Business Intelligence の概要
この章では、アプリケーションにビジネス・インテリジェンス (BI) を埋め込むことを可能にする InterSystems IRIS Business Intelligence について紹介します。
Business Intelligence は、専用に構成された Web アプリケーションでのみ使用できます。"Web アプリケーションの設定" を参照してください。また、システム要件の詳細は、"インターシステムズのサポート対象プラットフォーム" を参照してください。
目的
InterSystems Business Intelligence の目的は、アプリケーションへのビジネス・インテリジェンス (BI) の埋め込みを可能にすることで、ユーザがデータに関して高度な質問と回答を行えるようにすることです。具体的には、アプリケーションにはダッシュボードが含まれます。ダッシュボードには以下の項目を含めることができます。
-
特定のユーザ・ロール、またはユーザ・インタフェースの特定領域向けに設計されたクエリを実行するインタラクティブ・ウィジェット
-
ユーザがそれらのクエリを修正することを可能にするドロップダウン・リストやデータ・セレクタなどのコントロール
-
ユーザが表示データをさまざまな方法で表示することを可能にするインタラクティブ・ドリル・オプション
-
エクスポート、印刷、および他のユーザへのアラート送信を可能にするオプション
-
自由形式の分析をサポートするミニ・アナライザを起動するオプション
-
ボタンなどのコントロールとして提供されるカスタム・アクションの実行機能
静的なデータ・ウェアハウスを使用する従来の BI システムとは異なり、Business Intelligence は、個々のビジネス要件に合わせて、現在のトランザクション・データと常に密接に同期がとられます。
ダッシュボードの表示内容の詳細
以下の例は、ダッシュボードのサンプルを示しています。
ダッシュボードは、以下の領域で構成されています。
-
左上には、ダッシュボードの名前および (定義されている場合は) そのタイトルが表示されます。
-
システム構成およびダッシュボードの個々のレイアウトに応じて、ダッシュボードは、左側に 0 個、1 個、または 2 個のワークリスト領域を含むことができます。どのようなワークリスト領域でも、右上隅に、表示できるワークリストを示すアイコンが表示されます。以下はその例です。
ハイライト表示されたアイコンは、現在どのワークリストが表示されているかを示します。別のアイコンを選択して、対応するワークリストをこの領域に代わりに表示することができます。
[フィルタ] ワークリストは、ダッシュボードに固有です。このリストを使用して、このダッシュボードに表示されるウィジェットをフィルタ処理できます。
-
右の領域には、1 つ以上のウィジェットがあります。各ウィジェットは、ある形式でデータを表示する長方形のパネルです。
以下のサブセクションでは、より一般的なウィジェットについて説明します。
ピボット・テーブル・ウィジェット
ピボット・テーブル・ウィジェットは、3 つの形式のいずれかでデータを表示します。1 つ目は、以下のようにデータをテーブルとして表示できます。
2 つ目は、以下のようにデータをグラフとして表示できます。
3 つ目は、詳細なリストを表示できます。これは、最下位レベルのレコードから選択されたフィールドを表示するテーブルです。
スコアカード・ウィジェット
スコアカード・ウィジェットには、1 つ以上のデータ行がテーブル形式で表示され、値に依存するランプや矢印などの機能も含まれます、以下はその例です。
メータ・ウィジェット
メータ・ウィジェットには、以下のように、1 つ以上の値が表示され、それぞれの値はグラフィカル・オブジェクトに表示されます。
前の図は速度計の値を示しています。Business Intelligence では、その他いくつかのメータ形式がサポートされます。
マップ・ウィジェット
マップ・ウィジェットには、通常、ビジネス・シナリオに関連する場所に対応したポイントがハイライト表示されたマップが表示されます。以下はその例です。
カレンダー・ウィジェット
ダッシュボードには、以下のような情報提供を目的としたカレンダー・ウィジェットを含めることができます。
カスタム・ウィジェット
ダッシュボードには、ポートレットと呼ばれるカスタム・ウィジェットを含めることもできます。以下に例を示します。
ウィジェットのデータ・ソース
ダッシュボードでは、ほとんどのウィジェットで以下のいずれかのデータ・ソースを使用します。
-
ピボット・テーブル。ピボット・テーブルはアナライザで作成されます。ピボット・テーブルは、キューブに基づくクエリであり、Business Intelligence モデルに含まれます。次のセクションでは、Business Intelligence モデルについて説明します。
-
KPI (重要業績評価指標)。KPI はより高度なクエリであり、プログラマが作成します。これも Business Intelligence モデルに含まれます。
Business Intelligence モデル
Business Intelligence モデルには、以下の要素の一部またはすべてが含まれます。
-
1 つ以上のキューブ定義。キューブは、特定のベース要素のセット (患者、トランザクションなど) のクエリを実行する方法を記述します。キューブには、ベース・セットのレコードのグループ化を可能にするレベルと、これらのレコードの集約値を表示するメジャーが組み込まれています。また、リストおよびその他の項目も定義されます。
キューブを使用してピボット・テーブルを作成します。以下はその例です。
このピボット・テーブルで、行は Patient Group レベルのメンバに対応します。メンバのそれぞれが 1 行に表示されます。データ列には、メンバそれぞれの Avg Test Score メジャーの集約値が表示されます。このメジャーに対する平均値はシステムで計算されています。None 患者グループに対する Avg Test Score が NULL であることがわかります。
-
任意の数のサブジェクト領域。サブジェクト領域は、複数のキューブを必要とせずに、より小さなデータセットに焦点を当てることのできるサブキューブです。また、サブジェクト領域を使用すると、キューブのキャプションおよび既定値をカスタマイズできます。
-
任意の数の KPI (重要業績評価指標)。Business Intelligence の KPI は、ダッシュボードに表示できる、インタラクティブなデータセットです。KPI では、プログラマによって作成されたカスタム・クエリを使用します。クエリには、SQL、MDX (多次元式。アナライザでも生成されます)、または、カスタム・コードを使用できます。
KPI では、ユーザが起動でき、ユーザのカスタム・コードを実行するアクションも定義できます。