サーバ移行ガイド
InterSystems IRIS® データ・プラットフォームの既存のインスタンスをあるサーバから別のサーバに移行することが必要となる状況として、さまざまなシナリオが考えられます。例えば、元のサーバと類似しているか同一である新しいサーバを移行する必要がある場合、システム全体のリストアを使用できます。
さらに難しいシナリオも存在します。例えば、既存のサーバが現在はサポートされていないオペレーティング・システムを実行しており、そのインスタンスを異なるオペレーティング・システムを実行する新しいサーバに移行する必要がある場合などです。このドキュメントでは、インスタンスとそのデータを新しいサーバに移行するうえで役立つガイドラインを提供します。InterSystems IRIS データベースに含まれるデータやコードの移行は簡単ですが、構成設定、セキュリティ設定、タスク・マネージャのタスクなどの項目は手動で移行する必要があり、それらについても考慮する必要があります。
このドキュメントは、InterSystems IRIS のインスタンスを、同じバージョンの InterSystems IRIS が実行されている新しいサーバに移行する場合に使用することを意図しています。他のタイプの移行については、"InterSystems IRIS の新しいバージョンへの移行に関する注意事項" を参照してください。
システム管理者はこのドキュメントを確認し、自社のシステムにどの項目が適用されるか、およびリストに含まれていない項目も移行する必要があるかを判断してください。
InterSystems IRIS インストールはすべて固有のものです。このドキュメントでは、最も一般的と思われるトピックについて説明していますが、考えられるシナリオすべてを網羅することはできません。 最善の対策を決定するうえでサポートが必要な場合は、InterSystems Worldwide Response CenterOpens in a new tab までお問い合わせください。
インスタンスを完全に再構築する方法を説明したドキュメントをお客様の方で用意することをお勧めします。現在そのようなドキュメントがない場合、移行イベントはそれを作成するための良い機会となります。
現在のバージョンの InterSystems IRIS をサポートしていないオペレーティング・システムに移行する場合は、まず、サポートされるバージョンの InterSystems IRIS にアップグレードする必要があります ("InterSystems IRIS のアップグレード" を参照してください)。このアップグレードを完全にテストした後で、新しいオペレーティング・システムへの移行を実行します。
このドキュメントは、InterSystems IRIS の移行にのみ使用することを意図したものです。全般的な原則は他のインターシステムズ製品にも適用されますが、他の製品では固有の手順が必要となる場合があり、このドキュメントの対象外となります。
このドキュメントの内容は以下のとおりです。
-
移行を実行する前に新しいサーバをセットアップするために必要な大まかな手順を説明します。
-
異なるオペレーティング・システムへの移行に関連した特別な考慮事項について注意を喚起します。
-
以下にリストするタイプの項目を移行する際のガイドラインを提供します。
-
セキュリティ設定 (ユーザ、ロール、リソース、サービス、およびアプリケーションを含む)
-
ミラー・メンバを移行する方法を説明します。
移行前に実行する作業
対象サーバのプロビジョニング
意図的にサーバをダウンサイジングするのでない限り、以下の点において対象サーバが元のサーバと同等以上であるようにしてください。
-
CPU
-
メモリ
-
ディスク容量
サーバのサイジングの詳細は、"システム・リソースの計画と管理" を参照してください。
初期インストールの実行
対象サーバを調達したら、以下の手順に従って対象サーバ上へのオペレーティング・システムと InterSystems IRIS の初期インストールを実行します。
-
オペレーティング・システムをインストールします。
-
以下を実行します。
-
オペレーティング・システム・レベルで必要なユーザが構成されていることを確認します。
-
ラージ・ページまたはヒュージ・ページが構成されていることを確認します。
-
スワップ領域またはページ・ファイルの構成が元のサーバ上の構成と整合性があることを確認します。
-
すべてのドライブまたはファイル・システムが同じ名前および許可で利用可能であることを確認します。
-
新しいマシンに同じ IP アドレスが設定されていることを確認します。または、新しい IP アドレスを使用する場合は、他のシステムでファイアウォールを介して新しい IP アドレスを許可する必要があるかどうかを検討してください。
-
-
元のサーバに InterSystems IRIS の同じバージョンをインストールします。
スムーズな移行のため、以下のインストール・オプションが元のサーバと同じであることを確認します。
-
インスタンス名
-
インストール・ディレクトリ
Note:インストール・ディレクトリを変更する場合、移行の実行時に CPF 内のディレクトリ・パス名とエクスポートされたセキュリティ設定 (アプリケーション設定や SSL 構成設定など) を更新する必要がある可能性があることに注意してください。
