InterSystems 診断レポートの使用法
インターシステムズは、InterSystems IRIS® データ・プラットフォーム・インスタンスに対して診断レポートを実行するメカニズムを提供しています。診断レポートは、実行されているインスタンスに関する情報のスナップショットで、インターシステムズのサポート窓口 (WRC)Opens in a new tab に送られ、システムの問題を診断する際の助けとなります。収集される情報の種類の詳細は、"診断レポートの内容" のセクションを参照してください。
このトピックでは、管理ポータルからのタスクとして、診断レポートを構成し、実行する方法について説明します。このタスクに関する詳細は、"インターシステムズ・クラス・リファレンス" の "%SYS.Task.DiagnosticReportOpens in a new tab" エントリを参照してください。
診断レポートのタスクの実行
レポート生成の最も直接的な方法は、管理ポータルの [診断レポート] ページ ([システム処理] > [診断レポート]) に移動して、診断レポート・タスクのための適切な情報を入力することです。このページに戻って、いつでもこの情報を編集できます。フィールドを編集しない場合は、[実行] をクリックして、現在の設定を使用してレポートを生成します。
情報を何も入力せずに [実行] をクリックすると、タスクによって詳細レポートが生成され、InterSystems IRIS インスタンスの管理者のディレクトリ (install-dir\mgr) に HTML ファイルとして配置されます。ファイル名は、顧客名 YYYYMMDDHHMM.html の形式です。
例えば、2023 年 9 月 24 日午後 8:46 に、C:\MyInstallDir にインストールされたインスタンスで MyCompany に発行されたライセンス・キーを使用して診断レポート・タスクを実行すると、以下のレポート・ファイルが生成されます。
C:\MyInstallDir\mgr\MyCompany201909242046.html
いつタスクを実行するか、どこにファイルを保存するか、およびファイルを WRC に送信するかどうかに影響するいくつかのフィールドをページ上で設定できます。"診断レポートの設定の構成" でこれらの設定について説明します。[閉じる] をクリックすると、変更が破棄され、レポートのタスクは実行されません。
[診断レポート] ページの最上部にある [タスク履歴] をクリックすると、診断レポート・タスクの履歴が表示されます (タスクとタスク履歴の詳細は、"タスク・マネージャの使用" を参照してください)。
診断レポートの設定の構成
InterSystems IRIS インストールには、事前に定義されたオンデマンド診断レポート・タスクが含まれています。初めて [診断レポート] ページを開いたときに、適切な情報を入力して、このタスクの設定を更新します。入力するフィールドによっては、診断レポートを処理するための以下の選択肢が提示されます。
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マネージャのディレクトリ以外の特定のアーカイブ・ディレクトリにレポートを保存するには、ディレクトリ名を入力します。
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レポートを WRC に送信するには、送信メールのフィールドに情報を入力します。
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レポートを保存して、送信するには、前の 2 つのオプションに情報を入力します。
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定期スケジュールで自動的にレポートを実行するには、WRC HealthCheck を有効にします。
以下のリストは、診断レポートの設定および各設定の説明を示しています。
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アーカイブ・レポート用のディレクトリ — レポートを保存するための場所です。ページに情報を何も入力しないと、マネージャのディレクトリである install-dir\mgr が既定ディレクトリとなります。この設定を空白のままにして、送信メール設定を入力すると、レポートは、マネージャのディレクトリには保存されません。[参照] をクリックして、既存のディレクトリを選択します。
WRC にレポートを直接送信するために必要な情報 送信メール設定を入力すると、レポートは、WRCHealthCheck@InterSystems.com に送信されます。
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既存の WRC 問題の番号 — 診断レポートのこの実行に関連する WRC 問題の番号 (6 桁)。新しい問題を追加するには、インターシステムズのサポート窓口までお問い合わせください、または、問題を WRC DirectOpens in a new tab で入力してください。
この WRC 問題の番号でタスクが一度だけ実行され、その後は、この設定がクリアされます。
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送信メールのサーバの IP アドレスの名前 — 送信 SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) メール・サーバのアドレス。
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認証 SMTP のユーザ名およびパスワード — SMTP サーバの SMTP 認証でのみ必要です。詳細は "RFC 2554Opens in a new tab" を参照してください。
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送信メールの [送信元:] フィールドのアドレス — 送信者フィールドに表示する電子メール・アドレス。SMTP サーバ情報を入力する場合は必須です。既定では、DefaultDiagnosticReport@InterSystems.com です。
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送信メールの [返信先:] フィールドのアドレス — インターシステムズからの自動構成メッセージを受信できる企業内の有効な電子メール・アドレス。
