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ヘルス・モニタの使用法

ヘルス・モニタは、特定の期間にさまざまな重要なメトリックの値をサンプリングし、それらをそのメトリックの構成済みパラメータおよびその期間の規定の通常値と比較して、実行中の InterSystems IRIS インスタンスを監視します。サンプル値が大きすぎると、ヘルス・モニタはアラート (深刻度 2 の通知) または警告 (深刻度 1) を生成します。例えば、ヘルス・モニタによって月曜日の午前 10:15 にサンプリングされた CPU 使用率の値が、構成されている CPU 使用率の最大値または月曜日の午前 9:00 から午前 11:30 の期間に得られた通常の CPU 使用率サンプルと比較して大きすぎた場合、ヘルス・モニタは通知を生成します。

ヘルス・モニタはシステム・モニタ・ツールの一部です。

ヘルス・モニタの概要

ヘルス・モニタは、一定の規則を使用してサンプル値を評価し、異常に大きい値を特定します。この設計は、"NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical MethodsOpens in a new tab" の “Process or Product Monitoring and Control” のセクションで説明されている、製造プロセスを監視するための手法に基づいています。通常値からの偏差は、WECO 統計的確率規則 (Western Electric RulesOpens in a new tab) に基づく規則を使用して判定されます。どちらも InterSystems IRIS 監視の目的に合うように特別に調整されています。

ヘルス・モニタのアラート (深刻度 2) および警告 (深刻度 1) はメッセージ・ログ (install-dir\mgr\messages.log) に書き込まれます。これらの通知を理解していることを確認する方法は、"システム・モニタ通知の追跡" を参照してください。

ヘルス・モニタのステータス・メッセージ (深刻度 0) は、システム・モニタ・ログ (install-dir\mgr\SystemMonitor.log) に書き込まれます。

Note:

システム・モニタおよびアプリケーション・モニタとは異なり、ヘルス・モニタは %SYS ネームスペースでのみ動作します。

以下のサブセクションでは、ヘルス・モニタがどのように動作するかについて説明し、ヘルス・モニタを構成および拡張するさまざまな方法に関する情報を提供します。

ヘルス・モニタ・プロセスの説明

既定では、ヘルス・モニタは、インスタンスの起動時に自動的に起動しません。自動的に起動させるには、^%SYSMONMGR ユーティリティを使用してシステム・モニタ内でヘルス・モニタを有効にする必要があります(ヘルス・モニタを有効にした場合、InterSystems IRIS が起動してからヘルス・モニタが起動するまでの間隔を指定できます。これにより、インスタンスは、サンプリングの開始前に通常の動作状態に到達できます)。このユーティリティは、ヘルス・モニタの現在の状態を確認するために、常時使用可能です。詳細は、"^%SYSMONMGR を使用したヘルス・モニタの管理" を参照してください。

ヘルス・モニタ・プロセスの基本要素について以下に説明します。

  • ヘルス・モニタは、センサ・オブジェクトとして表される多数のシステム・センサを監視します。各センサ・オブジェクトには、センサ・サンプルのベース (最小) 値があります。また、オプションで 2 つの通知しきい値 (アラート用に 1 つと、警告用に 1 つ) が含まれ、絶対値または乗数として設定できます。これらの値によって、ヘルス・モニタが通知を送信するタイミングが決定されます。

    "センサとセンサ・オブジェクト" には、すべてのセンサ・オブジェクトのリストを示しています。

  • 事前定義された期間の間、各センサは 30 秒ごとにサンプリングされ、ベース値を下回るサンプルは破棄されます。既定では 63 の週次の期間がありますが (1 日 9 回)、独自の週、月、四半期、または年ごとの期間を構成できます。"期間" に、既定の期間をリストします。

  • 指定されたセンサでは、通知しきい値が絶対値として設定されている場合を除き、ヘルス・モニタはグラフに基づいてセンサの読み取り値を評価します。現行期間に必要なグラフがない場合、ヘルス・モニタはセンサを分析モードにして、グラフを生成します。