-
セットアップ・タイプ (開発、サーバ、カスタムなど)
-
文字幅 (8 ビットまたは Unicode)
-
ポート番号
-
セキュリティ設定 (最小、通常、またはロックダウン)
詳細は、"インストール計画の考慮事項" を参照してください。
-
-
Web サーバをインストールし、Web サーバと Web ゲートウェイを構成します (必要な場合)。詳細は、"Web ゲートウェイ・ガイド" を参照してください。
-
必要なセキュリティ証明書をインストールします。
-
必要なファイアウォール設定を構成します。
異なるオペレーティング・システム間での移行に関する注意事項
Windows から Linux など、異なるオペレーティング・システム間で移行する場合、一部のファイルと設定は直接互換性がないことがあります。例えば、構成パラメータ・ファイル (CPF) やエクスポートした設定ファイルを手動で編集してから対象サーバに移行しなければならない場合があります。
移行プロセスを開始する前に、後で参照する必要が生じた場合に備えて、対象サーバ上に元の構成パラメータ・ファイル /<installdir>/iris.cpf のバックアップ・コピーを作成します。また、Security.System.ExportAll() メソッドを使用して、対象サーバ上の既定のセキュリティ設定を XML ファイルにエクスポートします (このドキュメントで後述する "Security.System.ExportAll() Method の使用" を参照)。
編集する必要のある可能性のある項目には以下が含まれますが、これらに限定されません。
-
CPF 内のディレクトリ・パス名、エクスポートしたアプリケーション設定、およびエクスポートした SSL 構成設定
-
CPF の [Config] セクションの overview パラメータ
対象サーバ上の元の CPF ファイルとエクスポートした設定ファイルを参照してください。
異なるエンディアン (ビッグ・エンディアンとリトル・エンディアン) を持つオペレーティング・システムを移行する場合は、まず cvendian ユーティリティを使用してデータベースのバイト・オーダーを変換する必要があります。詳細は、"cvendian を使用したバイト・オーダー変換" を参照してください。
プラットフォームに依存しないライセンスを購入していない場合は、移行を実行する前に、アカウント・チームに連絡して新しいプラットフォームのライセンスを入手してください。
移行の実行
InterSystems IRIS ライセンス・キー
移行を開始する準備ができたら、両方のサーバ上のインスタンスの正常なシャットダウンを実行します。指示されるまで、インスタンスを再起動しないでください。
元のサーバの /<installdir>/mgr/ ディレクトリから、対象サーバの同じディレクトリに iris.key ファイルをコピーします。
構成パラメータ・ファイル (CPF)
元のサーバの /<installdir>/ ディレクトリから、対象サーバの同じディレクトリに iris.cpf ファイルをコピーします。
データベース
移行するデータベースの決定
一般的には元のサーバから対象サーバにデータベースをコピーして移行するのが簡単ですが、この方法で移行できない、または移行すべきでないデータベースもあります。
対象サーバ上でも保持したいユーザ作成データベースがある場合は、移行が必要です。
/<installdir>/mgr ディレクトリにある IRISSYS データベースは、コピーによって移行することはできません。ソースの IRISSYS データベースの必要なデータ (セキュリティ設定やタスクなど) はすべて、エクスポートしてから宛先の IRISSYS データベースにインポートすることができます。詳細は、このドキュメントの以降の部分を参照してください。
その他のシステム提供データベースは、インストーラによって新規コピーが提供されるため、移行しないでください。これらのデータベースには、以下が含まれます。
-
ENSLIB
-
IRISAUDIT
-
IRISLIB
-
IRISLOCALDATA
-
IRISTEMP
ENSLIB データベースにカスタム・コードを配置している場合は、移行を実行する前に代替ソリューションを評価および実装することをお勧めします。
データベースの移行
移行する IRIS.DAT ファイルを、そのファイルが含まれるディレクトリと共に、対象サーバ上の同じ場所にコピーします。
元のサーバ上に iris.dat ファイルと共に iris.lck ファイルが表示されている場合、InterSystems IRIS のソース・インスタンスが実行中であるか、正常にシャットダウンされていません。インスタンスを正常にシャットダウンして、再試行してください。
対象サーバ上でインスタンスを起動すると、新しいライセンス・キー、CPF、およびデータベースを使用して起動します。
InterSystems IRIS が起動時にデータベースをマウントできない場合、以下のメッセージが表示されます。
Database <db_name> is required, but could not be mounted