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送信メールの [CC:] フィールドのアドレス — レポートを受信するその他の電子メール・アドレス。
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WRC HealthCheck の自動更新を有効にする — 定期レポートを WRC に送信するには、このチェック・ボックスにチェックを付けます。インターシステムズでは、WRC HealthCheck 機能を有効にすることを強くお勧めします。このオプションを選択すると、診断レポート・タスクが定期的に実行され、レポートが WRC に送信されます。これらの定期レポートによって、WRC はより良いサポートを提供できるようになります。この機能を選択すると、SMTP サーバ情報の入力が必要になります。
Important:レポートには、個人のアプリケーション情報が含まれます。インターシステムズでは、すべてのデータの機密性を厳守します。
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この日数ごとにこの時間に WRC HealthCheck の自動更新を実行する — WRC HealthCheck を有効にすると、タスク・マネージャは、診断レポートを実行するときの間隔 (既定は 7 日間) および時間 (既定は InterSystems IRIS のインストール時間) の情報を保存します。
WRC に送信するその他の情報
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このインスタンスの主な目的 — InterSystems IRIS のこのインスタンスを開発、テスト、品質保証、運用のいずれを目的として使用するのかを選択します。
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$ZV に表示されない適用済みの任意のコンテンツ — $ZVersion 特殊変数に表示されない適用済みの任意のコンテンツを入力します。
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現在の CPU のタイプと数
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物理メモリ総量 — マシンの物理メモリ量を入力します。
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このシステムで使用するハードウェアのその他の詳細
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このシステム (InterSystems、OS、外部、その他) をバックアップする方法 — システムをバックアップするために使用する方法を入力します。
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このインスタンスについてのその他の関連情報 — レポートに追加する特別な注記事項があれば入力します。
診断レポートのタスクでは、1 つを除くすべての設定で入力した情報が保持されます。タスクは、WRC 問題の番号で一度だけ実行された後、WRC 問題の番号はクリアされます。レポート実行中は、タスクの設定を編集できません。
診断レポートの内容
診断レポートのタスクを実行すると、基本情報と詳細情報の両方を記録した HTML 形式のログ・ファイルが作成されます。このファイルは、問題解決のために WRC が使用できます。以下では、このレポートの各セクションについて説明します。
Microsoft Windows 32 ビット・システムの場合、レポートでは、SysInternals Software が開発した以下のサードパーティ・ユーティリティが使用されます。
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PsInfo.Exe — 拡張システム情報を表示します。
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PsList.Exe — オペレーティング・システム・レベルのプロセス情報を表示します。
基本情報
基本情報には、以下のカテゴリがあります。
以下の情報が表示されます。
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完全なホスト名 (ドメインを含む)
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IP アドレス
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ユーザ名
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レポート作成日時
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InterSystems IRIS のバージョンの文字列 ($ZVersion)
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InterSystems IRIS オブジェクトのバージョンの文字列
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InterSystems ODBC/JDBC サーバのバージョン情報
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各国言語サポート (NLS) 情報
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フリー・ブロック・カウント情報
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オペレーティング・システムのバージョン (UNIX® システムの uname -a)
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拡張システム情報 (PsInfo.Exe ユーティリティが、InterSystems IRIS Bin ディレクトリにある場合、Windows システムでのみ)
ライセンス・キー・ファイルの場所、ライセンス・キーの内容、ライセンスの可用性 ($System.License.CKEY() の出力) などのアクティブなライセンス情報を表示します。