    グラフを編集または作成して、ヘルス・モニタがセンサの読み取り値を評価する方法を調整できます。詳細は、"グラフ" を参照してください。

  • 分析モードでない場合、センサは監視モードになっています。監視モードでは、センサの読み取り値は、該当するサブスクライバ・クラスOpens in a new tabによって評価されます。一時的なサンプルの異常値によって通知がトリガされないように、3 分ごとに各 6 つのサンプル値が平均化されて 1 つの読み取り値が生成され、それらが評価対象の読み取り値となります。

  • 連続する読み取り値が、通知の条件 ("通知ルール" で説明) を満たす場合、サブスクライバ・クラスは、テキストと深刻度コードを含む通知をシステム通知 (SYS.Monitor.SystemNotifyOpens in a new tab) に渡してアラートまたは警告を生成します。

    Note:

    センサ・オブジェクトに最大値と警告値が指定されているセンサからの読み取り値を評価するのにグラフは必要ないため、それらのセンサの読み取り値の評価とその結果として生成される通知の送信は、SYS.Monitor.Health.Control サブスクライバ・クラスではなく SYS.Monitor.SystemSubscriber サブスクライバ・クラスによって処理されます ("システム・モニタの既定のコンポーネント" を参照してください)。結果的に、ヘルス・モニタが有効になっていない場合でも、システム・モニタが稼働している限り、これらのセンサの通知は生成されます。

    一部のセンサについては絶対値を使用して通知を生成し、その他のセンサについては乗数を使用して通知を生成する (例えば、一部のデータベースでは DBLatency センサの絶対値を使用し、その他のデータベースでは乗数を使用する) 場合は、センサ・オブジェクトで乗数を設定し、絶対値を使用するセンサのグラフを手動で作成します。詳細は、"グラフの編集" を参照してください。

センサとセンサ・オブジェクト

ヘルス・モニタのセンサ・オブジェクトは、SYS.Monitor.SystemSensors 内のいずれかのセンサを表します。各センサ・オブジェクトは、ベース値を持つ必要があります。必要に応じて、最大 (アラート) しきい値および警告しきい値 (絶対値または乗数) を持つこともできます。センサの読み取り値の評価でこれらの値がどのように使用されるかについては、"通知ルール" を参照してください。以下のテーブルに、ヘルス・モニタのセンサ・オブジェクトとその既定のパラメータを示します。

一部のセンサは、InterSystems IRIS インスタンスの全体的メトリックを示します。全体的メトリックは、以下のテーブルのセンサ・アイテム列に値のないメトリックです。例えば、LicensePercentUsed センサは、現在使用中のインスタンスの許可済みライセンス・ユニットの割合をサンプリングします。また、JournalGrowthRate センサは、インスタンスのジャーナル・ファイルに書き込まれたデータの量 (1 分あたりの KB) をサンプリングします。

他のセンサは、特定のセンサ・アイテム (CSP サーバ、データベース、またはミラー) に関する情報を収集します。例えば、DBReads センサは、マウントされている各データベースからの 1 分あたりの読み取り数をサンプリングします。これらのセンサは、<sensor_object> <sensor_item> と指定されています。例えば、DBLatency install-dir\IRIS\mgr\user センサは、USER データベースでランダム読み取りが完了するまでに要する時間を (ミリ秒単位で) サンプリングします。

センサ・オブジェクトは、"ヘルス・モニタ・クラスの構成" の説明に従って ^%SYSMONMGR ユーティリティを使用して表示および編集 (ただし削除は不可) できます。センサ・オブジェクトの編集では、1 つまたはすべての値を変更できます。入力できるのは、ベース値のみ、ベース値、最大 (アラート) 値、および警告値、またはベース値、最大 (アラート) 乗数、および警告乗数です。

