択できるため、Python に習熟している開発者は既存のスキル・セットでプラットフォームの大部分を利用できます。

分析と AI の強化

ベクトル検索のための近似最近傍インデックス

InterSystems IRIS のベクトル検索では、VECTOR 型の列向けに、ディスクベースの近似最近傍 (ANN) インデックスが追加されました。ANN インデックスは、一般的な Hierarchical Navigable Small Worlds (HNSW) アルゴリズムに基づいています。何百万ものベクトルに対する類似クエリで 1 秒未満の応答時間を実現し、1 億を超えるベクトルを検索する際、インデックスなしの "総当たり" 検索と比較して 2,500 倍高速のパフォーマンスを提供します。

ANN インデックスを作成する際は、データをクエリするために使用する類似性関数 (VECTOR_DOT_PRODUCT または VECTOR_COSINE) を選択する必要があります。ANN ではインクリメンタル更新もサポートしており、%EMBEDDING インデックスと組み合わせて使用できます。

Business Intelligence のキューブ構築と同期の更新

このリリースでは、InterSystems IRIS Business Intelligence のキューブ構築プロセスが変更され、関連キューブの依存関係チェーンを更新するための保護策や、この領域でお客様から報告されたいくつかの問題に対処するその他の強化策が提供されています。キューブ構築の分析が常に考慮され、データの一貫性が保たれるように、DeepSee.CubeManager API の基本的な関数 (%BuildCube と %SynchronizeCube) で、キューブ依存関係分析が自動的に実行され、モデル・グループ全体の更新が行われるようになりました。この新しい手順には、以下のようなものがあります。

  • 要求されたキューブを分析し、リレーションシップの依存関係があるかどうかを確認した後、更新する必要があるキューブの完全なリストを、そのキューブ・リストの適切な構築順序と共に内部的に確立します。

  • 必要に応じて、新しい %BuildOneCube および %SynchronizeOneCube 関数を使用して、リストの個々のキューブの構築と同期を連続して実行します。

  • 個々の統計を完全なセットにまとめ、呼び出し元に戻します。

これらの変更には、キューブ・マネージャとは独立して、依存関係チェーンに構築されたすべてのキューブに対して記録されたすべてのイベントのログも含まれ、トラブルシューティングがより容易になります。

SQL とデータ管理の強化

サーバ側のページ付けのための新しい構文

InterSystems IRIS の SQL は長い間、クエリの結果をソートされた結果セットの最初の n 件のレコードのみに制限する、TOP キーワードをサポートしてきました。このリリースでは、他のデータベース・プラットフォームで一般的に使用されているLIMIT ... OFFSET ... と、公式 ANSI 標準である OFFSET ... FETCH ... の 2 つの代替構文のサポートが追加されています。サーバ側のページ付けの 3 つの方法すべてを提供することで、新しいお客様や InterSystems IRIS に移行するユーザが効率的なクエリを容易に記述できるようにしました。

DDL 文のバルク・インポートの改善

LOAD DATA コマンドに関するお客様からのフィードバックに基づき、InterSystems IRIS の SQL では、類似する LOAD SQL コマンドをサポートし、任意の数の SQL DDL 文をファイルまたはディレクトリからロードして実行できるようになりました。この新しいコマンドは、SQL 経由でシステムにアクセスする開発者にシンプルなエントリ・ポイントを提供し、詳細な出力を SQL 診断Opens in a new tabテーブルまたは別のログ・ファイルに書き込みます。

既存の ObjectScript エントリ・ポイントOpens in a new tabも拡張され、診断出力をサポートするようになりました。

行指向テーブル・レイアウトと列指向テーブル・レイアウト間のインプレース変換

このリリースでは、ALTER TABLE ... CONVERT コマンドが拡張され、行指向テーブル・レイアウトと列指向テーブル・レイアウト間の変換がサポートされるようになりました。ユーザはテーブル全体を変換するか、または列のサブセットを変換するかを選択できます。テーブル変換が実行されている間も、クエリおよび DML (INSERTUPDATE、および DELETE) コマンドは実行可能です。変換プロセスの詳細は、"ALTER TABLE" を参照してください。