ライセンス使用情報 ($System.License.ShowCounts() の出力) を表示します。
システムの状態の情報 (^%SS の出力 — 30 秒の間隔をおいて取られた 2 つのスナップショット) を表示します。
オペレーティング・システム・プロセス情報を表示します (PsList.Exe ユーティリティが InterSystems IRIS Bin ディレクトリにある場合、Windows システムでのみ)。
スピン・カウント情報を表示します。
アクティブな InterSystems IRIS 構成ファイル (iris.cpf) の内容を表示します。
InterSystems IRIS システム・エラー・ログの内容を表示します。詳細は、"InterSystems IRIS システム・エラー・ログ" を参照してください。
以下のセキュリティ情報のリストを表示します。
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セキュリティ・パラメータ
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サービス
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リソース
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ロール
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アプリケーション
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システム・ユーザ
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現在のログインの失敗
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ドメイン
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SSL 構成
イベントのリストや監査ログ・データベースの内容などの監査情報を表示します。
messages.log の内容を表示します (サイズが 5 MB 以下の場合)。
基本情報のみを記録したレポートを生成する手順は次のとおりです。
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[タスクスケジュール表示] ページ ([システム処理] > [タスクマネージャ] > [タスクスケジュール表示]) に移動します。
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診断レポートの行で、[詳細] をクリックします。
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[タスク詳細] ページ ([システム処理] > [タスクマネージャ] > [タスクスケジュール表示] > [タスク詳細]) で、[編集] をクリックします。
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[タスクスケジューラウィザード] ページで、[拡張レポート] チェック・ボックスのチェックを外し、[完了] をクリックします。
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[タスク詳細] ページ ([システム処理] > [タスクマネージャ] > [タスクスケジュール表示] > [タスク詳細]) の診断レポートの行で [実行] をクリックします。
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[タスク実行] ページで、[すぐに実行する] をクリックします。
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[閉じる] をクリックします。
詳細情報
詳細情報には、以下のカテゴリがあります。
以下のオプションを使用して実行された InterSystems 統計ユーティリティ (irisstat) の出力を表示します。
irisstat -e2 -m-1 -n3 -j5 -g1 -m3 -L1 -u-1 -v1 -p-1 -c-1 -q1 -w2 -S-1 -E-1 -N65535 -s<mgr_dir>
irisstat ユーティリティの詳細は、"irisstat ユーティリティを使用した InterSystems IRIS の監視" を参照してください。
1 分後に最初のスナップショットと同じオプションを使用して実行された irisstat ユーティリティの出力を表示します。
irisstat 出力ファイルが大きすぎる場合は、個別のファイルに保存され、レポートと共に送信されることはありません。個別のファイルが作成されると、以下のようなメッセージが診断レポートの irisstat セクションに通知されます。
File /iris/iristestsys/mgr/irisstat201103151102.html is too big to be appended to the Log File. A copy has been left in the Directory.
それらのファイルは html 拡張子を持ちますが、プレーン・テキストなのでブラウザではなくテキスト・エディタで表示する必要があります。
ネットワーク情報を表示します。以下のユーティリティの出力です。
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ipconfig /all (Windows システムのみ)
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netstat -an
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netstat -s
ローカル・ライセンス・テーブルのエントリおよびキー情報を表示します ($System.License.DumpLocalInUse() および $System.License.DumpKeys() の出力)。
コアまたは *.dmp ファイル (存在する場合) のリストを表示します。
グローバル統計情報 (^GLOSTAT の出力 — 10 秒ごとに取られる 10 枚のスナップショット) を表示します。