ヘルス・モニタのセンサ・オブジェクト
センサ・オブジェクト センサ・アイテム 説明 ベース値 最大値 最大乗数 警告値 警告乗数
CPUUsage   システムの CPU 使用率 (%)。 50 85 75
CSPSessions IP_address:port リストされている Web ゲートウェイ・サーバ上のアクティブな Web セッションの数。 100 2 1.6
CSPActivity IP_address:port リストされている Web ゲートウェイ・サーバへの 1 分あたりの要求数。 100 2 1.6
CSPActualConnections IP_address:port リストされている Web ゲートウェイ・サーバ上で作成された接続の数。 100 2 1.6
CSPInUseConnections IP_address:port リストされている Web ゲートウェイ・サーバへの現在アクティブな接続の数。 100 2 1.6
CSPPrivateConnections IP_address:port リストされている Web ゲートウェイ・サーバへのプライベート接続の数。 100 2 1.6
CSPUrlLatency IP_address:port IP_address:port/csp/sys/UtilHome.csp からの応答の取得に要した時間 (ミリ秒)。 1000 5000 3000
CSPGatewayLatency IP_address:port CSP センサ・オブジェクトによって表されるメトリックのフェッチ時に、リストされている Web ゲートウェイ・サーバからの応答の取得に要した時間 (ミリ秒)。 1000 2000 1000
DBLatency database_directory リストにあるマウントされたデータベースからのランダム読み取りが完了するまでに要した時間 (ミリ秒)。 1000 3000 1000
DBReads database_directory リストにあるマウントされたデータベースからの 1 分あたりの読み取り数。 1024 2 1.6
DBWrites database_directory リストにあるマウントされたデータベースへの 1 分あたりの書き込み数。 1024 2 1.6
DiskPercentFull database_directory リストにあるマウントされたデータベースに使用されるディスクの割合。 50 99 95
ECPAppServerKBPerMinute   ECP データ・サーバへの 1 分あたりの送信データ量 (KB)。 1024 2 1.6
ECPConnections   アクティブな ECP 接続の数。 100 2 1.6
ECPDataServerKBPerMinute   ECP データ・サーバでの 1 分あたりの受信データ量 (KB)。 1024 2 1.6
ECPLatency   ECP データ・サーバとこの ECP アプリケーション・サーバ間のネットワーク遅延 (ミリ秒)。 1000 3000 3000
ECPTransOpenCount   開いている ECP トランザクションの数。 100 2 1.6
ECPTransOpenSecsMax   現在最も長く開いている ECP トランザクションの継続時間 (秒)。 60 2 1.6
GlobalRefsPerMin   1 分あたりのグローバル参照数。 1024 2 1.6
GlobalSetKillPerMin   1 分あたりのグローバル set 数とグローバル kill 数。 1024 2 1.6
JournalEntriesPerMin   1 分あたりのジャーナル・エントリ書き込み数。 1024 2 1.6
JournalGrowthRate   ジャーナル・ファイルへの 1 分あたり書き込みデータ量 (KB)。 1024 2 1.6
LicensePercentUsed   現在使用中の許可済みライセンス・ユニットの割合。 50 1.5
LicenseUsedRate   1 分あたりのライセンス取得数。 20 1.5
LockTablePercentFull   使用中のロック・テーブルの割合。 50 99 85