その他の SQL 関数

このリリースでは、InterSystems SQL 言語に 2 つの便利な関数が導入されました。

  • APPROX_COUNT_DISTINCT() は HyperLogLog アルゴリズムを実装する新しい集約関数で、特定の列の個別値の数の見積もりを、COUNT(DISTINCT) コマンドから得られる正確な結果よりも桁違いに速く提供します。

  • HASHBYTES() は、SHA256 など一般的なハッシュ関数の便利な SQL エントリ・ポイントを提供します。

スピード、スケール、セキュリティの強化

より小さいジャーナル・レコード

2025.1 リリースでは、$INCREMENT のスケーラビリティが向上し、新しいよりコンパクトなジャーナル・ファイル形式が導入されました。この新しい形式では、使用する平均入出力帯域幅が小さくなり (ジャーナル・レコードのサイズが小さいため)、ジャーナルへの $INCREMENT の記録方法が変更されています。2025.1 インスタンスで作成されたジャーナル・ファイルは、以前のリリースを実行しているインスタンスでは開くことができないため、どのミラー・メンバがアップグレードされたかを常に把握しておいてください。ジャーナル・ファイルを読み取って解釈するためのカスタム・ロジックが実装されたアプリケーションは、レビューして、このロジックが "アップグレード時の特別な考慮事項" で説明されている新しい $INCREMENT の処理の影響を受けるかどうかを確認する必要があります。このようなカスタム・ロジックのほとんどは、影響を受けません。

データベースの圧縮の高速化

このリリースでは、データベースの圧縮Opens in a new tabとデフラグの効率を高めるための、いくつかの機能強化が行われています。特に多数の長い文字列を含む大規模データベースの場合、圧縮プロセスの実行が大幅に高速化され、アプリケーション・ワークロードの同時ブロック割り当てとの整合性が向上しました。

ミラー・データベースのダウンロード

これまでは、データベースをミラーに追加するには、データベース・ファイルを他のミラー・メンバにコピーし、API 呼び出しを調整してデータベースを登録する、手動のプロセスを行う必要がありました。このリリース以降、すべてのミラー・メンバに新しいデータベースを自動的に作成できるようになり、ファイルをコピーしなくても、グローバル・データが自動的にダウンロードされるようになりました。これらの改善により、複雑なミラー環境のセットアップが大幅に簡素化されました。ただし、追加されるデータベースに既に大量のデータが含まれる場合は、ファイルコピーの方が依然として現実的な解決策である可能性があるため、ミラーに追加するデータベースのサイズには注意を払う必要があります。この新規オプションの詳細は、API リファレンスを参照してください。

コマンド行 ECP 管理ユーティリティ

このリリースでは、一般的な ECP 管理タスクを実行するための、既存の ^SECURITY および ^DATABASE ユーティリティとよく似た、新しい ^ECP コマンド行ユーティリティが導入されました。これで ECP 環境の管理者は、ほとんどの構成タスクに管理ポータルを使用する必要がなくなります。

FIPS 140–3

インターシステムズは、FIPS 140–3 の暗号ライブラリと連携できるようになりました。以前のバージョンでは FIPS 140–2 がサポートされていたため、これは、最新の FIPS に準拠したライブラリを必要とするユーザにとっては重要なアップグレードになります。

その他の機能強化と効率の向上

OpenTelemetry によるオブザーバビリティ

2024.3 リリースには、Open Metrics API で公開されているメトリックと構造化ログの両方を収集する OpenTelemetry の組み込みエクスポータが追加されました。アプリケーションは、他の既存の API を使用して、これらのメトリックとログに追加できます。

2025.1 リリースでは、さらにトレースを公開する機能が追加されました。各トレースには、要求を処理するために使用された手順とタイミングが記述されています。一般に、これらは Web 要求から始まり、要求の各部分の処理にかかった時間を示すために使用できます。基本的なトレースは、簡単に有効にできます。基本情報以上のものが必要な場合は、アプリケーションをさらに拡張できます。

