プライベート Web サーバの制限
プライベート Web サーバについて:
また、通常、使用される構成は大量の HTTP 要求が想定されるアプリケーションには適しません。インターシステムズでは、管理ポータルで使用する場合にのみ、プライベート Web サーバをテストします。
このセクションでは、プライベート Web サーバの構成と通常のプロダクション・グレードの Apache インストールの構成の違いについて説明します。
Windows での制限
Windows ベースの Apache インストールでは、オペレーティング・システムの最適化方法により適した特殊なマルチスレッド形式の Apache マルチプロセッシング・モジュール (MPM) を使用します。 したがって、Windows でのプライベート Web サーバの動作は、同時に発生する負荷を処理する機能に関する限り、プロダクション・グレードでの Apache の構築の動作と似ています。
高可用性およびプロダクション・グレードのセキュリティが必要になる場合、Web 情報の他のソースと統合する必要がある場合、または Web サーバに対する高度な制御を必要とする場合は、Apache の別のプロダクション・グレードの構築をお勧めします。この場合、独自のサーバで動作することが理想です。一方、予期される HTTP トラフィックが少量で、高可用性やセキュリティに対する要求がそれほどない場合、このような状況でプライベート Web サーバを導入することは適切です。
プライベート Web サーバの構築
(既定の) 完全な Apache サーバは、通常、次のコマンドのシーケンスを使用して作成されます。
./configure --prefix=<install-dir>
make
make install
一般的に、Apache の最小ビルドは以下のように作成されます。
./configure --prefix=/usr/iris/httpd --with-port=57773
--with-pcre=$srcdir/pcre
--enable-mods-static="log_config mime alias unixd authz_core"
--disable-ssl
--enable-so --without-gdbm --without-ndbm
--without-berkeley-db --with-included-apr --with-expat=builtin
--with-mpm=prefork --disable-shared
make
make install
ここでは、通常はプロダクション・グレードのインストールに必要なサービスの多くが除外されている点に注意してください。
このサーバを他の Web アプリケーションのホストに使用することは可能ですが、その目的では完全な独立した Web サーバのインストール環境を使用することを強くお勧めします。ホストの InterSystems IRIS インストールをアップグレードすると、管理ポータルの Apache インストールの構成に対する変更が上書きされる点に注意してください。
管理ポータルの Apache インストール環境は、次の Web ゲートウェイ・モジュールを使用して InterSystems IRIS と通信します。
UNIX® での制限
既定では、プライベート Web サーバは Apache グループの Prefork マルチプロセッシング・モジュール (MPM) を使用します。 これは、非スレッド化サーバ・モデルです。同時に処理できる要求の数は、プール内の Apache ワーカ・プロセスの数に直接関係します。
プライベート Web サーバは、プールに対して作成を許可するワーカ・プロセスの数を 2 つまでとすることで、占有するフットプリントが最小限になるように構成されます。プライベート Web サーバに対する Apache 構成 (httpd.conf) の設定は以下のようになります。
MinSpareServers 1
MaxSpareServers 2
一方、プロダクション・グレードの構築に対する既定の Apache 構成は、通常以下のとおりです。
StartServers 5
MinSpareServers 2
MaxSpareServers 20
ServerLimit 256
MaxRequestWorkers 256
この構成によって、Apache は起動時に 5 つのワーカ・プロセスを作成でき、同時に発生する負荷の増加に伴って最大 256 個まで増やすことが可能です。 構成においてこのような違いがあるために、プライベート Web サーバのパフォーマンスは、プロダクション・グレードでの Apache の構築のパフォーマンスよりも明らかに劣るようになります。 このパフォーマンス不足は、同時に発生する負荷が増加するにつれて、より目立つようになります。ただし、プライベート Web サーバの構成を変更して、完全な Apache インストールの構成 (上記) に合わせることができます。これらのパラメータを変更した後に、Apache を完全に再起動する必要があります。
メモ
管理ポータルの Apache インストール環境は、次の Web ゲートウェイ・モジュールを使用して InterSystems IRIS と通信します。
プライベート Web サーバの管理
通常の動作環境では、InterSystems IRIS を起動すると特定の InterSystems IRIS インスタンスのプライベート Web サーバも起動し、InterSystems IRIS を停止すると Web サーバも終了します。プライベート Web サーバの構成を変更する場合など、場合によっては、対応する InterSystems IRIS サーバを中断せずにプライベート Web サーバを再起動する必要が生じることがあります。
構成の変更
プライベート Web サーバの構成ファイルは、install_dir/httpd/conf/httpd.conf にあります。ただし、このファイルに加えた編集は、ソフトウェア・アップグレードでは保持されません。アップグレード時に保持する構成変更のために、構成ファイル install_dir/httpd/conf/httpd-local.conf が提供されています。このファイルがまだ存在しない場合は、新規インストール時またはアップグレード時に作成されます。存在する場合、アップグレードで内容に変更は加えられません。
Windows でのプライベート Web サーバの管理
プライベート Web サーバの起動 :
<install-dir>\httpd\bin\httpd -k start -n <instname>httpd
-c "Listen port"
プライベート Web サーバの停止 :
<install-dir>\httpd\bin\httpd -k stop -n <instname>httpd
例えば、以下のとおりであるとします。InterSystems IRIS のインストール場所 : C:\iris
InterSystems IRIS のインスタンス名 : IRIS
Apache の TCP ポート : 52773
起動 :
C:\iris\httpd\bin\httpd -k start -n IRIShttpd -c "Listen 52773"
停止 :
C:\iris\httpd\bin\httpd -k stop -n IRIShttpd
Unix® でのプライベート Web サーバの管理
プライベート Web サーバの起動 :
<install-dir>/httpd/bin/httpd -d <install-dir>/httpd
-c "Listen port"
プライベート Web サーバの停止 :
kill `cat <install-dir>/httpd/logs/httpd.pid`
例えば、InterSystems IRIS が /usr/iris にインストールされており、Apache の TCP ポートが 8972 であるとします。この場合、プライベート Web サーバは以下のようにして起動できます。
/usr/iris/httpd/bin/httpd -d /usr/iris/httpd -c "Listen 8972"
また、以下のようにして停止できます。
kill `cat /usr/iris/httpd/logs/httpd.pid`
Note:
AIX の場合にこの方法で httpd を手動で実行するには、LD_LIBRARY_PATH に install-dir/bin ディレクトリを含める必要があります。