LogicalBlockRequestsPerMin   1 分あたりの論理ブロック要求数。 1024 2 1.6
MirrorDatabaseLatencyBytes mirror_name ミラーのバックアップ・フェイルオーバー・メンバにおける、プライマリからは受け取ったものの、バックアップのミラーリング対象データベースには適用されていないジャーナル・データのバイト数 (バックアップ・データベースの遅滞尺度)。 2*107 2 1.6
MirrorDatabaseLatencyFiles mirror_name ミラーのバックアップ・フェイルオーバー・メンバにおける、プライマリからは受け取ったものの、バックアップのミラーリング対象データベースにはまだ完全に適用されていないジャーナル・ファイルの数 (バックアップ・データベースの遅滞尺度)。 3 2 1.6
MirrorDatabaseLatencyTime mirror_name ミラーのバックアップ・フェイルオーバー・メンバにおける、プライマリから最終ジャーナル・ファイルを受け取った時間と、バックアップのミラーリング対象データベースに最終ジャーナル・ファイルが完全に適用された時間の差 (ミリ秒) (バックアップ・データベースの遅滞尺度)。 1000 4000 3000
MirrorJournalLatencyBytes mirror_name ミラーのバックアップ・フェイルオーバー・メンバにおける、プライマリからは受け取ったものの、バックアップのジャーナル・ディレクトリには書き込まれていないジャーナル・データのバイト数 (バックアップの遅滞尺度)。 2*107 2 1.6
MirrorJournalLatencyFiles mirror_name ミラーのバックアップ・フェイルオーバー・メンバにおける、プライマリからは受け取ったものの、バックアップのジャーナル・ディレクトリには書き込まれていないジャーナル・ファイルの数 (バックアップの遅滞尺度)。 3 2 1.6
MirrorJournalLatencyTime mirror_name ミラーのバックアップ・フェイルオーバー・メンバにおける、プライマリから最終ジャーナル・ファイルを受け取った時間と、最終ジャーナル・ファイルがバックアップのジャーナル・ディレクトリに完全に書き込まれた時間の差 (ミリ秒) (バックアップの遅滞尺度)。 1000 4000 3000
PhysicalBlockReadsPerMin   1 分あたりの物理ブロック読み取り数。 1024 2 1.6
PhysicalBlockWritesPerMin   1 分あたりの物理ブロック書き込み数。 1024 2 1.6
ProcessCount   InterSystems IRIS インスタンスのアクティブなプロセスの数。 100 2 1.6
RoutineCommandsPerMin   1 分あたりのルーチン・コマンドの数。 1024 2 1.6
RoutineLoadsPerMin   1 分あたりのルーチンのロード数。 1024 2 1.6
RoutineRefsPerMin   1 分あたりのルーチン参照数。 1024 2 1.6
SMHPercentFull   使用中の共有メモリ・ヒープ (一般メモリ・ヒープ) の割合。 50 98 85
TransOpenCount   開いているローカル・トランザクション (ローカルおよびリモート) の数。 100 2 1.6
TransOpenSecondsMax   現在最も長く開いているローカル・トランザクションの継続時間 (秒)。 60 2 1.6
WDBuffers   1 ライト・デーモン・サイクルの間に更新されるデータベース・バッファの平均数。 1024 2 1.6
WDCycleTime   1 ライト・デーモン・サイクルを完了するために必要な平均の秒数。 60 2 1.6
WDWIJTime   ライト・イメージ・ジャーナル (WIJ) の更新にかかる 1 サイクルあたりの平均時間 (秒)。 60 2 1.6
WDWriteSize   1 ライト・デーモン・サイクルあたりの平均書き込み KB 数。 1024 2 1.6
Note:

いくつかのセンサは、全部の InterSystems IRIS インスタンスに対してサンプリングされません。例えば、ECP... センサは、ECP データとアプリケーション・サーバのみについてサンプリングされます。

ミラー・メンバを監視しているときに ("ミラーリング" を参照)、ヘルス・モニタには以下の特別な条件が適用されます。

  • ミラーの再起動中 (例えば、バックアップ・フェイルオーバー・メンバがプライマリを引き継いだ直後) や、ミラーでのメンバのステータスが不確定である場合は、センサはサンプリングされません。

  • センサが一定期間分析モードになっていて、ミラーでのメンバのステータスがその期間中に変化した場合、グラフは作成されず、センサは分析モードのままになります。

  • バックアップ・フェイルオーバー・ミラー・メンバでは MirrorDatabaseLatency* センサと MirrorJournalLatency* センサのみがサンプリングされます。

  • プライマリ・フェイルオーバー・ミラー・メンバでは、MirrorDatabaseLatency* センサと MirrorJournalLatency* センサを除くすべてのセンサがサンプリングされます。

期間

既定では 63 の週次の繰り返し期間があり、センサはそれらの期間にサンプリングされます。これらの期間はそれぞれ、特定の曜日の以下の指定済みの間隔のいずれかを表します。

既定のヘルス・モニタの期間
午前 12:15 ~ 午前 2:45 午前 3:00 ~ 午前 6:00 午前 6:15 ~ 午前 8:45
午前 9:00 ~ 午前 11:30 午前 11:45 ~ 午後 1:15

午後 1:30 ~ 午後 4:00

午後 4:15 ~ 午後 6:00

午後 6:15 ~ 午後 8:45

午後 9:00 ~ 午後 11:59

^%SYSMONMGR ユーティリティの [期間の構成] オプションを使用して、期間をリスト、追加、および削除できます ("ヘルス・モニタ・クラスの構成" を参照)。週次の期間のほかに、月、四半期、および年ごとの期間を追加できます。

Note:

四半期ごとの期間は、開始月として指定された月から 3 か月ごとにリスト表示されます。例えば、開始月に 5 (5 月) を指定した場合、四半期のサイクルは、8 月(8)、11 月 (11)、および 2 月 (2) に繰り返されます。

ユーザ定義期間では、説明はオプションです。

グラフ

センサ・オブジェクトの通知しきい値が乗数として与えられていない場合 (または指定されていない場合)、ヘルス・モニタでこれらのセンサ読み取り値を評価するには、グラフが必要です。ヘルス・モニタは、サンプルのセンサ読み取り値から平均値、標準偏差、および最大値を計算して、必要なグラフを生成します。このセクションでは、ヘルス・モニタによって分析モードでグラフを生成する方法、およびグラフの編集またはカスタム・グラフの作成の方法について説明します。

分析モード

センサのサンプルを評価する前に、ヘルス・モニタは、そのセンサにグラフが必要かどうかを確認します。グラフが必要であるがまだ存在しない場合、ヘルス・モニタはそのセンサを自動的に分析モードにします。

分析モードでは、ヘルス・モニタは単純に収集したサンプル値を記録し、期間の終了時にそのセンサに必要なグラフを生成します。グラフの信頼性を確保するために、分析モードでは最低 13 サンプルを取得しておく必要があります。1 回の期間で有効な 13 サンプルが取得されるまで、センサは分析モードにとどまり、その期間に対するグラフは生成されません。

Note:

グラフは、InterSystems IRIS インスタンスが通常の安定した動作をしている間に取得されたサンプルから生成される必要があります。例えば、月曜日 09:00 a.m. ~ 11:30 a.m. のグラフが存在しないとき、月曜日が休日の場合や、技術的な問題が InterSystems IRIS インスタンスの動作に影響している場合には、グラフを生成しないでください。

あるセンサまたはセンサ/アイテムの特定の期間に対してグラフが生成されてから、5 回その期間が経過すると (アラートが生成された期間を除く)、これら 5 回の通常期間における読み取り値が評価され、センサの平均値の上昇や変化が検出されます。平均値が 95% の確信度で上昇しているか、変化している場合は、グラフが再校正されます。センサのその期間の既存のグラフは、その期間の最後の発生時に取得されたサンプルから生成されたグラフと置き換えられます。例えば、あるデータベースへのユーザのアクセス数が緩やかでも着実に増加している場合、そのデータベースの DBReads 値の平均も緩やかかつ着実に増加する傾向にあり、これにより 5 期間ごとにグラフの定期的な再校正が発生し、不当なアラートが回避されます。

センサ・オブジェクトの絶対値と乗数値を同じように自動的に再校正することはできません。グラフの自動再校正はこのようなセンサには適用されないため、手動で調整する必要があります。例えば、データベースのユーザのアクセス数が増加している場合、DBLatency センサ・オブジェクトのベース値、最大 (アラート) 値、および警告値は手動で調整する必要があります。

グラフの編集

^%SYSMONMGR ユーティリティでは、現在のすべてのグラフのリストと、それぞれの平均値と標準偏差を表示できます。特定のグラフの個々の読み取り値や最大読み取り値などの詳細を表示することもできます。ユーティリティからこれらのオプションにアクセスするには、[Configure Health Monitor Classes] サブメニューから [Configure Charts] を選択します。