Shutting down the system
多くの場合、このエラーは以下のいずれかを意味しています。
-
データベースを、コピーする予定の場所にコピーしなかった。
データベースが適切なディレクトリに配置されていることを確認して、InterSystems IRIS を再起動してください。
-
InterSystems IRIS を元のサーバとは異なるディレクトリにインストールした。
CPF を編集し、すべてのディレクトリ名を変更して新しいインストール・ディレクトリを指定してから、InterSystems IRIS を再起動してください。また、InterSystems IRIS のターゲット・インスタンスにインポートする前に、エクスポートされた設定ファイル (アプリケーション設定または SSL 構成設定など) を編集してディレクトリ名を修正する必要がある場合もあります。"セキュリティ設定" を参照してください。
-
ファイルまたはディレクトリの許可が InterSystems IRIS の所有者およびユーザに対して正しく設定されていない。
許可を調整してから、InterSystems IRIS を再起動してください。
起動時に以下のようなメッセージが表示される場合、データベースをコピーしたときに iris.lck ファイルが存在していたことを意味します。
Database <db_name> is locked from <instance_name>
Cannot remove database lock <file_name>
iris.lck ファイルが存在すると、複数のインスタンスが読み取り/書き込み許可によって同じデータベースを同時にマウントすることができません。ソース・サーバから誤って iris.lck ファイルをコピーした場合、データベースをまだマウントしているインスタンスがほかにないことが確実であれば、そのファイルを削除できます。
ネームスペースの相互運用設定
特定のネームスペースで相互運用プロダクションを使用している場合、そのネームスペースを有効にして、対象サーバ上でプロダクションを使用できるようにする必要があります。この設定は、CPF でも、ネームスペースに関連付けられたデータベースでも引き継がれないためです。
相互運用対応にする各ネームスペースに対して以下のコマンドを実行します。
do ##class(%Library.EnsembleMgr).EnableNamespace("<namespace>",1)
代替手段として、構成マージ機能を使用して、1 回の操作でネームスペースを再構成できます。それには、次のような、相互運用対応にする各ネームスペースのエントリを含むマージ・ファイルで、iris merge コマンドを実行します。
[Actions]
ModifyNamespace:Name=NamespaceA,Interop=1
ModifyNamespace:Name=NamespaceB,Interop=1
ModifyNamespace:Name=NamespaceC,Interop=1
. . .
セキュリティ設定
セキュリティ設定を移行するには、以下のメソッドのいずれかを使用します。
この手順を開始する前に、元のサーバと対象サーバの両方で InterSystems IRIS を起動します。
SSL 構成を移行する場合、構成をインポートする前に、証明書ファイルを対象サーバ上の同じ場所にコピーしてください。証明書が配置されていないと、インポートは失敗します。
Security.System.ExportAll() メソッドの使用
Security.System.ExportAll()Opens in a new tab メソッドを実行すると、元のサーバから以下のタイプのセキュリティ・レコードをエクスポートできます。
-
アプリケーション
-
ドキュメント・データベース
-
イベント
-
KMIP サーバ
-
LDAP 構成
-
OpenAM ID サービス
-
電話プロバイダ
-
リソース
-
ロール
-
サービス
-
SQL 特権
-
SSL 構成
-
システム
-
ユーザ
-
X.509 証明書
-
X509 ユーザ
%SYS ネームスペースで、次のコマンドを実行します。
set status = ##class(Security.System).ExportAll()
既定では、ExportAll() メソッドは、ファイル /<installdir>/mgr/SecurityExport.xml に設定を書き込みます。
Flags 引数を使用して、これらの設定のサブセットをエクスポートできます。
詳細は、クラス・リファレンス・ドキュメントの "Security.System.ExportAll()Opens in a new tab "を参照してください。
生成された XML ファイルを対象サーバにコピーし、Security.System.ImportAll()Opens in a new tab メソッドを実行して設定をインポートします。
%SYS ネームスペースで、次のコマンドを実行します。
set status = ##class(Security.System).ImportAll()
既定では、ImportAll() メソッドは、ファイル /<installdir>/mgr/SecurityExport.xml から設定を読み取ります。