以下の図は、トレース情報がどのようなものかを示しています。

generated description: new202251 opentel

プロダクション構成と DTL エディタ・アプリケーションのインタフェースの更新

最新のユーザ・エクスペリエンスを提供するために、プロダクション構成と DTL エディタ・アプリケーションのユーザ・インタフェースが更新されました。変更はこれら 2 つのアプリケーションに限定され、広範な機能には適用されません。以下で詳しく説明します。他のすべての画面は、標準のユーザ・インタフェースのままです。最新のビューと標準のビューを、柔軟に切り替えることができます。

プロダクション構成

詳細は、"構成タスクの概要" を参照してください。

  • プロダクション構成 :このバージョンのプロダクション構成でサポートされているのは、[ホストの作成/編集/コピー/削除]/[ホストの停止/開始]/[プロダクション設定の編集]/[プロダクションの停止/開始] です。

  • ソース・コントロールの統合 :上記の構成機能に対するソース・コントロールの統合のサポートを利用できます。

  • 分割パネル表示 :[プロダクション構成] 画面からルール・エディタと DTL エディタを直接開き、分割パネル表示でプロダクションに含まれているルールと変換を編集および表示できます。

  • フィルタの強化 :上部の検索ボックスでは、複数のカテゴリ、DTL、サブ変換を含むすべてのビジネス・コンポーネントを検索およびフィルタリングできます。左側のサイドバーを使用し、メイン・パネルとは独立して検索し、ホストとカテゴリにわたる検索結果を表示できます。

  • ホストのカテゴリのバルク編集 :[プロダクション構成] からホストを追加して、プロダクションに新しいカテゴリを追加したり、既存のカテゴリを編集できます。

  • 拡張可能なルータ :すべてのルール、変換、接続をインラインで表示するようにルータを拡張できます。

  • ホスト接続の再構築 :ビジネス・ホストの選択時に、直接および間接接続がレンダリングされるようになり、メッセージがたどるすべてのパスを確認できます。送信または受信ホストの上にカーソルを合わせると、接続をさらに区別できます。[接続されたホストのみを表示] トグルで、選択したホストとその接続をフィルタリングできます。

DTL エディタ :

詳細は、"DTL ツールの概要" を参照してください。

  • ソース・コントロールの統合 :ソース・コントロールの統合のサポートを利用できます。

  • VS コードの統合 :このバージョンの DTL エディタを、VS コード IDE で表示できます。

  • 組み込み Python のサポート :組み込み Python のサポートが、このバージョンの DTL エディタに拡張されています。

  • DTL テスト :このバージョンの DTL エディタでは、DTL テスト・ユーティリティを使用できます。

  • パネル・レイアウトの切り替え :DTL エディタは、横並びのレイアウトと縦並びのレイアウトに対応しています。

  • 元に戻す/やり直し :[元に戻す] または [やり直し] ボタンで、まだ保存されていないすべてのアクションを元に戻したりやり直すことができます。

  • 空のセグメントを生成するパラメータ :新しい GENERATEEMPTYSTATEMENTS パラメータは、欠落するフィールドに空のセグメントを生成します。

  • サブ変換の表示 :眼の形のアイコンをクリックして、新しいタブでサブ変換 DTL を開くことで、サブ変換を表示できます。

  • スクロール :DTL エディタで、独立したスクロールと共同スクロールが提供されるようになりました。独立したスクロールでは、いずれかのセクションの上にカーソルを置き、スクロール・ホイールまたはトラックパッドを使用して各セクションを個別に移動することで、DTL エディタの左 (ソース) と右 (ターゲット) のセクションをそれぞれ独立してスクロールできます。共同スクロールでは、図の中央にカーソルを置くことで、ソース・セクションとターゲット・セクションの両方をスクロールできます。

  • フィールドの自動補完 :自動補完は、sourcetargetcondition の各フィールド、および Source ClassSource Doc TypeTarget ClassTarget Doc Type で利用できます。

  • 順序数 :ビジュアル・エディタでは、各セグメントの順序数とフル・パス式の表示および非表示を切り替えることができます。

  • 東の参照 :アクション・エディタ内のフィールドがフォーカスされている場合、グラフィカル・エディタ内のセグメントをダブルクリックすると、アクション・エディタ内の現在のカーソル位置に、対応するセグメント参照が挿入されます。

  • 同期 :ビジュアル・エディタ内の要素をクリックすると、アクション・エディタ内の対応する行が強調表示されます。

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