[Configure Charts] オプションは、グラフをカスタマイズすることでアラートをカスタマイズする 2 つの方法を提供します。

  • 既存のグラフを編集して、平均値や標準偏差を任意の値に変更できます。標準の通知ルールは適用されますが、入力した値が使用されます。

  • グラフを作成して、アラート値と警告値を指定できます。グラフを作成することは、通知しきい値に絶対値を設定することと似ています。アラートと警告は、グラフに指定した値のみに基づいて生成されます。

Note:

グラフをリスト、検証、編集、または作成するときに、アイテムの見出しまたはプロンプトは、データベース (ディレクトリ・パスで指定)、Web ゲートウェイ・サーバ (IP アドレスで指定)、またはミラー (ミラー名で指定) を参照します。詳細は、"センサとセンサ・オブジェクト" を参照してください。

また、以下の SYS.Monitor.Health.ChartOpens in a new tab クラス・メソッドにより、リストの値に基づいた統計グラフをプログラムで作成することができます。

  • CreateChart()Opens in a new tab — 特定のサンプリング期間やセンサのグラフの作成、リストの値の評価、および結果として得られる平均値と標準偏差 (σ) 値の設定を行います。

  • SetChartStats()Opens in a new tab — リストの値の評価、および特定のサンプリング期間やセンサについて、結果として得られる平均値と標準偏差 (σ) 値の設定を行います。

詳細は、SYS.Monitor.Health.ChartOpens in a new tab クラス・ドキュメントを参照してください。

Note:

"分析モード" で説明されているように、ヘルス・モニタによって生成されたグラフ (ユーザが編集したグラフも含む) は、自動的に再校正できます。また、InterSystems IRIS インスタンスをアップグレードすると、編集済みのものも含め、ヘルス・モニタによって生成されたすべてのグラフは削除されます。

[Configure Charts] サブメニューまたは CreateChart()Opens in a new tab クラス・メソッドを使用して作成されたグラフは、自動的に再校正されることもアップグレード時に削除されることもありません。したがって、ユーザが作成したグラフは、[Configure Health Monitor Classes] サブメニューの [Reset Defaults] オプション内の [Reset Charts] オプションを選択するか、[Configure Charts] オプション内の [Recalibrate Charts] を選択しない限り、選択したセンサと期間の組み合わせに永続的に関連付けられます。

通知ルール

ヘルス・モニタは、ある期間のセンサの読み取り値が 3 回連続してセンサの最大しきい値を上回った場合にアラート (深刻度 2 の通知) を生成し、ある期間のセンサの読み取り値が 5 回連続してセンサの警告しきい値を上回った場合に警告 (深刻度 1 の通知) を生成します。最大しきい値および警告しきい値は、センサ・オブジェクトの設定と、適用可能なグラフがヘルス・モニタによって生成されたのかユーザによって作成されたのかによって異なります。以下のテーブルを参照してください。

以下についても注意してください。

  • センサ・オブジェクトに最大値と警告値が設定されている場合は、グラフは必要ないため生成されません。通知はヘルス・モニタが無効になっている場合でも生成されます。

  • センサ・オブジェクトに最大乗数と警告乗数が設定されている場合やベース値のみが設定されている場合は、グラフが必要です。分析モードで十分なサンプルが収集されてグラフが生成されるまで、通知は生成されません。

  • ユーザが作成したグラフがある場合は、センサ・オブジェクトの設定がどのようになっていてもかまいません。

センサ・オブジェクトの設定 グラフ・タイプ センサの最大値 センサの警告値 アクティブになる条件
ベース値、最大値、警告値 なし センサ・オブジェクトの最大値 センサ・オブジェクトの警告値 システム・モニタが稼働中
ベース値、最大乗数、警告乗数 生成済み 以下のうちの大きい方の値にセンサ・オブジェクトの最大乗数を掛けた値
  • グラフの平均値に標準偏差を 3 回加えた値