Type 引数を使用して、エクスポートした設定のサブセットをインポートできます。
詳細は、クラス・リファレンス・ドキュメントの "Security.System.ImportAll()Opens in a new tab "を参照してください。
個々のセキュリティ・パッケージのエクスポート・メソッドの使用
個々の Security パッケージのエクスポート・メソッドを使用して、移行する設定を個別に選択できます。
該当するクラスのリストは、"Tips on exporting and importing security settingsOpens in a new tab" を参照してください。
個々のクラスの詳細は、Security パッケージのクラス・リファレンス・ドキュメントを参照してください。
このサンプル・メソッドを元のサーバ上で実行すると、指定した設定を C:\TEMP ディレクトリ内の一連の XML ファイルにエクスポートできます。
ClassMethod ExportSecuritySettings(directory as %String = "C:\TEMP\Users")
{
new $namespace
set $namespace = "%SYS"
do ##class(Security.Resources).Export(directory _ "\Resources.xml")
do ##class(Security.Services).Export(directory _ "\Services.xml")
do ##class(Security.Roles).Export(directory _ "\Roles.xml")
do ##class(Security.Users).Export(directory _ "\Users.xml")
do ##class(Security.Applications).Export(directory _ "\Applications.xml")
/* additional exports */
}
場所を指定しないと、Security パッケージの個々のクラスの Export() メソッドは、ディレクトリ /<installdir>/mgr 内の XML ファイルに設定をエクスポートします。
エクスポートされた XML ファイルを対象サーバ上の同じ場所にコピーし、対象サーバ上で以下のサンプル・メソッドを実行して設定をインポートします。
ClassMethod ImportSecuritySettings(directory as %String = "C:\TEMP\Users")
{
new $namespace
set $namespace = "%SYS"
do ##class(Security.Resources).Import(directory _ "\Resources.xml")
do ##class(Security.Services).Import(directory _ "\Services.xml")
do ##class(Security.Roles).Import(directory _ "\Roles.xml")
do ##class(Security.Users).Import(directory _ "\Users.xml")
do ##class(Security.Applications).Import(directory _ "\Applications.xml")
/* additional imports */
}
セキュリティ設定をインポートする場合は、順序が重要です。例えば、特定のリソースを使用するロールをインポートしようとした場合に、そのリソースがまだインポートされていないと、エラーが発生します。リソースをインポートしてからロールをインポートし、ロールをインポートしてからユーザをインポートしてください。
場所を指定しないと、Security パッケージの個々のクラスの Import() メソッドは、ディレクトリ /<installdir>/mgr 内の XML ファイルから設定をインポートします。
^SECURITY ルーチンの使用
%SYS ネームスペースから ^SECURITY ルーチンを実行することによっても、Security パッケージのメソッドを使用する場合とほぼ同じように、セキュリティ設定を XML ファイルにインタラクティブにエクスポートできます。
セキュリティ設定を移行するには、対象サーバに XML ファイルをコピーし、%SYS ネームスペースから ^SECURITY ルーチンを実行して、XML ファイルからインタラクティブにセキュリティ設定をインポートします。
セキュリティ設定をインポートする場合は、順序が重要です。例えば、特定のリソースを使用するロールをインポートしようとした場合に、そのリソースがまだインポートされていないと、エラーが発生します。リソースをインポートしてからロールをインポートし、ロールをインポートしてからユーザをインポートしてください。
既定では、^SECURITY ルーチンは、ディレクトリ /<installdir>/mgr 内の XML ファイルに設定をエクスポートし、同じディレクトリから設定をインポートします。