  • グラフの最大値に標準偏差を加えた値

以下のうちの大きい方の値にセンサ・オブジェクトの警告乗数を掛けた値
  • ベース値

  • グラフの平均値に標準偏差を 2 回加えた値

  • グラフの最大値

システム・モニタが稼働中、ヘルス・モニタが有効
ベース値のみ 生成済み 以下のうちの大きい方の値
  • グラフの平均値に標準偏差を 3 回加えた値

  • グラフの最大値

以下のうちの大きい方の値
  • グラフの平均値に標準偏差を 2 回加えた値

  • グラフの最大値

システム・モニタが稼働中、ヘルス・モニタが有効
(ユーザが作成したグラフが存在する場合は、該当なし) ユーザ作成済み グラフのアラート値 グラフの警告値 システム・モニタが稼働中、ヘルス・モニタが有効

この例では、月曜日の 9:00 a.m. ~ 11:30 a.m. の期間における DBReads install-dir\IRIS\mgr\user センサのグラフに、USER データベースからの 1 分あたりの平均読み取り数が 2145、標準偏差が 141、および最大値が 2327 であることが示されています。DBReads の既定の通知しきい値乗数は、2 です。読み取り値が 3 回連続して次の 2 つの値のうちの大きい方を上回ると、このセンサにアラートが生成されます。

  • 最大乗数 * (グラフの平均値 + (3 * グラフの標準偏差))

    2 * (2145 + (3 * 141)) = 5136

  • 最大乗数 * (グラフの最大値 + グラフの標準偏差)

    2 * (2327 + 141) = 4936

このため、この期間にこのセンサで読み取り値が 3 回連続して 5136 を上回ると、アラートが生成されます。

乗数または最大値がないセンサは、1 の乗数で評価されます。例えば、DBReads センサ・オブジェクトが編集され、乗数が削除されて、ベース値のみが残った場合、読み取り値が 3 回連続して (以下のうち大きい方として計算された) 2568 を上回ると、DBReads install-dir\IRIS\mgr\user アラートが生成されます。

  • 最大乗数 * (グラフの平均値 + 標準偏差に 3 を掛けた値)

    1 * (2145 + (3 * 141)) = 2568

  • 最大乗数 * (グラフの最大値 + 標準偏差)

    1 * (2327 + 141) = 2468

^%SYSMONMGR を使用したヘルス・モニタの管理

"^%SYSMONMGR ユーティリティの使用" で説明されているように、^%SYSMONMGR ユーティリティでは、ヘルス・モニタを含め、システム・モニタを管理および構成できます。ヘルス・モニタを管理するには、ターミナルで %SYS ネームスペースに変更してから、以下のコマンドを入力します。

%SYS>do ^%SYSMONMGR

1) Start/Stop System Monitor
2) Set System Monitor Options
3) Configure System Monitor Classes
4) View System Monitor State
5) Manage Application Monitor
6) Manage Health Monitor
7) View System Data
8) Exit 

Option? 

Note:

ヘルス・モニタは、%SYS ネームスペースでのみ稼働します。別のネームスペースで ^%SYSMONMGR を起動すると、オプション 6 (Manage Health Monitor) は表示されません。

6 (Manage Health Monitor) を入力します。以下のメニューが表示されます。

1) Enable/Disable Health Monitor 
2) View Alerts Records
3) Configure Health Monitor Classes 
4) Set Health Monitor Options
5) Exit 

Option? 

実行する操作の番号を入力します。ヘルス・モニタ・ユーティリティを終了するには Enter キーを押します。

メイン・メニューのオプションでは、以下のテーブルに示すヘルス・モニタのタスクを実行できます。

オプション 説明
1) Enable/Disable Health Monitor
  • ヘルス・モニタの有効化 (ヘルス・モニタが既定で無効になっている場合)。これにより、システム・モニタの起動時にヘルス・モニタが起動します。ヘルス・モニタは、構成されている起動待機時間が完了するまで、センサの読み取り値の収集を開始しません。

  • ヘルス・モニタの無効化 (ヘルス・モニタが有効になっている場合)。これにより、システム・モニタの起動時にヘルス・モニタは起動しません。

2) View Alert Records
  • 指定された日付範囲での 1 つまたはすべてのセンサ・オブジェクトのアラート・レコードの表示。

3) ヘルスモニタクラスの構成
  • 通知ルールの表示。

  • 既存の期間のリスト表示と削除、および新しい期間の追加。

  • グラフのリスト表示、検証、編集、および作成。

  • センサ・オブジェクトのリスト表示とセンサ・オブジェクトの設定の編集。

  • ヘルス・モニタの要素を既定値にリセット。

4) ヘルスモニタオプションの設定
  • 起動待機時間の設定。

  • アラート・レコードを削除する時期の指定。

Note:

ユーティリティから、センサ、ルール、期間、グラフなど、1 つの要素を指定するように求められた場合には、番号付きリストのプロンプトで「? 」(疑問符) を入力して、その後で必要な要素の番号を入力できます。

このユーティリティからのすべての出力は、ターミナルで表示するか、指定のデバイスに送信できます。

アラート・レコードの表示

特定のセンサまたはすべてのセンサについて、最近生成されたアラートを表示するには、このオプションを選択します。 グラフの平均値および標準偏差や通知をトリガする読み取り値など、個別のアラートおよび警告の詳細を検証することができます。(アラート・レコードは、構成された日数後に削除されます。詳細は "ヘルスモニタオプションの設定" を参照してください。)

ヘルスモニタクラスの構成

このサブメニューの各オプションでは、以下のテーブルのようにヘルス・モニタをカスタマイズできます。

Note:

システム・モニタの稼働中にこれらのオプションを使用してヘルス・モニタをカスタマイズすることはできません。まず、システム・モニタを停止し、変更を行った後にシステム・モニタを再起動する必要があります。

オプション 説明
1) ルールのアクティブ化/非アクティブ化

(このリリースでは使用しません)

2) 期間の構成

現在構成されている期間のリストを表示し、期間を追加および削除します。

3) 図の構成

以下のことができます。

  • すべての既存のグラフの平均値と標準偏差のリストを期間ごとにまとめて表示します。

  • 平均値や標準偏差の基になる読み取り値や、最大読み取り値など、個々のグラフの詳細情報を確認します。

  • [Edit Charts] オプションを使用して、既存のグラフの平均値と標準偏差を変更します。

  • グラフを作成して、アラートしきい値と警告しきい値を指定します。

  • 最新のデータを使用して、すべてのグラフ (ユーザが作成したグラフも含む) または個々のグラフを手動で再校正します。

4) Edit Sensor Objects

SYS.Monitor.SystemSensors クラス内のセンサを表すセンサ・オブジェクトを表示し、センサ・オブジェクトのベース値、最大値、警告値、最大乗数、および警告乗数を変更します。

5) 既定にリセット

以下のことができます。

  • 既定の期間構成にリセットし、既存のグラフをすべて削除し、すべての期間を分析モードに戻します ("ヘルス・モニタ・プロセスの説明" を参照してください)。

  • ユーザ定義の期間構成は削除せずに、既存のグラフ (ユーザが作成したグラフも含む) をすべて削除し、すべての期間を分析モードに戻します。

  • すべてのセンサ・オブジェクトを既定値にリセットします。

  • ヘルス・モニタのオプション (起動待機時間およびアラートの削除時間) を既定値にリセットします。

ヘルスモニタオプションの設定

このサブメニューでは、以下のテーブルに示すヘルス・モニタのいくつかのオプションを設定できます。

オプション 説明
1) 起動待機時間の設定

起動後、センサの読み取り値をヘルス・モニタ・サブスクライバ SYS.Health.Monitor.Control に渡すまでのシステム・モニタの待機時間 (分) を構成します (ヘルス・モニタが有効になっている場合)。これにより、InterSystems IRIS は、ヘルス・モニタがグラフの作成または読み取り値の評価を開始する前に、通常の動作状態に到達できます。

2) アラートの削除時間の設定 アラート・レコードをいつ削除するかを指定します。既定では、アラートの生成から 5 日後です。

関連項目

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