移行を再現可能なプロセスにするために、上記の "Security.System.ExportAll()" または "個々のセキュリティ・パッケージのエクスポート・メソッド" のセクションで説明する API 呼び出しを使用することをお勧めします。^SECURITY ルーチンは、アド・ホックな用途に適しています。
^SECURITY ルーチンの使用の詳細は、"Tips on exporting and importing security settingsOpens in a new tab" を参照してください。
タスク・マネージャのタスク
移行するタスク・マネージャのタスクをエクスポートするには、タスク・マネージャ内から個々のタスクをエクスポートするか、タスクのリストを %SYS.Task.ExportTasks() メソッドに渡します。
タスク・マネージャを使用してタスクをエクスポートするには、以下の手順を実行します。
-
管理ポータルで、[システムオペレーション]→[タスクマネージャ]→[タスクスケジュール] を選択します。
-
[タスクスケジュール] ページで、エクスポートするタスクの名前をクリックします。
-
[タスク詳細] 画面で、[エクスポート] をクリックします。
-
[エクスポート] 画面で、パスとファイル名を入力し、[すぐに実行する] をクリックします。
既定では、タスク・マネージャはタスクをファイル /<installdir>/mgr/Temp/ExportTask.xml にエクスポートします。
また、[タスクスケジュール] ページを使用して、エクスポートするタスクの ID を指定することもできます。次に、タスク ID のリストに変数を設定し、%SYS.Task.ExportTasks() を呼び出して目的のタスクを XML ファイルにエクスポートします。
例えば、任意のネームスペースから以下を実行します。
set tasklist = $lb(1, 1000, 1001)
set status = ##class(%SYS.Task).ExportTasks(tasklist, "Tasks.xml")
%SYS.Task.ExportTasks() は、指定した名前で XML ファイルにタスクをエクスポートし、コマンドを実行したネームスペースのグローバルに対する既定のデータベースのディレクトリに保存します。
エクスポートした XML ファイルを対象サーバにコピーし、次にタスク・マネージャを使用してその XML ファイルをインポートします。
-
管理ポータルで、[システムオペレーション]→[タスクマネージャ]→[タスクのインポート] を選択します。
-
[インポート] 画面で、パスとファイル名を入力し、[すぐに実行する] をクリックします。
既定では、タスク・マネージャはタスクをディレクトリ /<installdir>/mgr にインポートします。
システム・タスクをインポートする場合、タスク・マネージャは、既存のタスクを上書きするのではなく新しいタスクを作成します。新規タスクには、1000 以上で次に使用可能な ID が付けられます。必要に応じて、タスク・マネージャから既存のタスクを削除または一時停止します。
タスクのインポートが完了したら、対象サーバでタスク・マネージャの電子メール設定を構成する必要があります。これらは、タスク・マネージャのエクスポートでは引き継がれないためです。この操作は、管理ポータルで [システム管理]→[構成]→[追加の設定]→[タスクマネージャ Eメール] に移動して行います。元のサーバ上の同じ画面から各フィールドをコピーして貼り付けます。
%SYS ネームスペース内のカスタム項目
元のサーバの %SYS ネームスペースからカスタムのクラス、ルーチン、またはグローバルをエクスポートして、それらを対象サーバの %SYS ネームスペースにインポートします。
例えば、以下のルーチンを使用している場合は、それらを移行します。
-
^ZWELCOME
-
^ZAUTHENTICATE および ^ZAUTHORIZE
-
^ZMIRROR
-
^%ZSTART および ^%ZSTOP
-
^%ZLANG*
-
^%ZJREAD
CSP、JS、および CSS ファイル
カスタム CSP アプリケーションのすべてのファイルとディレクトリを元のサーバから対象サーバ上の同じ場所にコピーします。
外部のリンク・ライブラリとカスタム共有ライブラリ
外部のリンク・ライブラリまたはカスタム共有ライブラリを使用している場合は、これらのライブラリを元のサーバから対象サーバにコピーします。
この手順はサイト固有であるため、このドキュメントでは手順を説明しません。
ミラー・メンバの移行
InterSystems IRIS ミラーリングを使用している場合、移行を利用して以下の作業をサポートできます。
ミラーリングの詳細な説明は、"ミラーリング" を参照してください。
移行を利用した新規ミラー・メンバの作成のサポート
既存のミラーがある場合、移行を利用して、新しいフェイルオーバー・メンバまたは非同期メンバとして使用する新規サーバをセットアップできます。この場合、既存のフェイルオーバー・メンバを新しいサーバに移行してから、対象サーバをミラーに参加させるだけです。
このドキュメントの説明に従って対象サーバを準備しますが、以下の点が異なります。
-
新しいサーバに移行する前に、CPF から [Mirrors] セクションと [MapMirrors] セクションを削除します。
-
新しいサーバに移行する前に、CPF の [MirrorMember] セクションを既定値に戻します。対象サーバに新規インストールした CPF からこのセクションをコピーできます。
これにより、新しいインスタンスが古いインスタンスと同じエージェント・アドレスを使用しようとするのを防止します。
その後、新しい InterSystems IRIS インスタンスで以下を実行します。
-
ISCAgent を起動します ("ISCAgent の開始および停止" を参照)。
-
管理ポータルで、[システム管理]→[構成]→[ミラー設定]→[ミラーサービス有効] を選択します。
-
[サービス編集] ウィンドウで、[サービス有効] を選択し、[保存] をクリックします。
-
[ミラー設定] で、追加するミラー・メンバのタイプに応じて、[フェイルオーバとして参加] または [非同期として参加] を選択します。
Note:[フェイルオーバとして参加] または [非同期として参加] のメニュー・オプションが表示されておらず、代わりに [ミラーの編集] オプションが表示されている場合、移行する前に一部のミラー構成情報が CPF に残っていたことを意味します。以下の手順に従って、既存のミラー構成を削除する必要があります。
-
[ミラーの編集] を選択します。
-
[ミラーの構成を削除] をクリックします。
-
[ミラーの構成を削除] 画面で、[削除] をクリックします。ミラーされたデータベースからミラー属性を削除しないでください。
-
InterSystems IRIS を再起動し、手順 4 から操作を再開します。
-
-
[ミラーに参加] 画面で、既存のミラーに該当する情報を入力し、[次へ] をクリックします。
-
ミラーから情報が取得されたら、メンバの情報が正しいことを確認します。
-
非同期メンバを追加する場合は、希望の [非同期メンバシステムタイプ] を選択します。
-
[保存] をクリックします。
-
[システムオペレーション]→[ミラーモニタ] を選択します。
-
[ミラーモニタ] 画面の [ミラーされたデータベース] で、各ミラー・データベースに対して [有効化] を選択します。
-
その後、各ミラー・データベースに対して [キャッチアップ] を選択します。
移行を利用した新しいサーバへのミラーの移行のサポート
移行では、新しいサーバへの既存のミラーの移行もサポートできます。
例えば、オペレーティング・システム X 上にミラーリングされた構成があり、サーバ A がプライマリ・フェイルオーバー・メンバ、サーバ B がバックアップ・フェイルオーバー・メンバであるとします。目標は構成をオペレーティング・システム Y に移行することであり、そこではサーバ C がプライマリ・フェイルオーバー・メンバ、サーバ D がバックアップ・フェイルオーバー・メンバです。
この移行実行手順の概要を以下の表に示します。
手順 | サーバ A | サーバ B | サーバ C | サーバ D |
---|---|---|---|---|
サーバ C とサーバ D への移行を実行し、DR 非同期メンバとして追加します ("移行を利用した新規ミラー・メンバの作成のサポート" を参照)。 | プライマリ | バックアップ | DR 非同期 | DR 非同期 |
C をフェイルオーバー・メンバに昇格して、C をバックアップにし、B を DR 非同期に降格します ("DR 非同期メンバのフェイルオーバー・メンバへの昇格" を参照)。 | プライマリ | DR 非同期 | バックアップ | DR 非同期 |
A から C にフェイルオーバーして、A をバックアップ、C をプライマリにします ("昇格した DR 非同期への計画的フェイルオーバー" を参照)。 | バックアップ | DR 非同期 | プライマリ | DR 非同期 |
D をフェイルオーバー・メンバに昇格して、D をバックアップにし、A を DR 非同期に降格します ("DR 非同期メンバのフェイルオーバー・メンバへの昇格" を参照)。 | DR 非同期 | DR 非同期 | プライマリ | バックアップ |
ミラーから A と B を削除します ("非同期メンバの編集または削除" を参照)。 | 切断 | 切断 | プライマリ | バックアップ |
InterSystems IRIS の新しいバージョンへの移行に関する注意事項
場合によっては、InterSystems IRIS の新しいバージョンを実行するサーバに移行できます。例えば、アプリケーションが InterSystems IRIS の新しいバージョンでどのように動作するかを評価する場合などです。このタイプの移行には追加の手順が必要になる場合がありますが、詳細についてはこのドキュメントでは説明しません。可能であれば、InterSystems IRIS の新しいバージョンに移行する代わりに、標準のアップグレードを実行してください。
Caché または Ensemble から InterSystems IRIS への移行の詳細は、WRC のドキュメント配布ページOpens in a new tab (ログインが必要です) にある "InterSystems IRIS への移行方法" を参照してください。